核情報

2006.3.10

青森県知事への要請──2006年2月24日

憂慮する科学者同盟(UCS)(ワシントンDC)
上級スタッフ科学者
エドウィン・S・ライマン

2006年2月24日

青森県知事 三村申吾殿

貴職は、今、青森県だけではなく、全国的、そして全世界的レベルで重大な意味合いを持つ決定をされようとしています。このような重要な決定をされる前に、すべての事実について理解しておくことは、貴職の責任であります。「憂慮する科学者同盟(UCS)」を代表して、貴職が以下に挙げたような問題について日本政府から詳細な返答を求めるよう要請をさせていただきたく、筆をとっている次第です。

1.米国は、最近、日本に対し、「世界的原子力パートナーシップ(GNEP)」と呼ばれる新しいプログラムに参加するよう求めました。この計画の下においては、現在既に核燃料製造技術を持っている国は、他の国々への核燃料提供国となり、そして、再処理技術を持っている国は、その燃料が使われた後の使用済燃料を、再処理及び再処理廃棄物の永久処分のために、引き取ることになっています。2月20日に外務省の係官らとの面談において、私は、日本政府はこのプログラムに参加する用意があるとの説明を受けました。

日本がどのようなレベルの参加を提供するのかははっきりしません。しかし、日本が六ヶ所再処理工場の運転を始めれば、日本は、予見できる将来において外国に再処理サービス及び廃棄物処分サービスを提供できる唯一の国になります。米国は、再処理工場を作ることに関心を持っていますが、現在は、そのような工場を所有しておりません。フランスは、再処理工場を所有していますが、起源国に放射性廃棄物をすべて返還するのでなければ外国の使用済み燃料を輸入することを法律によって禁じられています。英国の再処理工場は、2004年の深刻な事故以来運転が停止されており、2度と再開されない可能性があります。そして、ロシアは、再処理工場を持っていますが、それは、軽水炉のほとんどのタイプの燃料を取り扱うことができません。つまり、日本は、少なくとも2020年頃までは、外国の使用済燃料を受け入れる能力を持つ唯一の国ということになります。

従って、貴職が六ヶ所再処理工場の運転開始を許せば、この工場は、外国の使用済み燃料及び核廃棄物を引き寄せる磁石となり、青森県は、世界の他の場所の核廃棄物の国際的ゴミ捨て場となってしまう可能性があります。これは、青森県にとっても、日本にとっても好ましい将来ではありません。ですから、貴職は、六ヶ所再処理工場でのアクティブ試験について了解を与える前に、外国の使用済み燃料は決して六ヶ所再処理工場で受けいられることはないとの文書による約束をするよう中央政府に対して求めるべきです。

2.米国は、最近、六ヶ所再処理工場で使われるピューレックス(PUREX)法によって生み出される分離プルトニウムのストックは、深刻な核拡散脅威をもたらすものであり、ピューレックス法の使用は、段階的に廃止し、もっと進んだ近代的な再処理技術に変えるべきだと宣言しました。このことは、米国がこのような先進技術を開発するや否や、米国が日本に対し、六ヶ所再処理工場を閉鎖するようにとの圧力をかけるだろうということを示唆しています。そうすると、日本には、何年分もの外国の核廃棄物と、閉鎖された無用の、そして、強度に汚染された再処理工場が残ってしまうという可能性があります。

日本政府は六ヶ所再処理工場は、分離プルトニウムを作らず、プルトニウムとウランの50対50の混合物を作るから、保安リスクを伴わないと述べています。しかし、このような混合物は、核兵器に直接使うことができるものです。さらに、この混合物は、分離プルトニウムと比べて、放射能が強くもなければ、取り扱いが難しいわけでもありません。このため、国際原子力機関は、この物質を、核兵器を製造にとって分離プルトニウムと同じ有用性を持つものであり、転用や盗難への脆弱性も分離プルトニウムと同じものであるとみなしています。

米国のエネルギー省は、10%以上のプルトニウム含有率を持つMOX(酸化物混合物)の混合物をすべて、最高レベルの保安措置を必要とする「カテゴリー1」の物質とみなしています。このような物質が「即興の核装置」に使われる脅威のためです。これは、テロリストが手早く組み立てて爆発させることのできる粗野な作りの核兵器であります。このような装置は、青森県において巨大な破壊、放射能汚染、そして広範な死傷者を生み出すことになる可能性があります。

六ヶ所再処理工場の運転開始を許可する前に、貴職は、日本政府に対して、なぜMOX混合物は純粋なプルトニウム酸化物よりも核兵器にとっての有用性が、大幅に低くなるかという点についての詳細な技術的説明を求めるべきです。もし日本政府が、技術的に健全な説明を提供することができなければ、貴職は、六ヶ所再処理工場の運転開始を許すべきではありません。

3.日本政府は、六ヶ所再処理工場は、厳格なIAEA保障措置の基準を満たすと述べています。しかし、IAEAが六ヶ所再処理工場における保障措置システムが適切なものだと信じていないかもしれないことを示す証拠があります(添付メモを参照)。アクティブ試験計画を許可する前に、貴職は、日本政府に対し、保障措置のアプローチが機能し、一ヶ月以内に8キログラムのプルトニウムの転用を高度の信頼性をもって探知できるとの確証を提供するよう求めるべきです。


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