原文:Status of World Nuclear Forces - Federation of American Scientists
米国科学者連合(FAS)
ハンス・M・クリステンセン、マット・コルダ、エリアナ・ジョンズ、マッケンジー・ナイト
[訳注:著者らの承諾を得て全文訳出。この日本語訳の2024年6月更新版は、原文の2024年6月13日更新版を反映している。原文の同更新はSIPRI年鑑2024年(2024年6月17日発刊)の第7章「世界の核戦力」(pdf)(FASのデータの主著者ハンス・M・クリステンセン及びマット・コルダ執筆)のデータと整合性のあるものとなっている。「世界の核兵器の状況 2024」3月版からの主な更新は、中国の配備戦略核が0から24、同予備・非配備が500から476、また、インドの核兵器数が170から172にそれぞれ変わり、その結果合計が変更されたこと。]
<追記> SIPRI年鑑のプレスリリース の記述を基にした核情報作成の表「世界の核兵器の状況(前年との比較)」を追加しました。また、SIPRI年鑑第7章(pdf)のテキストに基づく情報(高い警戒状態に置かれた核)、そして、本稿掲載後の7月20日に米国が公表した過去3年間の保有核数などに基づく情報をそれぞれ、<追記>の形で入れました。
誰が世界の核兵器を持っているのか?
冷戦後の核兵器数の削減の進展にもかかわらず、世界の核弾頭「総数」は非常に高いレベルにとどまっている。2024年初頭現在、9カ国が約1万2100発の核弾頭を保有している。
米ロは、合計すると、世界の核兵器総数の約88パーセント、軍部が使用できる核弾頭の84パーセントを保有している。他の核保有国は、国家安全保障のために数百発以上を保有する必要があるとは見ていない。もっとも、これら国々の多くは、その保有核を増やしつつある。
世界全体の核兵器の総数は減少してきている。しかし、そのペースは、過去30年と比べると鈍化している。しかも、この減少が生じているのは、ひとえに、米ロで過去に退役となった核弾頭の解体がまだ続いているためである。
世界全体の核兵器「総数」とは対照的に、世界全体の軍用保有核(運用状態の戦力に割り当てられた核兵器)の方は、また増え始めている。 米国は、現在も、保有核の数をゆっくりと減らしている。フランスとイスラエルの保有核の数は比較的一定している。しかし、中国、インド、北朝鮮、パキスタン、英国、そして、恐らくはロシアも、すべて、保有核を増やしていると見られる(地図参照 解像度の高い画像はこちらをクリック)。
世界の推定核弾頭「総数」 2024世界の9カ国の核武装国は、合わせて、1万2121発以上の核弾頭を持っている。そのうち、約9585発は、軍隊によって使用するためのものとなっている。ロシアと米国は、核弾頭総数の90%近くを持っている。ただしこの割合は、他の国々がその核兵器数を増やしていく中で今後、縮小していくだろう。
↗ ️軍用保有核数上昇中の国: 中国、インド、北朝鮮、
パキスタン、ロシア、英国
= 軍用保有核数が一定している国: フランス、イスラエル
↘️ 軍用保有核数が減少中の国: 米国米国ロシア中国英国フランスイスラエルパキスタンインド北朝鮮これらの数字は、推定される核弾頭数の「総数」を示している。これには、軍隊が使用できるように用意されている核弾頭に加えて、予備として維持されている核弾頭、それに解体待ちの退役核弾頭も含まれる。軍用保有核9585発のうち、約3904発が弾道ミサイルに搭載されているか、爆撃機用基地に置かれた状態にある。約2100発の弾道ミサイル搭載核弾頭が「警戒態勢」に置かれていて、通知後、短時間で発射できるようになっている。
世界の約1万2121発の核弾頭のうち、おおよそ9585発が軍用保有核で、ミサイル、航空機、水上艦艇及び潜水艦で使用するためのものである(残りは退役核だが、これらはまだ大体そのままの状態にあり、解体待ちとなっているものである)。軍用保有の9585発の核弾頭のうち、約3904発が実際に運用状態の戦力に(ミサイルに搭載、あるいは爆撃機基地に置かれた形で)配備されている。これらのうち、米・ロ・英・仏の約2100発が高い警戒状態(high alert (pdf))に置かれていて、短時間の内に使える状態にある(表参照)。
<追記> 「高い警戒状態に置かれた核」に関するSIPRI年鑑第7章(pdf)の説明:前年より約100発増加している。これらの核弾頭のほぼすべてはロシアまたは米国の所有物だったが、中国が初めていくつかの核弾頭を「高い警戒状態」に置き始めたとみられる。
核情報注:今年の表で初めて、配備戦略核の項目に中国の24発が登場していることに注意。2023年版の表では、中国の配備戦略核はゼロとされており、その注mに、「…これらの核弾頭は、どれも、完全には配備されてはおらず、集中貯蔵状態にあると考えられる。中国は、自国の核兵器をすべて戦略核とみなしている。…」とある。
