核情報

2006.3

マーキー議員らへ加藤良三大使返答(2月14日)

──基本的に1月27日の政府見解の翻訳版

1月26日に六ヶ所再処理工場が核拡散に与える影響について懸念を表明する書簡を加藤良三大使に送った米国の6人の下院議員に対し、大使は、2月14日になってやっと返事を送りました。原子力資料情報室やピースボートなどの代表らが早急に議員らに回答することを求める要請書を外務省に送ったのが13日のことでした。大使の回答(英文)は、1月27日の日本政府見解の翻訳を基礎としたものです。

(*原文英文)

日本大使館

2006年2月14日

親愛なるマーキー議員殿

六ヶ所使用済み燃料再処理工場の運転開始を進めようとする日本の計画についての懸念を表明された貴下の2006年1月26日付け書簡に対して、お返事を差し上げる。

現在の国際的核拡散に関する現在の状況からすれば、核不拡散体制が国際社会が取り組むべき最も重大かつ緊急の課題の1つであることは、理解しており同意見である。

同時に、原子力発電は、電力の安定供給及び地球温暖化対策の手段として、今日の世界においてその重要性を増している。日本における天然資源の乏しさ及び海外のエネルギー源への依存のため、原子力は、エネルギー供給を保証する上で、原子力発電は、日本の頼みの綱の1つである。

この文脈において、我が国は、核不拡散性を確保した上で、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを国の基本方針としており、このような方針は、2005年10月の原子力政策大綱においても、複数のシナリオ分析を徹底的に比較検討した上での結果として改めて確認されている。

核燃料サイクルの推進に当たっては、利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を踏まえて、透明性をいっそう向上させる我が国独自の原則として、電気事業者等は、アクティブ試験を前に、我が国のプルトニウム利用が厳に平和の目的に限られることについて内外の理解と信頼の一層の向上を図るため、プルトニウム利用計画を公表した。私はこの措置が核燃料サイクルを推進する上での透明性をさらに向上させると確信している。この公表内容は、原子力委員会により、プルトニウム利用の透明性の向上の観点から妥当であると判断されている。

また、六ヶ所工場においては、純粋なプルトニウム酸化物単体が存在することがないように、ウランと混合したMOX粉末(混合酸化物粉末)を生成するという技術的措置も講じられている。

なお、我が国は、核兵器を持たない、作らない、持ち込ませないという非核三原則を堅持している。核不拡散の観点から、厳格な核物質防護及び輸出管理規制並びに、NPTに基づくIAEA(国際原子力機関)保障措置及び国内保障措置の厳格な適用を確保してきている。とりわけ、「大型再処理工場保障措置検討会合(LASCAR)」の結論が六ヶ所工場で適用されている保障措置手段の開発に反映されている。その結果、六ヶ所工場についても、平和利用を担保するための保障措置が適切に実施できることが国際的にも認められている。

我が国としては、非核兵器国としてこれまで原子力平和利用の実績・経験に基づいた核不拡散と平和利用を両立させるべく、核燃料サイクル政策を推進していく考えである。

この情報が貴下の懸念を和らげるのに役立つことを望む。さらに質問があれば、私のスタッフの一人、科学部の参事官イクカワ・ヒロシ氏に遠慮なくコンタクトして欲しい。

敬具

加藤良三

日本大使

米国下院議員エドワード・マーキー閣下


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