核情報

2005.5.24

核不拡散体制強化のための日本のリーダーシップを求める要請

2005年5月24日

核不拡散体制強化のための日本のリーダーシップを求める要請
──六ヶ所再処理工場運転の無期限延期の呼びかけ──

2005年NPT再検討会議の閉幕が近づいている。各国は、世界が直面している核の脅威を減らすために会議を成功裡に終わらせるべく最大の努力をしなければならない。核兵器国が不可逆的な核軍縮に向けた具体的措置を講じることが肝要であるが、核兵器の材料となる物質――高濃縮ウラン及びプルトニウム――の生産をやめることも、その努力の極めて重要な要素である。

コフィー・アナン国連事務総長は、NPT再検討会議の開幕に際して、核の脅威を強調し、次のように警告している。

ウラン濃縮と再処理という「燃料サイクルのもっとも機微な部分を何十もの国が開発し、短期間で核兵器を作るテクノロジーを持ってしまえば、核不拡散体制は維持することができなくなる。」一つの国がそのような道を進めば、「他の国も、自分たちも同じことをしなければと考えてしまう。そうなればあらゆるリスク──核事故、核の違法取り引き、テロリストによる使用、そして、国家自体による使用のリスク──が高まることになる。」つまり、核兵器物質及び技術の拡散を防ぐ努力は、核廃絶に向けた進展を確かなものにするためにも重要なのである。

ここに添付したステートメントは、再検討会議の開催に当たって米国の「憂慮する科学者同盟(UCS)」が発表したものである。ノーベル賞受賞者ら米国の27人の専門家が署名したこのステートメントが述べているとおり、「核不拡散体制がその最大の試練を迎えている時に、日本は、六ヶ所再処理工場の運転を開始する現在の計画を進めるべきではない。」

運転が始まれば、六ヶ所再処理工場は、核兵器を持っていない国における初めての商業規模の再処理工場となる。

使用済み核燃料を使ったアクティブ試験を今年12月に始め、2007年に商業運転に入る計画の六ヶ所再処理工場は、年間8トンのプルトニウムを分離する能力を持つことになる。原爆1000発を作るのに十分な量である。この生産がまったく必要のないものであることは、日本が、すでに、国内とヨーロッパに置かれたものを合わせて40トン以上のプルトニウムを持っていることが如実に示している。原爆5000発を作るのに十分な量である。

これ以上の核兵器利用可能物質を日本が生産し蓄積すれば、それは、北東アジアにおける核拡散問題をさらに複雑なものにすることになる。工場の運転が開始されれば、それは、核兵器(及び核兵器用物質)の取得を追求している国々に「日本の例」という口実を与えることになる。つまり、六ヶ所再処理工場の運転開始と、分離したプルトニウムを商業用原子炉の燃料として使うという非経済的な計画の実施とは、NPT加盟国が決して無視することのできない世界的核拡散リスクを招来するのである。

われわれは、再検討会議の閉幕を控え、核兵器の使用がもたらす悲惨さについて熟知している日本政府に対し、核廃絶と核拡散防止への道を世界に示して見せるよう要請する。日本が六ヶ所再処理工場の運転を無期限に延期するという勇気ある決定をすることこそが、この目標に至る極めて重要な一歩となるだろう。

署名者リスト


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