世界の推定核弾頭「総数」 2024
ハンス・M・クリステンセン、マット・コルダ、エリアナ・ジョンズ、マッケンジー・ナイト
各国が保有している核兵器の正確な数は、重要な国家機密となっているから、ここで提示してある推定は相当の不確実性を伴う。ほとんどの核保有国は、保有核数について基本的に何も情報を提供していない。しかし、秘密の度合いは、国によって相当異なる。米国は、2010年から2018年まで、保有核の数を公表していたが、2019年にトランプ政権が、この慣行を中止した(英文)。 2020年にバイデン政権が核の透明性を復活させた(英文) ──民主主義国家における核説明責任体制の短命の勝利──が、その後、2021年、2022年、2023年の保有核数の機密解除を拒否している(英文)。同様に、英国は2021年に、運用状態の核弾頭、配備核弾頭、配備ミサイルの数について今後公表しないと発表した。さらに、2024年現在、米ロ両国は、新START条約で義務付けられた配備戦略核及び発射機の数についての公表データの交換を今後しないことを選択している。
<追記> 米国は、2024年7月20日、過去3年間の保有核数を公表した。23年9月末現在の軍用保有核数は3748発となっている。FASの24年初頭の推定数(3708発)との差は40発。23年9月までの1年間の退役核解体数が予想外に小さい69で、解体待ち数は約2000発となっている。2023年中の解体数を約200発と想定したFASの2024年初頭の解体待ち数推定は、1336発だった。このため、FASの解体待ちを含む「総数」推定(5044発)は、修正を必要とするものとなっている。米国のデータ公表についてのFASの分析はこちら
このような限界にもかかわらず、公開されている情報、歴史的な記録の注意深い分析、そして、時折のリークなどにより、各国の保有核の数や構成についてできる限り正確な推定をすることは可能である。それぞれの核保有国における核弾頭の内訳、そして、それぞれの国の核兵器のもっと詳細な概観のリンクなどについては、下の表を参照。(核情報注:2023年のデータは、「世界の核兵器の状況 2023」)
世界の核兵器の状況 2024 | |||||
国名 | 配備戦略核 | 配備非戦略核 | 予備/非配備 | 軍用保有核a | 総数b |
---|---|---|---|---|---|
ロシア | 1,710c | 0d | 2,670e | 4,380 | 5,580 |
米国 | 1,670g | 100h | 1,938 | 3,708i | 5,044j |
フランス | 280 | N.A. | 10k | 290 | 290 |
中国 | 24 | N.A. | 476 | 500 | 500l |
英国 | 120 | N.A. | 105 | 225 | 225m |
イスラエル | 0 | N.A. | 90 | 90 | 90n |
パキスタン | 0 | N.A. | 170 | 170 | 170o |
インド | 0 | N.A. | 172 | 172 | 172p |
北朝鮮 | 0 | N.A. | 50 | 50 | 50q |
合計r | ~3,804 | ~100 | ~5,681 | ~9,585 | ~12,121 |
この表の見方: 「配備戦略核」は、大陸間弾道弾に搭載のものと、重爆撃機の基地に置かれているもの。「配備非戦略核」は、運用状態にある短距離運搬手段の置かれた基地に配備されているもの。「予備/非配備」核は、発射装置に搭載されておらず、貯蔵されているもの(爆撃機基地にある核兵器は配備されているとみなす)。「軍用保有核」は、軍の管理下にあり、就役運搬手段に割り当てられた活性(アクティブ)及び非活性(イナクティブ)[すぐには使用できない]の核弾頭を含む。「総数」は、軍用保有核に加えて、退役となりながらそのままで解体を待っている核弾頭も含む。さらに細かくは、表に付けられた脚注を参照(注:推定はアップデートされるので、下に示す印刷物のものとは異なるかもしれない。)
<追記> 「世界の核兵器の状況(前年との比較)」(核情報作成)
軍用保有核 | 解体待ち退役核 | 総数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
国名 | 配備核 | 予備/非配備 | 合計 | |||
配備戦略核 | 配備非戦略核 | |||||
ロシア | 1710▲36 | 0 | 2670▼36 | 4380 | 1200▼200 | 5580▼200 |
米国 | 1670 | 100 | 1938 | 3708 | 1336▼200 | 5044▼200 |
