核情報

2006.1.28

米国の6人の議員、六ヶ所再処理工場に懸念表明

共同通信が、日本時間の27日、「米野党民主党のマーキー下院議員ら六議員は二十六日、日本原燃が使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)で計画する使用済み核燃料を使う試運転(アクティブ試験)をめぐり、核拡散上の「懸念」があるとして中止を求める書簡を日本政府に送った」と報じました。(プレスリリース)

日本政府は27日、異例の早さで、この書簡についての見解を発表しました。

参考記事

マーキー下院議員プレスリリース

エドワード・J・マーキー下院議員(マサチューセッツ州第7選挙区)プレスリリース

2006年1月26日
CONTACT: Tara McGuinness (202) 225-2836

マーキー上院議員、日本の核再処理についての懸念表明

ワシントンDC

エドワード・J・マーキー議員(民主党−マサチューセッツ州)──エネルギー・商業委員会のシニア・メンバーで、超党派核拡散防止タスクフォースの共同議長──は、他の5人の下院議員の署名した書簡を、加藤良三大使に送り、六ヶ所再処理工場運転開始を進めようという日本の計画についての懸念を表明した。

「再処理は、実証されていない危険な計画だ。核拡散の扉を開くからだ。」とマーキー議員は述べた。

そして彼は、次のように付け加えた。「日本は、持続可能で効果的な核拡散防止体制を送出するために立ち上がり、そのリーダーとなるユニークな位置にある。日本は、核兵器に使われうる物質をさらに作るだけになってしまう再処理計画への道を進むべきではない。」

議員書簡は、六ヶ所使用済燃料再処理工場の運転開始を進めようという日本の計画についての懸念を表明した。そして、書簡は次のように述べている。「私たちは、核兵器利用可能なプルトニウムの抽出の継続が重大かつ不必要な脅威を国際的安全保障及び核不拡散にもたらすと確信しております。このため、私たちは、2006年の六ヶ所でのアクティブ試験を中止し、それを六ヶ所再処理工場の運転を延期するというより広範な合意の一環とするよう要請します。」

議員書簡は、また、世界全体の核兵器利用可能核分裂性物質──高濃縮ウラン(HEU)及び分離済みプルトニウム──保有量を減らすと言う世界的イニシアチブの一環としてこのような措置を講じるよう日本に促した。

書簡はまた、「余剰プルトニウムを持たないとの原則」を約束した1997年12月のIAEAに対する日本声明を私たちは、高く評価した。しかし、書簡は同時に、「2003年末までに日本のプルトニウム保管総量は40.6トンに増大したと理解しています。商業用の増殖炉計画がなく、混合酸化物(MOX)使用計画が相当の問題に直面しているということを考えれば、新しい再処理工場におけるさらなるプルトニウムの分離及び蓄積は、日本の方針に反するものであることは明らかです。」と指摘した。

最後に、書簡は、プルトニウムのさらなる分離及び蓄積を禁止する上で日本がリーダーシップを発揮するよう提案するに際し、議員達が日本だけにこのような約束をするよう求めるつもりはないことを強調した。議員達は、米国における再処理再開のいかなる試みも阻止する所存であり、また、すべての国がこの技術・慣行を放棄するべきだと確信しいると述べた。

議員書簡は、次のように結んでいる。「すべての核兵器利用可能なプルトニウムの分離及び使用を禁止する包括的で検証可能な体制が作られるべきだと私たちは考えます。私たちは、このような高価な計画の中断というのは、難しい決定であるというのは重々承知しておりますが、このような問題も、持続可能で効果的な核不拡散体制の創造の必要性に比べれば、とるに足らぬものだということは明らかです。」

加藤良三大使宛て書簡

米国議会 ワシントンDC 20515
2006年1月26日

ワシントンDC20008
2520 マサチューセッツ・アベニュー
日本大使館
加藤良三大使

加藤大使殿

私たちは、六ヶ所再処理工場運転開始を進めようという日本の計画についての私たちの懸念を表明するために、書簡をお送りする次第です。私たちは、核兵器利用可能なプルトニウムの抽出の継続が重大かつ不必要な脅威を国際的安全保障及び核不拡散にもたらすと確信しております。このため、私たちは、2006年の六ヶ所でのアクティブ試験を中止し、それを六ヶ所再処理工場の運転を延期するというより広範な合意の一環とするよう要請します。

