内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
外務大臣 町村信孝 殿
文部科学大臣 中山成彬 殿
経済産業省大臣 中川昭一 殿
原子力委員会委員長 近藤俊介 殿
世界の核兵器反対運動の声に耳を傾け、六ヶ所再処理工場運転無期限延期の決定を行うよう求める要請書
2005年6月1日
NPT再検討会議が成果を上げることなく終わった今、日本は、核保有国に核軍縮促進を働きかけるとともに、自らも核廃絶に向けた具体的行動をとらなければなりません。
核拡散防止条約(NPT)再検討会議の閉幕を控えた5月24日にニューヨークで発表された「核不拡散体制強化のための日本のリーダーシップを求める要請??六ヶ所再処理工場運転の無期限延期の呼びかけ」という要請書において、世界各国の平和団体の代表者など18カ国の約170人(後日追加分を含む)が、年間核兵器1000発分ものプルトニウムを分離する六ヶ所再処理工場の運転開始は、「北東アジアにおける核拡散問題をさらに複雑なものにすることに」なり、また、「核兵器(及び核兵器用物質)の取得を追求している国々に『日本の例』という口実を与えることになる」と警告しました。さらに、「六ヶ所再処理工場の運転開始と、分離したプルトニウムを商業用原子炉の燃料として使うという非経済的な計画の実施とは、NPT加盟国が決して無視することのできない世界的核拡散リスクを招来する」とし、「日本が六ヶ所再処理工場の運転を無期限に延期するという勇気ある決定をすること」により、「核廃絶と核拡散防止への道を世界に示して見せるよう」日本政府に呼びかけています。(この要請書とその署名者リストを添付してあります。)
この要請書には、日本の国際交流NGOピースボートや、ピースデポ、米国の「ピースアクション」、「社会的責任を考える医師の会(PSR)」、「軍備管理協会(ACA)」(NGO)の代表らの呼びかけに応じて、英国の「核軍縮運動(CND)」、フランスの「平和運動」、インドの「核軍縮・平和連合(CNDP)」、「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」のドイツ、オーストラリア、フランス、スイス各国支部、国際平和ビューロー(IPB)、国際反核法律家協会(IALANA)などの代表格の人々や核問題専門家らに加え、日本からは、田中煕巳日本被団協事務局長や澤田昭二氏、岩松繁俊氏などを初めとする被爆者、本島等元長崎市長、宗教者、著名な政治学者などと並んで、音楽家の坂本龍一氏や作家の澤地久枝氏も署名しています。
これに先立ち、5月5日には、NPT再検討会議開幕にあわせて、アメリカのNGO「憂慮する科学者同盟(UCS)」が、日本に対して六ヶ所再処理工場の稼動の無期限延期を求める要請を発表しました。24日の要請書は、この4人のノーベル賞受賞者を含む米国の専門家ら27人の署名した要請に対応するかたちで、NPT再検討会議閉幕を控えて発表されたものです。
短期間にこのような多くの人々の署名が集まったことは、六ヶ所再処理工場運転開始に対する反対の声の強さを物語っています。
核拡散への影響を省みず、「原子力の平和利用の権利」を盾に六ヶ所再処理工場の運転開始を今強行すれば、それはこのような世界の核兵器反対運動の声を無視するものとなります。
世界の核兵器反対運動の声に耳を傾け、六ヶ所再処理工場運転の無期限延期を決定することによって、NPT体制のさらなる弱体化を防ぐ道を示し、核廃絶に向けたリーダーシップを発揮するようここに要請いたします。
ピースボート共同代表 川崎哲