フランス | 280 | 10 | 290 | 290 | ||
中国 | 24▲24 | 476▲66 | 500▲90 | 500▲90 | ||
英国 | 120 | 105 | 225 | 225 | ||
イスラエル | 0 | 90 | 90 | 90 | ||
パキスタン | 0 | 170 | 170 | 170 | ||
インド | 0 | 172▲8 | 172▲8 | 172▲8 | ||
北朝鮮 | 0 | 50▲20 | 50▲20 | 50▲20 | ||
合計(概数) | 3804▲60 | 100 | 5681▲58 | 9585▲118 | 2536▼400 | 1万2121▼282 |
核情報注:2023年の核弾頭数との比較を示したSIPRIのプレスリリース掲載の表には、ロシアの非戦略(戦術)核が今年109発下方修正されたが、これは想定の変更によるものだとの注がある。そして、同表2023年の数字にはこの変更を反映した修正は施されていないという。上の表は、この想定の変更による109発減を2023年の数字に反映させた上で計算した増減(▲▼)を示している。
歴史的文脈で言うと、世界の核兵器の数は、冷戦時以来、相当に削減されている。1986年のピーク時は約7万300だったものが、2024年初頭には1万2100となっていると推定される。政府関係者は、しばしば、この「成果」を、現在または最近の軍縮協定によるものだと説明するが、実際には、削減のほとんどは、1990年代に起きている。また、現在の数字と1950年代の数字を比較するものもいるが、それはリンゴとミカンを比べるようなものだ。今日の核戦力の能力は大幅に拡大している。
削減のペースは、1990年代と比べると相当鈍化しており、継続しているのは、退役核の解体だけによるもののようである。現在の傾向としては、軍用保有核(使用可能な核兵器)の数は、また、増え始めている。
世界の推定「保有核」数 1945 - 2024
ハンス・M・クリステンセン、マット・コルダ、エリアナ・ジョンズ、マッケンジー・ナイト
- インタラクティブなグラフの使い方:グラフ上でポインターを動かすと、その部分の情報が示される他、国名の並んでいる凡例部分をクリックすると、特定の国だけを表示することや(右下にポップアップする枠内の「Keep Only」のところをクリック)その国を除外して表示(右下にポップアップする枠内の「Exclude」のところをクリック)することもできます。縦軸のスケールも自動で変わるので、南アフリカだけを表示したり、世界合計・米・ロを除外して表示などすれば全く違うグラフが現れます。グラフ右下の「 | 」をクリックすれば元に戻ります。
核保有国は、核軍備撤廃のための計画をするのではなく、今後ずっと大量の核兵器を維持する計画のようである。この点で、これらの国々は、核不拡散条約の目的と精神に違反している。
これらの国々はすべて、残っている核戦力を相当のペースで「最新化」し続けており、数カ国は、新型の核兵器を追加したり、それぞれの国家戦略及び公式声明においてこれらの兵器が果たす役割を増大させたりしている。そして、すべての核保有国が核兵器を今後ずっと維持する意向のようである。
世界全体の「最新化」計画概観については、我々の次の二つの媒体への寄稿を参照:SIPRI年鑑2023年SIPRI Yearbook "World nuclear forces"(pdf); Nuclear Weapons Ban Monitor。各国の状況については、FAS Nuclear Notebookを参照。
それぞれの国に関して得られる情報は、もっとも透明性の高い核保有国(米国)から、もっとも不透明な国(イスラエル)まで、大きく異なっている。そのため、米国に関する推定は、「実際の」数字に基づいているが、他の核保有国のいくつかに関する推定は、不確実性が極めて高い。
これらの核兵器についての推定は、「米科学者連合(FAS)」のハンス・M・クリステンセン、マット・コルダ、エリアナ・ジョンズ、及び、マッケンジー・ナイトによるものである。彼らの研究は、トーマス・コクラン、ロバート・ノリス、ウイリアム・アーキンらのアナリストによる先駆的成果に基づいている。彼らがいなければ、この公共サービスはあり得なかった。
[訳注:それぞれの核保有国の核戦力に関する各年(2014~16年以降)の詳細な分析は、以下からダウンロードすることができる。FAS Nuclear Notebook。Nuclear Notebookは、核問題の専門誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』に1987年以来掲載されてきたシリーズ。2014年以前のNuclear Notebookは、こちらに。(抜けているものは、こちらに。)「自然資源防護協議会(NRDC = Natural Resources Defense Council)」のロバート・ノリスが中心になって始められたこのプロジェクトは、当初は、NRDC Nuclear Notebookと呼ばれた。]
