核情報

2014. 2.28

もんじゅ延命 「増」か「減」かそれが問題だ
エネルギー基本計画の小細工

2月25日、政府は、原子力関係閣僚会議を開いてエネルギー基本計画の政府案をまとめました。もんじゅの高速増殖炉としての役割について変更があるのではとの噂がありましたが、「高速増殖炉の成果のとりまとめ」という文言は消えたものの、実質的にもんじゅに高速増殖炉研究と廃棄物の「減容・有害度低減」研究の両方の役割を担わせるとする昨年12月の経産省審議会の提案と変わらないものとなっています。自公の話し合いを経て年度内に最終案が閣議決定されると見られていますが、今後の議論の参考に、12月案と2月案の核燃料サイクル・もんじゅ関連部分を比較・検討してみましょう。

  1. 増殖炉の文字は消えたが実態は残る──カギは文科省の「もんじゅ研究計画」
  2. 絵に描いた餅と今そこにある危機:再処理=核兵器利用可能物質の蓄積
  3. 各紙の報道
  4. 高速増殖炉の位置づけ、前回のエネルギー基本計画よりは後退
  5. 2月25日政府案と12月経産省基本政策分科会案の比較

参考

増殖炉の文字は消えたが実態は残る──カギは文科省の「もんじゅ研究計画」

核燃料サイクル全体についての政府の考え方が分かるように、発表された政府案の第3章第4節「原子力政策の再構築」の「4.対策を将来へ先送りせず、着実に進める取組」について、昨年12月の経済産業省総合資源エネルギー調査会基本政策分科会「エネルギー基本計画に対する意見」(pdf)の該当部分を比べた表を下の方に掲げますが、まずもんじゅに関する核心部分を見てみましょう。

12月案

もんじゅについては、これまでの取組の反省と教訓の下、実施体制を再整備する。その上で、新規制基準への対応など稼働までに克服しなければならない課題への対応を着実に進めるとともに、もんじゅ研究計画に従い、高速増殖炉の成果のとりまとめ等を実施する。

2月25日案

もんじゅについては、これまでの取組の反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行い、国際研究協力の下、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、そのため実施体制の再整備や新規制基準への対応など克服しなければならない課題について十分な検討、対応を行う。

高速増殖炉の文字は消えたのですが、カギは「もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめる」という部分です。文部科学省の「原子力科学技術委員会 もんじゅ研究計画作業部会」(主査:山名元(はじむ)京都大学原子炉実験所教授)が昨年9月にまとめた「もんじゅ研究計画案1」(pdf)を見て分かる通り、「もんじゅ計画」は「高速増殖炉開発の成果をとりまとめる」ことを含むことを定めているのです。

(基本的考え方)

・「もんじゅ」については、国内における高速増殖原型炉として、特に発電システムを備えるプラント技術を実証し、運転・保守経験を通じた技術の確立・継承が行えるよう高速増殖炉開発の成果を取りまとめる。

・これに加え、重要な視点の一つとしてきた廃棄物の減容及び有害度の低減に関する研究について、従来よりも重点を置く。

・また、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原子力の社会的受容性の向上を図るためにも、原子力発電システムの安全性を従来よりも格段に高めつつ、社会とのコミュニケーションの充実に努めることが必要となっている。

・このような観点より、今回の研究計画における「もんじゅ」の役割を以下に示した3点を担う中核的な研究開発の場とし、研究計画を策定する。

  • ⊳ 高速増殖炉プラントの技術成立性の確認を含む高速増殖炉技術開発の成果の取りまとめ
  • ⊳ 高速増殖炉/高速炉システムを活用した廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した研究開発
  • ⊳ 原子力発電システムとしての高速増殖炉/高速炉の安全技術体系の構築を目指した研究開発

参考:「文科省、もんじゅ存続の道残す 6年運転し継続判断の計画案」福井新聞(2013年9月26日午前7時10分)

文科省が経産省の基本政策分科会に提出した資料「もんじゅ研究計画について」(pdf)の3ページにあるように、6年の限定の研究の後、「長期の本格運転による発電システムの経年特性確認/健全性確認」のために運転を続行する可能性も残されているのです。

「もんじゅ」で目指す研究開発分野とその評価の在り方

  • ⊳ 「もんじゅ」で目指す研究開発分野を①高速増殖炉の成果の取りまとめを目指した研究開発、②廃棄物の減容及び有害度の低減を目指した研究開発、③高速増殖炉/高速炉の安全性強化を目指した研究開発、の3本柱に整理。
  • ⊳ 高速増殖炉プラントとして最低限必要な技術を取得できる「5サイクル終了時点」(6年程度)を「成果の取りまとめ時期」として定め、技術達成度やコスト、安全性などの観点から評価し、その時点でのエネルギー政策上の位置付けや国際情勢も勘案し、研究継続を判断。
  • ⊳ なお、「性能試験終了時点」(2年程度)に中間的な評価を行う。

実はこれは、民主党政権が2012年9月に定めた「革新的エネルギー・環境戦略」(pdf)にあった考え方です。

「もんじゅ」については、国際的な協力の下で、高速増殖炉開発の成果の取りまとめ、廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した研究を行うこととし、このための年限を区切った研究計画を策定、実行し、成果を確認の上、研究を終了する

