2001年5月27日に新潟県刈羽村で行われた住民投票(プルサーマル計画の是非を問うもの)に向けて村内全戸で配布
プルサーマル実施は、日本と地域の未来のために必要です
刈羽村の皆様へ
刈羽村の皆様には、日頃より我が国エネルギー政策にご理解とご協力をいただき感謝申し上げます。
来る5月27日にプルサーマルに関する住民投票が刈羽村で行われるこの機会に、プルサーマルの安全性と、我が国のエネルギーを安定的に確保し続けていく上でプルサーマルが重要な理由について、改めてご説明させていただきます。
日本と地域の未来のために、皆様のご理解が得られることを期待しています。
経済産業大臣 平沼赳夫
プルサーマルは世界で実績があります。安全性は信頼してください。
柏崎刈羽などの原子力発電所で一度使い終わった使用済み燃料から、プルトニウム等の有用資源が回収できます。この回収されたプルトニウムを燃料としてリサイクルするのが「プルサーマル」です。
原子力発電所では、普段はウランを燃料として使っていますが、このウランは燃焼しているうちに、一部が炉内でプルトニウムに変化します。この炉の中で生まれたプルトニウムは、炉の中で引き続き燃焼します。通常の原子力発電所で生まれる電力のうち実に3分の1は、このプルトニウムが生んでいるのです。
このプルトニウムの量を普段より少し多めに利用するのがプルサーマルであるとも言えます。フランスで20基、ドイツで9基など世界で35基の原子力発電所で実施されているなど、海外で使われている方法です。国の原子力安全・保安院も厳正に審査し、更に原子力安全委員会がその審査をチェックしています。プルサーマルの安全性については、信頼してください。
プルサーマルは、原子力発電を末永く続けていくために必要です。
我が国は、燃料として使う以外にはプルトニウムを保有しないことを国際的に明らかにしています。我が国のプルトニウムの利用は、当面原子力発電所における燃料としての利用がほとんどとなるため、プルサーマル計画が進まず、原子力発電所における利用が進まないとなると、使い終わった使用済燃料のリサイクルが困難になります。
リサイクルしないなら、使用済燃料を原子力発電所からリサイクル施設(青森県六ヶ所村)に運び出すわけにはいきません。原子力発電所の中に使用済燃料が溜まり続ける場合、使用済燃料の貯蔵施設が満杯になって、新しい燃料と取替えることができなくなるため、やがては運転を停止しなければならなくなります。柏崎刈羽原子力発電所もリサイクルの一環を担っているのです。
我が国の電力の3分の1以上を発電する原子力発電所が停止するようなことになれば、電力不足のような問題が発生します。
プルサーマル実施は、世界と約束しています。
使用済燃料をリサイクルする施設がまだない我が国は、使用済燃料をイギリスやフランスに運び出してプルトニウムを回収しています。回収したプルトニウムは、自治体からいただいた事前了解を前提に、燃料として有効利用するためにプルサーマル用の燃料に加工して、日本に返還する約束になっています。
プルサーマルが実施できないと、プルトニウムを引き取れないので、イギリスやフランスから、「日本は約束を守らない国だ」との批判を受けることになります。
昭和60年に柏崎刈羽原子力発電所が運転を開始して以来の皆様からのご支援に感謝申し上げます。皆様のおかげで、柏崎刈羽は世界最大の原子力発電所に育ちました。今後とも末永く地域の原子力発電所へのご理解を賜り、ご協力をいただけるようお願いします。
経済産業省