核情報

2005.3.8

桜井よし子、猪瀬直樹、船橋洋一の3氏がこぞって唱える凍結・中止

個性豊かな論客の3人が、六ヶ所再処理工場の凍結・中止を唱えている。

桜井よし子と猪瀬直樹の両氏は、奇しくも2004年9月16日号の「週刊新潮」と「週刊文春」の連載コラムでそろって再処理凍結・中止を提唱した。

桜井氏は「再処理工場の稼働は見合わせよ」で

「日本の電力の3割以上を供給している原子力発電はこれからも必要との立場で見ても、青森県に完成した六ヶ所村再処理工場は稼働させるべきではない。経済的に見合わないばかりか、当初考えられていた仕組みが崩れ、再処理工場を必要とする状況がなくなっているからだ」

と主張している。

さらに、再処理工場は「表は日本を代表する一流の企業だが、裏に回ればハリボテだ」とする複数の関係者の証言を紹介する。

「だからこそ、六ヶ所村の受け入れ施設のプールからポタポタと水漏れするような現象が生じるのです。単に溶接が不具合だった、で済む問題ではありません。超音波検査を行えばすぐにわかる不具合を、検査もしていないのです」

というわけだ。

桜井氏は、この他にも、2004年9月から11月にかけて「週刊ダイヤモンド」と「週刊新潮」に同様の趣旨の文章を5本も書いている。

一方猪瀬直樹氏は「週刊文春」のコラム「ニュースの考古学」に『国民から19兆円が盗まれる』と題する文章を載せ、元々再処理で分離したプルトニウムを利用してさらにプルトニウムを大量に生産するはずだった高速増殖炉計画が頓挫しているいま、

「六ヶ所村の施設は稼働しない方がいい、とじつは学者も電力業界も、役人ですら常識になっている。日本というコンセンサス社会は、誰かが責任をとると明言しないと、”集団自殺”へ向かう。」

と述べ、次のように続けている。

「19兆円のコストは、当然だがプルサーマルでは見合うものではない。・・・  小泉さん、ここは総理が決断すべきです。おかしな話し、そうすれば関係者はむしろほっとするのです。」

猪瀬氏の「集団自殺」への言及は、米国の環境保護団体「天然資源防護協議会(NRDC)」の核問題専門家クリス・ペインが言っていたことを思い出させる。

「日本人は第二次世界大戦から何も学んでいない。負けると分かっていても、意味のないことだと分かっていても、止まることができない。」

(その意味では、米国も広島・長崎か ら教訓を得ることなく核兵器の開発を続けてしまうのだが)小泉首相は、本当は止まりたいと思っている原子力業界の人々に手を貸して上げられるだろうか。

両氏の凍結の提唱を受けて、日本原燃の兒島伊佐美社長は、9月28日の定例記者会見で

「もっと事実、現実を見て話しをして欲しい」

と反論した。特に桜井氏の「ハリボテ」発言について、何をもってハリボテというのかとの問いを発しているが、使用済み燃料プールの水漏れガラス固化体貯蔵建屋設計ミス問題などからいって、どちらに軍配が上がるだろうか。

再処理事業批判した櫻井氏らに反論/日本原燃社長 東奥日報

船橋氏は、2004年12月2日のコラムで、「六ヶ所村再処理は凍結を」 と訴えている。同氏は、再処理そのものには反対をしていないが、国際的な核拡散問題についての懸念から

「日本はプルトニウムを大量に有している。Rokkashoは日本『特別扱い』の象徴的存在として批判の対象になりかねない。イランや北朝鮮などの『核疑惑国』に要らぬ口実を与える恐れも強い。」と述べ、「日本は六ケ所村計画を一時凍結するのがよい。」

と主張している。


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