岡田外相は、1月29日、国会において外交の基本方針についての所信を述べた中で、
『核兵器のない世界』を実現するための第一歩となる具体的な手段として、核兵器を持たない国に対する核兵器の使用を禁止すること、そして、核兵器保有の目的を核兵器使用の抑止のみに限定することといった考え方に注目
していると発言しました。そして、「これらの点を含め、オーストラリアや米国など関係国とも議論を深めてまいります。」と述べています。
これは、「岡田外相、昨年末、核付きトマホークの延命を求めないと米国に書簡・核兵器の役割を核使用の抑止に限定する案についての話し合いを呼びかけ」で紹介した岡田外相の考え方を、国会の場で再度明らかにしたものとして注目されます。(該当部分の紹介)
1月22日、岡田外相は、昨年12月24日に米国務・国防両長官に書簡を送り、「我が国外交当局者が、貴国に核兵器を削減しないよう働きかけた、あるいは、より具体的に、貴国の核卜マホーク(TLAM/N)の退役に反対したり、貴国による地中貫通型小型核(RNEP)の保有を求めたりしたと報じられて」いるが、「特定の装備体系を貴国が保有すべきか否かについて述べたことはないと理解して」おり、「仮に述べたことがあったとすれば、それは核軍縮を目指す私の考えとは明らかに異なる」と伝えたと発表しました。
核兵器の役割を核攻撃の抑止に限る方針に反対する外務省関係者は、せっかく核兵器があるのだから、生物・化学兵器を相手が使えば、核で報復するかもしれないとの曖昧性を残すべきだと主張してきました。同種の主張をする際によく使われるのが、湾岸戦争において、「イラクによる化学・生物剤の使用は核報復を招く恐れがあるとの印象を意図的に残した」ことがこれらの兵器の使用の阻止に役立ったと言う「証拠」です。