核情報

2018.12. 3

ふげんの使用済み燃料搬出でプルトニウム1.3トン増大

10月26日、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、福井県敦賀市にある新型転換炉ふげん(廃炉作業中)にある使用済み燃料搬出について仏オラノ・サイクル社と準備契約を同25日に結んだと福井県および敦賀市に伝えました。各紙は、契約は4基のキャスク(輸送容器)製造と、これらを使った使用済み燃料集合体466体の搬出に関するもので、2023年頃搬出を開始し26年夏ごろに終了との内容と報じました。一方、オラノ社は11月15日、731体(核物質重量111トン)受け入れ準備契約と発表しました。数字が合わない理由は、機構の発表が東海再処理施設に保管されているふげんの使用済み燃料に触れていないからです。機構の説明は控えめに言っても不親切で、納税者に対する説明責任を果たしていません。

福井からの搬出にしか触れない機構の説明

機構が10月26日に福井県で使った説明用資料から情報を抜粋してみましょう。

〇輸送キャスク(4基)製造時期(許認可取得含む):2018年度~2023年度
〇使用済燃料の搬出時期(輸送回数:4回):2023年度~2026年度
■昨日、輸送キャスクの製造、受け入れ先施設の改造および許認可取得の準備契約を仏国のオラノ・サイクル社と締結した。

搬出計画の年表には次のような内容が記されています。

2018年 契約締結 キャスク製造(4基、許認可含む)、受入れ先施設改造等
2022年 キャスク1基先行搬入
2023年 キャスク3基搬入
2023年度 搬出開始
2026年夏頃 搬出終了
キャスクスペック[キャスク当たり]燃料収納体数 32体
第1回
輸送
第2回
輸送
第3回
輸送
第4回
輸送
128
(4基)
128
(4基)
128
(4基)
82
(3基)
466

この内容に沿った報道のほとんどは福井県からの搬出のみに焦点を合わせ、機構資料にある「2014年9月より使用済燃料の海外再処理を視野に技術的確認・検討を実施」「使用済燃料保管量:466体保管中(全発生量1459体中、993体搬出済)」という情報についての検討が欠けていました。

2003年に約25年の運転を終了したふげんの使用済み燃料は、全発生量を再処理する予定でした。機構の説明にあるように、全発生量1459体のうち、993体が機構の茨城県東海村施設に搬送されています。ところが、2007年の新潟県中越沖地震で止まっていた東海再処理工場が、福島事故後の14年に廃止決定となります。その結果、07年度までに再処理されていなかったものが東海村で保管状態にあるのです。

実はオラノ社発表の前日の14日、ふげんを所管する文部科学省は立憲民主党宮川伸議員事務所での面談で東海村施設での保管分について問われ、東海村にある265 体が搬出計画に含まれると回答していました(723体は再処理済み。再処理していない照射後試験用5体は搬出せず)。つまり、敦賀と東海村合わせて731体を搬出する計画です。機構の資料はキャスク4基製造としていますが、実際は合計6基製造で、最初の3年間は敦賀用4基に東海村分用が2基ずつ、最後の年は敦賀用3基に3基が追加されるとのことです。文科省は使用済み燃料には1.3トンのプルトニウムが含まれると機構から聞いていると説明しています(核兵器約170発分)

茨城県や東海村には、東海村からの搬出計画について説明しているのかとの問いには、現地には説明してあるとの回答でした。では、敦賀と東海村を合わせた搬出計画の全貌をどこかで説明したことがあるかというと、それはないとのことです。それで、全貌が分かるような説明図を示して欲しいとの要望に応える形で文科省から宮川議員事務所に送られてきたのが下の図です。福井県・敦賀市に搬出計画を説明するために訪れた際、機構はなぜ、自治体関係者やマスコミにこのような図を示さなかったのでしょうか。マスコミを通じて事実を知る権利のある納税者たる国民や国会はなぜこの全貌を知らされなかったのでしょうか。


保有プルトニウム削減を謳った原子力委員会は?

