7月24日、米国のNGO「科学・国際安全保障研究所(ISIS)」が商業衛星写真会社デジタル・グローブの衛星写真を分析した結果、パキスタンは既存のものより大型のプルトニウム生産炉を建設中と見られると発表しました。(pdf文書)
ISISは、中国をも巻き込む南アジアの核軍拡競争を阻止するために、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の締結を急ぐべきだと警告しています。
ISISは、詳細な情報が得られないため、確かなことは言えないとしながら、衛星写真などからつぎのように分析しています。
新しいプルトニウム生産炉
場所 フシャーブ(Khushab)核施設(地図)
建設開始 2000年3月
完成時期 現在のペースで行くと数年で完成可能
建設はゆっくり進行。炉の部品または他の関連施設の能力の不足のためか。
炉型 重水減速
重水必要量 100−150トン
原子炉容器直径 5メートル
熱出力 1000メガワット
プルトニウム生産能力 200kg/年
(フル出力で年間220日と想定)
核兵器40−50発分/年 (4−5kg/発として計算)
*トリチウム(三重水素)の生産にも利用化
トリチウムは、ブースト型と呼ばれる原爆(水爆の引き金部分)で核分裂の効率を上げるのに使われる
写真1 2005年6月10日撮影
フシャーブ施設概観
- 左 新しいプルトニウム生産炉(?)
- 右 既存のプルトニウム生産炉
(1998年臨界 熱出力:50メガワット 重水必要量:40トン)
*拡大写真 - 下 既存の重水生産施設(13トン/年)
写真2 2005年6月20日撮影
新しいプルトニウム生産炉(?)のクロースアップ
- 中央 円形のものが原子炉?
- 中央左 モスク?
写真3 2006年4月2日撮影
図2と同じ場所の最近の写真
印パ両国の核兵器保有量については、さまざまな推定があります。
- ISIS
- インド 55-115
- パキスタン 55-90
- ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)─2006年版より
- インド 〜50
- パキスタン 〜60
参考
- パキスタンが重水炉建設 年間50個の核兵器と米紙
- 米下院、インドとの「原子力協力促進法案」を可決(読売新聞)
- 対印核協力法案を可決 米下院、年内成立の公算(共同通信 7月27日)