この研究は、カーネギー・コーポレーション・オブ・ニューヨーク、フューチャー・オブ・ライフ・インスティテュート、ジョン・D・アンド・キャサリン・T・マッカーサー財団、ロングビュー・フィランソロピー、ニューランド財団、プロスペクト・ヒル財団、スチュワート・R・モット財団、プラウシェア基金、および個人篤志家からの助成金によって実現した。ここにおける記述内容および見解についての責任は、あくまでも著者らが負うものである。
脚注
「軍用保有核」の核弾頭は、軍の管理下に置かれ、軍部用に割り当てられているものと定義されている。↩︎
「総数」は、軍用保有核に加えて、退役となりながら、そのままで解体を待っている核弾頭も数えている。↩︎
この数字は、新START条約の下で発表された集計データ(New START Treaty Aggregate Numbers of Strategic Offensive Arms (September 28, 2021))より高くなっている。なぜなら、この表では、爆撃機基地にある爆撃機用兵器も配備として勘定しているからである。2024年現在のロシアの核戦力の詳細な概観はこちらに: Russian nuclear weapons, 2024(pdf)。表の数字は、その後の変化を反映して更新されている。 ↩︎
これらはすべて集中貯蔵施設にあると宣言されているが、一部の貯蔵施設は作戦部隊の置かれている基地の近くに位置しているかもしれない。退役となった数多くの非戦略核弾頭が解体を待っていると考えられている。 ↩︎
1112発と推定される戦略核弾頭と1558発のすべての非戦略核弾頭が含まれる。 ↩︎
軍用保有核に入る4380発の核弾頭に加えて、推定1200発の解体待ち退役核弾頭がここに入る。公開された詳細情報は少ないが、我々は、ロシアは年間200~300発の退役核弾頭を解体していると見る。ロシアの保有核の数の将来は議論の対象となっている。米戦略軍とインテリジェンス・コミュニティーの一部は、次のように主張している(STATEMENT OF CHARLES A. RICHARD COMMANDER UNITED STATES STRATEGIC COMMAND BEFORE THE SENATE COMMITTEE ON ARMED SERVICES 13 FEBRUARY 2020(pdf))。「ロシアの全体的な核兵器の数は向こう10年間で相当増えるだろう。この増加は、主として、予測されているロシアの非戦略核の増強による。」これとは異なる意見を匿名で唱えるものもいる。大きな不確実性をもたらしているのが、戦術兵器のうちどれぐらいが、通常兵器ではなく、新しい核兵器バージョンとなるか、という問題だ。2024年のロシアの核戦力概観はこちらを参照: Russian nuclear weapons, 2024(pdf) ↩︎
この数字は新START条約の下で発表された集計データ(New START Treaty Aggregate Numbers of Strategic Offensive Arms(September 28, 2021))より高くなっている。なぜなら、この表では、爆撃機基地にある爆撃機用兵器も配備として勘定しているからである。2024年現在の米国核戦力の詳細な概観はこちらに: United States nuclear weapons, 2024(pdf) ↩︎
約100発のB61 型核爆弾がヨーロッパの5カ国(ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコ)の6基地に配備されている。 ↩︎
米国は、2018年3月、同国の2017年9月現在の軍用保有核の数を3822発と発表した(Despite Rhetoric, US Stockpile Continues to Decline)。その後、トランプ政権は、数を公表しないことに決めた(Trump Administration Again Refuses To Disclose Nuclear Weapons Stockpile Size)。2021年にバイデン政権が解体された核弾頭の数字を機密解除し(After Trump Secrecy, Biden Administration Restores US Nuclear Weapons Transparency)、2020年9月現在の軍用保有核を3750発と発表した。その後、さらに核弾頭の退役が進み、残っている軍用保有核は約3700発と推定される。 ↩︎
