2004年2月23日
『韓半島[朝鮮半島]の危機を解消するための前進した六者協議を期待する』
2月25日より中国・北京で第二回六者協議が開かれる。困難な再開となった六者協議への期待と懸念が交錯している今、われわれは今回の会談が韓半島の危機を解消することのできる重大なターニングポイントとなることを切に望んでいる。
何よりも、われわれは今回の会談を含む六者協議が、単に北朝鮮の核問題の平和的解決に止まらず、韓半島の冷戦構造を解体して北東アジアの不安定さを解消するきっかけになるべきと信じている。
2002年10月に北朝鮮の核問題が浮上した後、韓半島の危機的な状況を打開するための外交的な努力は、米朝間の不信感ゆえ解決の糸口を見つけることができなかった。核問題をめぐる米朝間の長い膠着状態は韓半島の緊張を高め、それは韓国の国民に大きな不安感を与えた。特に、昨年の年末、アメリカの誠実さの欠ける交渉姿勢のために年内の会談開催の可能性がなくなり、その結果、韓半島の危機の解消への期待と見込みはさらに不透明となった。このような状況の下、韓半島の危機の当事者であると同時に北朝鮮とアメリカを積極的に説得することのできる立場にある韓国政府は、「韓米共助」というフレームに閉じ込められて核問題の平和的解決のための主導的な役割を果たせずにいる。
しかし、われわれはこの一年間に核問題をめぐる米朝対立が新たな局面に突入したことに注目したい。
北朝鮮は、米朝間の不可侵条約の締結の優先という立場から、自国の核凍結と同時にそれに相応する措置を要求する、いわゆる「同時行動原則」を提案するなど前進した交渉姿勢を見せている。また、核の抑止力を強調しながらも、交渉による最終的な核廃棄の意思を表明している。その反面、アメリカは北朝鮮の核廃棄の優先を繰り返しながら「完全かつ検証可能で、不可逆的な方法」で核計画を廃棄することを主張しており、交渉可能な具体的な方案を提案していない。むしろ、大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)の拡大や北朝鮮自由化法案の推進などによって対北朝鮮圧力政策の水位を高めている。しかも、アメリカは六者協議を前にして、実体の確かではない高濃縮ウラン計画(HEUP)を問題解決の前提条件として提示しており、核問題の平和的解決への意思があるかどうかが疑問である。
はっきりしていることは、今回の会談が意味のある成果を生むことができない場合、核問題をめぐる米朝の対立は極限に至り、韓半島の危機的状況は一層悪化するであろうということだ。そのため、アメリカと北朝鮮は今回の会談で核問題の解決のための実質的な足場をつくり、韓半島の危機の解消への確固たる意志を見せなければならない。また、会談参加国も今度の会談で韓半島の危機の解消のための妥協点を見出せるよう、積極的に仲裁者の役割を果たすべきである。
ここで、われわれは次のように、六者協議に対する立場を明確にする。
- 第一、 北朝鮮は今回の会談で公式的に核兵器の開発と保有の放棄を宣言し、アメリカは北朝鮮に対する不可侵を宣言して関係正常化の意志を表明しなければならない。また、会談参加国はこのような宣言を支持し、保障するという意思を明らかにしなければならない。このような措置は、韓半島の危機の解消のための重要な出発点になるだろう。
- 第二、 アメリカ政府は、北朝鮮の提案した「凍結vs補償」という原則を受け入れなければならない。すでに北朝鮮は「核兵器の追加的な生産の中断、核実験や核物質の移転の自制、原子炉の稼動の中断」を凍結の対象として示しており、これに相応する措置として「テロ支援国の解除、政治・経済・軍事的制裁や封鎖の撤回、重油・電力などのエネルギー支援」を提示している。したがって、今回の会談で北朝鮮は核凍結の検証のための方案として、追放した国際原子力機構(IAEA)の査察団を再入国させる一方で、アメリカは核問題で中断された重油の提供を再開し、各種の制裁措置を撤回することに合議しなければならない。このような措置は、アメリカの主張する「悪事に対する補償」ではなく、北朝鮮の核凍結がジュネーブ合議によるものなら、補償もその合議に従って行わなければならない相応措置なのである。
- 第三、 高濃縮ウラン計画疑惑が今回の会談での交渉において障害となってはいけない。北朝鮮が核廃棄の意思を発表した後にアメリカは再び高濃縮ウラン計画疑惑を提起しているが、その実態は明確に究明されていない。計画を否定している北朝鮮に「自白」を強要する前に、北朝鮮に高濃縮ウラン計画の証拠を提示したというアメリカが納得のいく証拠を公開することが必要だ。したがって、今回の会談で アメリカは立証可能な証拠を提示しないまま、北朝鮮の高濃縮ウラン計画の廃棄を交渉の前提条件として提示し、困難に再開された六者協議を座礁させることがあってはいけない。これに関して、北朝鮮も高濃縮ウラン計画疑惑を解消する意思を明確にしており、一月に北朝鮮が提案した専門家会談などを別途に議論できるだろう。
- 第四、 韓国政府は北朝鮮の核凍結に対して韓国主導のエネルギー支援を提案するなど、韓半島の危機を解消するために積極的な役割を自任しなければならない。韓国政府は北朝鮮の段階的な交渉案を検討する必要があり、北朝鮮の具体的な措置に相応する行動が必要だという点をアメリカに積極的に説得しなければならない。それと同時に、積極的な南北交流協力政策を通じて北朝鮮とアメリカに対する立場を確保していかなければならない。また、今回の会談で高濃縮ウラン計画を含む北朝鮮の核廃棄の優先を主張するアメリカの立場に同調して、六者協議自体を困難にさせることがあっては決していけない。
- 第五、 北朝鮮の核問題の解決プロセスを議論できるように六者協議を定例化しなければならない。米朝間の不信と対決姿勢がなかなか緩和されない状況において、対話のモメンタムをなんとか維持するだけでは韓半島の危機状況に対処できない。 したがって、米朝間の極度の対立を予防して北朝鮮核問題を持続的に調整できるように六者協議を定例化する必要がある。そして定例化した六者協議を通じて北朝鮮の核問題を含む米朝対立問題を解決し、今後、北東アジアの不安定要因を解消することのできる議論構造を構築しなければならない。
平和ネットワーク・参与連帯平和軍縮センタ・平和を作る女性の会・民主労総・農民会総連盟・民主労働党・環境運動連合・韓国女性団体連合・韓国大学学生会連合などを含む、総60個の団体
* 訳: 薦田真由美(韓国、高麗大学大学院博士課程)
李俊揆(イ・ジュンギュ、平和ネットワーク運営委員)