(粗訳)
2月11日 国防大学での演説から
まず第一に 私は、「拡散安全保障イニシアティブ(PSI)」を拡大して、輸送と移転以外をも対象とするようにすることを提案する。テロリストと戦うために作り上げた手段を基礎として、拡散に関わっているネットワークに対して直接的措置を講じることができる。われわれは、情報・軍部機関だけでなく、法執行部門でも協力を拡げる必要がある。PSIの参加国その他のその気のある国々は、「インターポル(国際刑事警察機構)」その他の手段を活用して、恐ろしい兵器の密輸をするものを刑罰に処し、彼らの研究所を閉鎖し、物質を押収し、彼らの資産を差し押さえる必要がある。われわれは、あらゆる手がかりを追い求めなければならない。われわれは、仲介者、売り手、そして、買い手を見つけだす。拡散者に対するわれわれのメッセージは、一貫したものでなければならず、そして、明確でなければならない。われわれは、おまえたちを見つけだす。われわれは、おまえたちを阻止するまで休まない。
第二に、私は、すべての国々に対し、拡散を規制する法規と国際管理を強化するよう呼びかける。私は、昨年秋国連において、新しい安保理決議を提案した。すべての国に対し、拡散を犯罪と規定し、厳密な輸出規制法を制定し、国内におけるすべての機微な物質を安全に管理することを要求するものである。安保理は、この決議を迅速に採択すべきである。そして、安保理がそれを行った場合は、米国は、拡散に対処する上でわれわれの助けになるような新しい法規の作成・執行の点で他国に協力する用意がある。
第三に、冷戦時代からの兵器その他の危険な物質がよからぬものの手中に入らぬようにするための努力を拡大することを私は提案する。1991年、米国議会は、ナン・ルーガー法を通過させた。ルーガー上院議員は、ナン上院議員とともに、旧ソ連についてどうすべきかについて明確なビジョンを持っていた。このプログラムの下で、われわれは、兵器研究の科学者のために生産的な雇用を確保する上で旧ソ連諸国に協力している。ソ連の大量破壊兵器庫が残した兵器・物質を解体・破壊・確保している。この点ではやるべきことがまだある。
そして、2002年のG−8サミットの結果として、10年に渡って200億ドルを提供することに合意した。このようなプログラムを支持するためのものである。われわれは、この協力体制を世界の他のところにも拡大すべきである。われわれは、イラクやリビアのような国々における大量破壊兵器の科学者・技術者を保持する。われわれは、研究炉における兵器級ウランの使用の停止に関して各国と協力する。私は、もっと多くの国が、この努力に関わるよう要請する。世界の国々は、核及び化学・生物・放射学的物質を確保し、無くしていかなければならない。
これらのネットワークを追跡し、破壊する中で、われわれは、諸国が偽りの装いの下に核兵器を開発するのを防がなければならない。核不拡散条約は、すでに核兵器を持っている国以上に核兵器が拡散するのを防ぐために30年前に編み出されたものである。この条約の下で、核保有国は、非核保有国が核兵器を持たないと約束すれば、平和目的の原子力開発を助けると、同意した。しかし、この条約には抜け穴があり、北朝鮮やイランのような国々がそれを利用してきた。これらの国々は、民生用原子力計画という隠れ蓑の下で核兵器を作るのに使える核物質を生産することを許されている。
であるから、私は、今日、第四の措置として、この抜け穴をふさぐ方法を提案する。世界は、兵器の拡散の危険を付け足さない形で民生用の原子力発電所を展開する安全で秩序だったシステムを作り出さなければならない。世界の主要核輸出国は、他の国が適正な価格で民生用原子炉の燃料を、当てになる形で、入手できるよう保証すべきである。条件は、それらの国々が濃縮と再処理を放棄することである。濃縮と再処理は、原子力を平和目的のために活用しようとしている国々にとって必要ではない。
「原子力供給国グループ」の40カ国は、すでに本格的で稼働しているウラン濃縮・再処理施設を持っていない国には濃縮及び再処理機器・技術を売ることを拒否すべきである。」この措置は、新たな国々が核兵器のために分裂性物質を作る手段を開発するのを防ぐことになる。違法な兵器の製造に必要な物質とインフラを得るために拡散国がNPTを悪用するのを許してはならない。
国際的な規範が有効であるためには、これらを執行しなければならない。世界中で禁止された核関連活動を発見し、それらの違反を国連安保理に報告するのは、「国際原子力機関(IAEA)」の責任である。われわれは、IAEAが、その基本的な任務を遂行するのに必要な手段をすべて有するように保証しなければならない。米国その他の国々は、追加議定書と呼ばれるものを支持している。これは、各国に対し、広範な核関連活動・施設を申告するよう要求し、IAEAがそれらの施設を査察することを許すものである。
第五の措置として、私は、来年までに、追加議定書に署名した国だけが民生用原子力計画のための機器を輸入することを許されるようにすることを提案する。拡散に対する闘いについて真剣な国々は、追加議定書を承認し実施するだろう。私は、上院に追加議定書を提出している。私は、上院に対し、直ちにその批准を認めるよう要請する。
われわれは、また、IAEAが、行動が必要なときにその行動を起こせるような組織体制にあるよう保証しなければならない。そのため、第六の措置として、私は、IAEAの理事会の中に保障措置と検証に焦点を合わせる特別委員会を創設することを提案する。この委員会は、IAEAとの関係で遵守状態にある政府で構成され、各国が国際的義務を果たすように保障する上でのIAEAの能力を強化するものである。
最後は、核不拡散の義務違反について調査対象となっている国々が、現在、IAEAの理事国となることが許されている点に関するものである。たとえば、イラン──広範な核兵器計画を維持していると疑われている国──は、最近、理事会の二年の任期を終了したばかりである。潜在的な違反国が理事会のメンバーとなることを許すことは、効果的な措置に対する受け入れることのできない障害になる。拡散違反の調査対象となっている国は、IAEAの理事会──そして、新しい委員会の──メンバーにはなれないとすべきである。そして、現在理事会のメンバーとなっている国が、調査対象となった場合は、理事会の地位を一時停止とすべきである。IAEAの健全性と使命は、この単純な原則にかかっている。規則を犯している国々に、規則の執行を委ねることはできない。