私たちは、世界全体の核兵器利用可能核分裂性物質──高濃縮ウラン(HEU)及び分離済みプルトニウム──保有量を減らすと言う世界的イニシアチブの一環としてこのような措置を講じるよう日本に要請します。私たちは、これは国際社会にとって高い優先順位を持つべきものと考えます。なぜなら、このような行動が、核軍縮と核拡散防止を推進し、テロリストたちによる核兵器の獲得を防止するのに役立つだろうからです。

「余剰プルトニウムを持たないとの原則」を約束した1997年12月のIAEAに対する日本声明を私たちは、高く評価します。しかし、私たちは、2003年末までに日本のプルトニウム保管総量は40.6トンに増大したと理解しています。商業用の増殖炉計画がなく、混合酸化物(MOX)使用計画が相当の問題に直面しているということを考えれば、新しい再処理工場におけるさらなるプルトニウムの分離及び蓄積は、日本の方針に反するものであることは明らかです。

プルトニウムのさらなる分離及び蓄積を禁止する上で日本がリーダーシップを発揮するよう提案するに際し、私たちは、日本だけにこのような約束をするよう求めるつもりはありません。私たちは、米国における再処理再開のいかなる試みも阻止する所存でありますし、また、すべての国がこの技術・慣行を放棄するべきだと確信しております。そして、すべての核兵器利用可能なプルトニウムの分離及び使用を禁止する包括的で検証可能な体制が作られるべきだと私たちは考えます。

私たちは、このような高価な計画の中断というのは、難しい決定であるというのは重々承知しておりますが、このような問題も、持続可能で効果的な核不拡散体制の創造の必要性に比べれば、とるに足らぬものだということは明らかです。

この件に関しお考えをお聞かせ願えれば幸いです。

敬具

エドワード・マーキー議員 ドナルド・M・ペイン議員
ヴィック・スナイダー議員 シーラ・ジャクソン・リー議員
ジェイムズ・P・マクガヴァン議員 マーティー・ミーハン議員

日本政府見解

平成18年1月27日

資源エネルギー庁

米国民主党議員からの六ヶ所再処理工場試験中止要請の書簡に関する報道に対するわが国の見解について

本年1月26日、米国民主党エドワード・マーキー議員他全6名の民主党議員の連名により、在米日本大使館加藤大使宛てに、「核不拡散上の懸念から、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験の停止を求める」旨の書簡が送られたとの報道がありました。(注:現時点では未だ日本政府には届いていない。)

これに対するわが国の見解は次の通りです。

未発表資料の問い合わせ先

資源エネルギー庁
原子力政策課 柳瀬、粕谷
電話:03−3501−1991
核燃料サイクル産業課 櫻田、香山
電話:032−3501−6291



六ヶ所再処理工場のアクティブ試験について

2006年1月27日

内閣府
外務省
文部科学省
経済産業省

六ヶ所再処理工場のアクティブ試験開始について、米国の国会議員が、核不拡散の観点からアクティブ試験の中止を求めたとの一部報道があったが、これに対する我が国の考え方は以下のとおり。

  1. 我が国は、核不拡散性を確保した上で、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを国の基本方針としており、このような方針は、2005年10月の原子力政策大綱においても、複数のシナリオ分析を徹底的に比較検討した上での結果として改めて確認されている。
  2. 核燃料サイクルの推進に当たっては、利用目的のないプルトニウムを持たないという原則を踏まえて、透明性をいっそう向上させる我が国独自の原則として、電気事業者等は、アクティブ試験を前に、我が国のプルトニウム利用が厳に平和の目的に限られることについて内外の理解と信頼の一層の向上を図るため、プルトニウム利用計画を公表した。この公表内容は、原子力委員会により、プルトニウム利用の透明性の向上の観点から妥当であると判断されている。
  3. また、六ヶ所工場においては、純粋なプルトニウム酸化物単体が存在することがないように、ウランと混合したMOX粉末(混合酸化物粉末)を生成するという技術的措置も講じられている。
  4. なお、我が国は、非核三原則を堅持し、核不拡散の観点から、厳格な核物質防護及び輸出管理規制に基づくIAEA(国際原子力機関)保障措置及び国内保障措置の厳格な適用を確保してきており、六ヶ所工場についても、平和利用を担保するための保障措置が適切に実施できることが国際的にも認められている。
  5. 我が国としては、非核兵器国としてこれまで原子力平和利用の実績・経験に基づいた核不拡散と平和利用を両立させるべく、核燃料サイクル政策を推進していく考えである。

参考

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