核情報

2014. 5. 1〜

2014年の世界の核状況
米国、2014年4月29日、核兵器数発表

国務省発表ファクトシート全訳

2013年9月国防省管轄下の軍用保有核数4804
4年間で削減された核弾頭数はわずか309


世界の核兵器2014年
国名戦略核戦術核予備/非配備保有核総数
ロシア16000270043008000
米国1920184266147657315
フランス290?300300
中国0?180250250
英国16065225225
イスラエル0808080
パキスタン0100-120100-120100-120
インド090-11090-11090-110
北朝鮮0<10<10<10
合計(概数)400018060001010016400

上の表は、FASのサイト(Status of World Nuclear Forces)にクリステンセンが載せているものです(2014年4月30日更新)。世界の核兵器は、実際に配備されているもののほか予備などを含む「軍用保有核」が約1万100発、退役して解体待ちのものを入れると、総数約1万6400発という推定です(米国が発表した2013年9月現在の米国の軍用保有核数は4804ですが、クリステンセンらはその後少数が退役し、現在4765と推定しています)。解体待ちの状態の退役核は、米国が約2500発、ロシアが約3700発です。米国は他に、核弾頭の芯の部分(プルトニウム・ピット)約2万個保管しています。

世界の「保有核」1万100発のうち、約4180発が運用状態にある「配備核」です。このうち、米ロ合わせて約1800発が数分で発射可能な「高い警戒態勢」(ハイ・アラート)状態に置かれていると、二人は見ます。両国の核兵器は、今も一触即発の状態にあるのです。英仏も、レベルは下がりますが、短時間で使用可能な状態の核兵器を維持しています。この4ヶ国を合わせると2000発近くになるこの範疇の核弾頭をなくすことが重要です。

グラフ 米国の保有核 1983-2013年

出典 US Nuclear Weapons Stockpile Number Declassified: Only 309 Warheads Cut By Obama Administration(FAS)April 29, 2014

参考


2014年4月29日国務省発表ファクトシート(pdf) 全訳

参考:2010年版

2014年4月29日

ファクトシート
米国保有核兵器透明性

米国は、米国保有の核兵器に関する新たな機密解除情報を公表する。これは、2010年に公表された情報をアップデートするものである。世界に存在する核兵器に関する透明性の拡大は、核不拡散条約(NPT)の下におけるコミットメントを含む核不拡散努力や、配備・非配備、戦略・非戦略のすべての核兵器の更なる削減の追求にとって重要である。

保有核(Stockpile)

2013年9月現在、米国の保有核兵器は、4804個の核弾頭からなっている。この数は、1967会計年度末[1967年9月30日]の保有核兵器のピーク(3万1255)と比べると85%削減されており、1989年末にベルリンの壁が崩壊した時のレベル(2万2217)と比べると78%の削減となっている。下のグラフは、1945年から2013年9月30日の期間の米国の保有核の量を示している。

核弾頭の解体

1994会計年度から2013会計年度までの間に、米国は9952個の核弾頭を解体した。2009年9月30日以来、米国は1204個の核弾頭を解体した。この他数千の核兵器が退役して解体を待っている。

非戦略核兵器

米国の非戦略核兵器の数は、1991年9月30日以来、約90%減少した。

米国の保有核兵器
原注:「現用(active)」及び「非現用(inactive)」を含む。この他に数千の核弾頭が「退役(retired)」となっていて、解体を待っている。

米国の保有核兵器 1945─2013年



保有核数 会計年度末1962─2013年(9月30日)
1962年以前のデータは、エネルギー省が1993年に公表
196225,540 198823,205
196328,133 198922,217
196429,463 199021,392
196531,139 199119,008
196631,175 199213,708
196731,255 199311,511
196829,561 199410,979
196927,552 199510,904
197026,008 199611,011
197125,830 199710,903
197226,516 199810,732
197327,835 199910,685
197428,537 200010,577
197527,519 200110,526
197625,914 200210,457
197725,542 200310,027
197824,418 20048,570
197924,138 20058,360
198024,104 20067,853
198123,208 20075,709
198222,886 20085,273
198323,305 20095,113
198423,459 20105,066
198523,368 20114,897
198623,317 20124,881
198723,575 20134,804
原注:退役となり解体を待っている核弾頭は含まない

エネルギー省による核弾頭解体
(会計年度1994─2013年)
19941,369
19951,393
19961,064
1997498
19981,062
1999206
2000158
2001144
2002344
2003222
2004206
2005280
2006253
2007545
2008648
2009356
2010352
2011305
2012308
2013239
解体数合計9,952

