核情報

2007.6.1

地方の6月議会で印パ核軍拡競争阻止の声を

「米印原子力協力法」関連の動きが重要な段階に差し掛かっています。同法に基づく米印両国の原子力協力協定交渉は難航が伝えられていますが、数週間のうちに締結に至る可能性もあります。その場合、協定は、日本も加盟している原子力供給国グループ(NSG 45ヶ国で構成)が今秋(10月?)ウイーンで予定している協議グループ(Consultative Group)の会合で議論されることになるかもしれません。協定実施にはNSGの規則変更が必要だからです。また、安倍首相が8月末にも訪印予定と報じられていますが、その際、首相が手土産に協定承認の態度を表明することになる可能性もあります。NSGでの慎重な議論を求める意見書を多くの自治体の6月議会で採択することができるかどうかが極めて重要な意味を持ちます。

各地の6月議会で意見書の採択を働きかけるには、「地方の2月議会で印パ核軍拡競争阻止の声を」にある文案「南アジアの核軍拡競争を防ぐため原子力供給国グループ(NSG)での慎重な議論を求める意見書」(陳情・意見書)と説明資料がそのまま使えます。

これまで、佐賀県、調布市、長崎市が意見書を採択しています。

保守勢力の強い佐賀県議会で採択されたこと、また、調布市では自民党提出で採択となったことなどを見れば、どこの議会でも採択が可能だと言えます。

米国が昨年制定した「米印原子力協力法」は、核不拡散条約(NPT)に加盟していない「核保有国」インドに対し米国が原子力関連輸出を行うことを認めるものです。この協力がそのまま実施されると、印パの核軍拡競争に拍車がかかる可能性があります。

米印両国は、最近もロンドン(5月21日)やニューデリー(5月31日−6月2日)で協定締結のための交渉を続けています。6月6−8日にドイツのハイリゲンダムで開かれる主要国首脳会議(G8サミット)の際に予定されている米印首脳会談前にこの問題に決着を付けようとしているのです。ネックになっている問題の一つは、インドが核実験をした場合に、米国側が提供した濃縮ウランを米国に返還するかどうかというものです。

NSGの次の総会(ベルリン)は、2008年5月と見られていますが、今秋の協議グループで結論が出されてしまう可能性があります。

参考:



南アジアの核軍拡競争を防ぐため原子力供給国グループでの
日本政府の主導的な対応を求める意見書

 米国が昨年制定した「米印原子力協力法」は、核拡散禁止条約(NPT)に加盟せず、核実験を行ない核兵器計画を進めているインドに対し、米国が原子力関連輸出を行なうことを認めるものである。この協力の実施によって、印パの核軍拡競争に拍車がかかる可能性が懸念されている。米印の協力が実施されるには、日本も加盟している原子力供給国グループ(NSG、加盟国45ヶ国)による規則の変更が必要となる。

 国連安全保障理事会は、1998年に印パ両国が核実験を行なった際、決議を全会一致で採択し、インド及びパキスタンに対し、「ただちにその核兵器開発計画を中止」し「核兵器用の核分裂性物質のすべての生産を中止する」ことを求めた。決議はまた、「すべての国に対し、インド及びパキスタンの核兵器計画に何らかの形で資する可能性のある設備、物質及び関連技術の輸出を防止するよう奨励」している。

 日本はこれまで核被爆国として核兵器の不拡散と廃絶を率先して求めてきた。NSGにおいても、その設立の主旨、1998年の国連安全保障理事会の決議などを踏まえ、慎重な議論を主導することが日本の国際的な使命といえる。

 よって、核廃絶をこれ以上困難なものにしないためにも、南アジアの核軍拡競争を防ぐべく、日本政府の対応を求めるものである。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成19年3月 日

佐賀県議会 

 衆議院議長 河野 洋平 様
  参議院議長 扇 千景 様
  内閣総理大臣 安倍 晋三 様
  外務大臣  麻生 太郎 様

   以上、意見書案を提出する。

     平成19年3月6日

佐賀県議会のページ


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