核情報

2007.1.25

南アジアの核軍拡競争激化か──パキスタン研究者緊急来日

米国の「科学・国際安全保障研究所(ISIS)」が印パの核施設についての報告書を2本発表しました。

 どちらも核兵器量の増大と水爆製造の可能性を高めるものです。

*パキスタン出身研究者が緊急来日

昨年成立した米印原子力協力法は印パの核軍拡競争の火に油を注ぐことになりかねません。インドの平和運動や研究者らと共同作業を続けているジヤー・ミヤーンが来日して日本政府と国民に協定の実施を阻むよう訴えます。

東京集会: 1月28日(日) 14:00-16:00 総評会館501 問い合わせ:03-5289-8224

1)パキスタンのチャシュマ核施設、再処理工場の可能性

 報告書は、パキスタン中部パンジャブ州チャシュマ(地図(pdf))の核施設の南西の隅にある建物は、再処理工場の可能性が高いと論じる。規模不明。最近または近々運転開始。

 イスラマバード近くの再処理工場(ニューラブ施設)は、フシャブ(クシャブ)にある重水炉(1号炉)の使用済燃料を処理する能力を持つ。チャシュマの再処理工場は、フシャブで第2号炉(重水炉)ができてもその燃料を再処理できることを意味する。

 2000年、2002年、2005年、2006年の衛星写真を検討した結果、工場は、1970年代にフランスとの契約で建設が開始されながら米国の圧力で放棄された再処理工場の場所に建てられているとISISは推測。

1974年
カラチ原子力発電所(Kanupp)原子炉の使用済燃料のための再処理施設建設を請け負う会社をヨーロッパで探し始める。処理量:100トン/年
1979年
建設開始後米国の圧力で計画放棄。

2)インドのウラン濃縮プログラム、軍事用能力の拡大

インド南部マイソールから約19kmの地点にあるウラン濃縮施設(レア・マテリアル・プロジェクト(RMP))の能力が大幅に拡大されようとしているとISISは分析する。

 現在 遠心分離器 2000−3000機

  増大分 少なくとも3000機

 これによって、海軍用原子炉用と水爆用高濃縮ウランの製造が可能となる(数発分/年)

第1濃縮施設 バーバ原子力研究センター(BARC)内 ムンバイの近く

1986年
には、遠心分離器100機と推定

第2濃縮施設 レア・マテリアル・プロジェクト 

1990年頃
運転開始 
1990年代半ば
300−500機 推定
600−1500SWU/年 (2−3SWU/機/年)
*新型だと4−5SWU/機/年
1999年
3000−7000SWU/年 (M.V.ラマナ推定)
1000−2000機
2006年
2000−3000機 推定
5000−1万3000SWU/年
数年で増大
1万5000SWU/年
合計
2万−3万SWU/年

過去10年の生産量


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