約3700発の軍用保有核に加え、解体待ちの核弾頭が約1500発ある。さらに、解体された核弾頭から取り出された約2万個のプルトニウムの芯(ピット)と約4000個のセカンダリー[水爆の第二段階部分]のセット(Canned Assemblies)がテキサス州パンテックス工場とテネシー州Y-12工場で貯蔵されている。2024年の米核戦力の詳細な概観についてはこちらを参照: United States nuclear weapons, 2024(pdf)。 ↩︎
フランスが一隻だけ保有する空母用の核兵器は、通常は船に搭載されていないが、短期間で搭載できる。一部の潜水艦用ミサイルの核弾頭の搭載数は、目標設定の柔軟性を増すために減らされている。フランス核戦力の詳細な概要はこちらを参照:French nuclear forces, 2019(pdf)。 ↩︎
中国の核保有量は増えている。米国国防省は2022年に、2030年までに中国の「核弾頭数は約1000発となる」と主張している(Military and Security Developments Involving the People's Republic of China 2022(pdf))。この増加の一部はすでに進行中であり、我々の見積もりにはその一部が含まれている。だが、これ主張は多くの不確定要因に左右される。ミサイル・サイロが何基建設されるか、ミサイルはそれぞれ何発の核弾頭を搭載するか、中国の将来の核分裂性物質の生産がどうなるとみるか、などだ。現在、少数の核弾頭が配備されているが、残りは、集中貯蔵状態にあると考えられる。中国は、自国の核兵器をすべて戦略核とみなしている。しかし、米国軍部は、中国の準中距離及び中距離ミサイルを非戦略核と呼んでいる。中国の2024年の核戦力の詳細な概要については、こちらを参照: Chinese nuclear weapons, 2024(pdf)。 ↩︎
英国のそれぞれの潜水艦に搭載されている核弾頭の数は、48発から40発に削減されている。このため、「作戦運用可能な」核弾頭の数は、160発から120発に減っている。元の計画では、2020年代半ばまでに、保有核の数は、「180以下」に下がることになっていた。しかし、ジョンソン政権は、2021年に、保有核は「最大で260発」に増大すると発表した(British Defense Review Ends Nuclear Reductions Era(クリステンセン))。英国の2021年の核戦力の詳細な概観はこちらに: United Kingdom nuclear weapons, 2021(pdf)。 ↩︎
イスラエルは、核弾頭100~200発分のプルトニウムを生産しているが、運搬手段の数や、米国インテリジェンス・コミュニティーによる推定から、保有核は約90発程度と考えられる。2021年のイスラエルの核戦力の詳細な概観は、こちらに: Israeli nuclear weapons, 2021(pdf)。 ↩︎
パキスタンの核弾頭数の推定は大きな不確実性を伴う。パキスタン政府も西側政府も公開情報を提供していないからである。パキスタンの核弾頭は、どれも、ミサイルに搭載されておらず、集中貯蔵状態に──ほとんどが南部の地域で──置かれていると考えられている。核弾頭の製造が続いている。2023年の詳細な概観はこちらに: Pakistan nuclear weapons, 2023(pdf) ↩︎
インドの核弾頭数の推定は大きな不確実性を伴う。インド政府も西側政府も公開情報を提供していないからである。準備態勢を高める努力は進められているが、インドの核弾頭は、どれも、ミサイルに搭載されておらず、集中貯蔵状態に置かれていると我々は推定する。爆撃機用核兵器は、比較的短時間で使用できるだろう。核弾頭の製造が続いている。インドの2022年の核戦力の詳細な概要はこちらに: Indian nuclear weapons, 2022 ↩︎
北朝鮮は、6回の核実験──10~20キロトン規模2回と150キロトン以上1回を含む──を経て、最大で90発分の核分裂性物質を製造している可能性があると我々は推定する。組み立てられた核弾頭の数は不明だが、もっと少ない。北朝鮮は核弾頭を50発ほど組み立てているかもしれないと我々は推定するが、この数は確実に増えつつある。北朝鮮の2022年の核戦力の詳細な概観はこちらに: North Korean nuclear weapons, 2022。<追記> 訳注:最新版はこちらに:North Korean nuclear weapons, 2024。 ↩︎
四捨五入や、4つの小規模核保有国の運用状態の不確実性、そして、5つの最初の核保有国のうちの3カ国の総数の規模に関する不確実性などのため、これらの数字は、項目の合計に一致しない場合がある。 ↩︎