訳注:以前のデータ公表(英文)はこちら: Declassification of Certain Characteristics of the United States Nuclear Weapon Stockpileまたはスタンフォード大サイトのコピー
とこちら: Declassified Stockpile Data 1945 to 1994またはスタンフォード大サイトのコピー
上の表の見やすいバージョンはこちらDOE Facts - Declassification of Certain Characteristics of the United States Nuclear Weapon Stockpile
下に表を訳出

定義

「保有核(stockpile)」には、「現用(active)」と「非現用(inactive)」の両種の弾頭が含まれる。現用核弾頭には、使用できる状態に維持された「運用態勢(operational)」の戦略及び非戦略核兵器、短期の時間枠で配備されうる状態の核弾頭、それに補給スペアが入る。これらの核弾頭には、トリチウム・ボトル(訳注)その他の「限定的寿命部品(LLC=Limited Life Components)」が入っている。非現用の核弾頭は、貯蔵所に置かれ、「非運用態勢(non-operational)」で維持されており、そのトリチウム・ボトルは取り外されている。

「退役(retired)」核弾頭は、その運搬プラットフォームから外され、「機能状態(functional)」ではなく、保有核の一部とは見なされない。解体待ちの核兵器は、全核弾頭数の相当部分を占め、新START条約が実施され、また、不必要な核弾頭が退役するに従い増えていく。

解体済み核弾頭は、部品に分解された核弾頭である。

訳注:

トリチウムは、ブースト型と呼ばれる原爆(水爆の引き金部分)で核分裂の効率を上げるのに使われる。トリチウムは、起爆の際にボトルから中空のプルトニウムの中心部に注入される。トリチウムは約12年半の半減期で減少するので、定期的にボトルの取り替えが必要。次を参照:水爆開発から核実験へ


参考: 米国の保有核データ 1945-1994(94年6月発表)

DOE Facts - Declassification of Certain Characteristics of the United States Nuclear Weapon Stockpile の表

機密解除の保有核データ 1945-1994

総量は、1945-1961年のものである。1945-1948年の総量は、すでに機密解除となっていた。1961年以後の総量はまだ機密である。なぜなら、1962年以後に導入された兵器システムの中には、まだ現在の保有核に入っているものがあるからである。

下に示してある製造数は、すでに完全に退役となったものの年次製造総数でる。これは、米国の核兵器製造量の一部をなす。現在も保有核(ストックパイル)に入っている核兵器の年次製造量は機密のままとなっている。

1984年の1989年の退役速度は、実際に退役となった核兵器の数をよりよく反映するために、ストックパイル・メモランダムの退役数から調整している。下に示した退役数は、転換、改良、あるいは解体処分用に退役した核兵器を反映している。退役数で重要なのはは、退役と言う言葉をどう定義するかという点である。

下に示す分解数は、実際の処分のために解体された数だけを反映している。エネルギー省が別の所で公表した生の数値は、通常、もっと大きくなっているが、これは核兵器が分解された回数を反映したもので、処分・廃止のための分解とは限らない。例えば、修理目的で核兵器を分解して一部を取り替えた後、ストックパイルに戻すこともある。処分のための分解に関する1980年までの記録は、直ちには得られないが、可能であれば将来提供されるだろう。

総数 メガトン 製造 退役 分解
194520.04200
194690.18700
1947130.26400
1948501.254360
19491704.1912330
19502999.532641350
195143835.252841450
195284149.956442410
19531,16972.80345170
19541,703339.0153510
19552,4222,879.99806370
19563,6929,188.651,3791090
19575,54317,545.862,2323810
19587,34517,303.542,6198170
195912,29819,054.627,0882,1350
196018,63820,491.177,1788380
196122,22910,947.715,1621,5710
1962機密12,825.024,5297660
1963機密15,977.173,1858300
1964機密16,943.973,4932,5340
1965機密15,152.503,5191,9360
1966機密14,037.462,4292,3570
1967機密12,786.171,6931,6490
1968機密11,837.655362,1940
1969機密11,714.446843,0450
1970機密9,695.202191,9360
1971機密8,584.401,0731,3470
1972機密8,531.511,5461,5410
1973機密8,452.001,1715440
1974機密8,325.229598070
1975機密7,368.387482,2400
1976機密5,935.514272,1810
1977機密5,845.02219980
1978機密5,721.16501,1480
1979機密5,696.341707300
1980機密5,618.860904732
1981機密5,382.91301,8871,577
1982機密5,358.893381,5371,535
1983機密5,232.472177491,120
1984機密5,192.201871,143994
1985機密5,217.481951,3221,075
1986機密5,414.541401,2241,015
1987機密4,882.1409581,189
1988機密4,789.7701,023581
1989機密4,743.3401,7941,208
1990機密4,518.91001,154
1991機密3,795.94001,595
1992機密3,167.88001,856
1993機密2,647.31001,556
1994機密2,375.3000926(4月まで)

  


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