原子力委員会は7月31日に発表した文書において、我が国は「プルトニウム保有量を減少させる」と述べています。具体的な措置や法的権限の明らかでない希望的観測の宣言のようなこの文書は「研究開発に利用されるプルトニウムについては、情勢の変化によって機動的に対応することとしつつ、当面の使用方針が明確でない場合には、その利用又は処分等の在り方について全てのオプションを検討する」としています。これは、昨年6月6日機構大洗施設で容器点検中に発生した作業員5人被曝事故で明らかになったずさんな管理状態のプルトニウムのうち、技術的に使用不能なものは処分検討というレベルの話と見た方がいいようです(参考:https://twitter.com/kakujoho/status/1047436196178145281)。

宮川議員事務所での面談で、原子力委員会(10月13日)も文科省(同14日)も、今回の契約は準備契約であって再処理が決まったわけではないと強調しています。しかし、福井新聞(10月27日)が「再処理する内容の契約はキャスク製造期間中に締結する」と報じている通り、準備契約は再処理契約の一環です。原子力委と文科省は、再処理する場合にはその前に原子力委が内容を検討するから利用計画のないプルトニウムは生じないと主張します。その原子力委検討時期については、原子力委は再処理契約締結後、文科省は契約案の出た段階との説明です。

3月にふげんの使用済み燃料の処分方法について原子力規制委員会から意見を求められた原子力委は、4月17日に「使用済燃料は、国内又は我が国と原子力の平和利用に関する協力のための協定を締結している国の再処理事業者において全量再処理を行う」方針を良しとすると答申しています。利用計画については、再処理委託決定後「速やかに、原子力委員会に報告することを求める」との内容です。その段階で再処理を止めろとの指示が出るはずはなく、このままでは、福井現地の搬出要求の声を口実に必要のない再処理が進められることになります。分離されるプルトニウムには軽水炉で利用困難なものが含まれており、それを燃やすためとして高速炉計画が推進されるという構図です。例えば、常陽の再稼働の理由付けに利用される可能性があります。

参考

  1. 種別の表

    文科省から宮川議員事務所に送られた資料。

    核情報注:表からウランに送られるふげんの使用済み燃料のほとんどがMOXタイプB燃料で、この燃料の場合、再処理で取出したプルトニウムに含まれる核分裂性プルトニウムの割合が50%程度になることが分かる。

  2. 日本原子力研究開発機構における研究開発用プルトニウムの利用方針について(pdf) 2017年12月23日 日本原子力研究開発機構

    1.原子力機構が保有するプルトニウムの状況

    原子力機構は平成29年末時点で、今後利用する計画のプルトニウム(以下「プルトニウム」という。)を約4.6トン(うち、核分裂性プルトニウム約3.2トン)保有する見込みです。内訳は以下のとおりです。

    • 再処理施設:約0.3トン(うち、核分裂性プルトニウム約0.2トン)
    • プルトニウム燃料加工施設:約3.8トン(うち、核分裂性プルトニウム約2.6トン)
    • 原子炉施設等:約0.5トン(うち、核分裂性プルトニウム約0.4トン)

    東海再処理施設は平成29年6月に廃止措置計画の認可申請を行い、現在、審査中となっており、今後は当該施設において使用済燃料から新たなプルトニウムを分離することはありません。

  3. 日本原子力研究開発機構における研究開発用プルトニウムの利用計画(2006年度)(pdf)
    日本原子力研究開発機構における研究開発用プルトニウムの利用計画(平成18年度)
    H18年9月29日
    日本原子力研究開発機構
    所有者18年度再処理予定量*1
    使用済燃料重量(トンU)
    所有量*2利用目的*5
    高速増殖炉の研究開発等
    17年度末保有*4
    プルトニウム量
    (トンPuf/年)*3
    18年度回収予定
    プルトニウム量(トンPuf)*3
    利用場所利用量
    (年間利用目安量)*6
    (トンPuf)*3
    利用開始時期及び
    利用に要する期間の目途
    日本原子力
    研究開発機構
    203.6
    《0.6》
    0.1高速実験炉
    「常陽」
    0.1平成18年度以降約8年相当*7
    高速増殖原型炉
    「もんじゅ」
    0.5平成20年度以降約6年相当*8
    合計203.70.6

    核情報注:数字は核分裂性プルトニウムのものであることに注意。(黄色着色は核情報)


初出:原水禁/平和フォーラム ニュースペーパー 2018年12月号


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