小泉元首相の発言などによって、廃棄物問題がクローズアップされたため、廃棄物の「減容・毒性低減」に高速炉が役立つかもしれないということを前面に出した方がもんじゅ延命が受け入れられやすいとの判断でしょうか。しかし、2月の案でも、「核燃料サイクル政策については、・・・再処理やプルサーマル等を推進する」としています。核燃料サイクルは、元々、プルトニウムを消費しながらこれを増やす「夢の」高速増殖炉を中核とすることになっていました。プルトニウムを増やさないで、他のゴミと共に減らすためだけを目指す炉の研究にもんじゅを使うとなると、核燃料サイクル推進の意味について説明ができなくなってしまいます。六ヶ所再処理工場の運転計画についての議論に火を付けてしまうことも懸念された結果、エネルギー基本計画の文言では「減容」を謳い、もんじゅ研究計画の「増殖」は維持するというかたちで辻褄を合わせたのでしょう。

絵に描いた餅と今そこにある危機:再処理=核兵器利用可能物質の蓄積

増殖にしても、減容・毒性低減にしても今のところ絵に描いた餅に過ぎません。減容・毒性低減というのは、基本的には、寿命が長く発熱性の超ウラン元素を核分裂させて減らすということです。しかし、六ヶ所再処理工場で使われているピューレックス法では、プルトニウムとウランだけを取り出すので、プルトニウム以外の超ウラン元素は他の高レベル廃棄物と一緒にガラス固化されてしまいます。減容・毒性低減を目指すなら使用済み燃料をそのまま貯蔵し、新しい再処理技術・燃焼技術の開発を待つべきです。

それにプルトニウムを他の超ウラン元素を分離しても直ぐに燃えてなくなるわけではありません。

プルトニウムその他の超ウラン元素を分離して、これらをナトリウム冷却高速炉でもっと短寿命の核種に核変換(分裂)させるというのを何百年もかけて繰り返せば、廃棄物内のプルトニウム及び超ウラン元素の総量は、軽水炉の使用済み燃料内の量の数パーセントまで減らすことができるでしょう。しかし、「全米科学アカデミー(NAS)」による大がかりな研究の結論は、「被曝量の如何なる低減も、核変換(トランスミューテイション)の費用と運転のリスク追加を正当化するようなものではないと見られる」というものでした。

また、プルトニウムを増やすことを目指すなら、今再処理で分離して、無理矢理軽水炉で燃やしてしまうのはもったいない話しです。また、近い将来にプルトニウムを燃やせる原発がどの程度再稼働となるかまったく分からないというのが現状です。高速増殖炉の実用化まで使用済み燃料を中間貯蔵しておくべきでしょう。

増やしたいのか減らしたいのか分からない曖昧な政策の下、すでに核兵器5000発分以上のプルトニウムを持つ日本が、絵に描いた餅に望みを託して、プルトニウムをさらに分離し続けるというのは、核拡散・核セキュリティー上、大きな問題です。

各紙の報道

  • 東奥日報 もんじゅ「増殖」「減容化」継続 位置付けなお不透明 2014年2月26日

    25日の新エネルギー基本計画の政府案策定をめぐり、核燃料サイクル政策の位置付けがまたも揺れた。サイクルの主要施設となる高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)を、当面は高レベル放射性廃棄物の量を減らす「減容化」の研究にまず活用すべき-との主張が与党内にあったことが要因。結果的に増殖炉の研究計画は継続となったが、減容化への看板掛け替えとなっていれば、本県が中核施設を抱えるサイクル政策は大きく後退していた。
    現行のもんじゅの技術研究計画は、増殖技術と減容化技術の確立を併記している・・・。
    今回は現行のもんじゅの研究計画が維持され、核燃料サイクル政策へ大きな影響を与えることにはならなかった・・・。

  • 福井新聞 エネルギー計画案を福井知事評価 原発立地自治体首長も (2014年2月26日午前7時00分)

    西川一誠福井県知事は25日・・・核燃料サイクル政策をめぐっては「(高レベル放射性廃棄物の)減容化や低毒化を日本の技術力によって解決すべきだ。相当大きな資金を投入しなければならない」と指摘。・・・

     全国原子力発電所所在市町村協議会会長の河瀬一治敦賀市長は・・・高速増殖炉もんじゅ(敦賀市)を研究計画通り進める方針については「減容化だけではもったいない話。新しい燃料を生み出す画期的な高速増殖炉本来の目的に向かっていくことは評価したい」と語った。

  • 朝日新聞 新エネルギー基本計画、自公が協議開始 もんじゅ焦点に 2014年2月27日01時20分

     新しいエネルギー基本計画をめぐり、自民、公明両党が26日、それぞれ協議を始めた。安倍政権は与党と調整したうえで3月中に閣議決定する方針。計画の骨格の変更はなさそうだが、高速増殖原型炉「もんじゅ」の役割をどう位置づけるかが焦点となりそうだ。・・・

     政府案はもんじゅの役割について、高速増殖炉として「研究成果を取りまとめることを目指す」と従来の位置づけを基本的に堅持。加えて「放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発を推進」と放射性廃棄物を減らす研究開発を進めることにしている。そもそも技術的に確立されていない機能だが、党側はこの機能をより具体化させるべきだとの意見だ。

  • 毎日新聞 クローズアップ2014:政府・エネ計画原案 原発再稼働に布石 2014年02月26日

    原案はもんじゅの将来の実用化目標を削除。一方で高レベル放射性廃棄物の量や有害度を減らす別の研究にも使うことを強調した。ただ「当面何をすべきかを記述した」(経産省幹部)だけといい、実用化を断念したわけではない。

     日本はすでに核爆弾数千発分に当たる44トンのプルトニウムを所有。高速炉で使うはずのプルトニウムは、もんじゅの見通しが立たない中、ウランに混ぜて普通の原発で燃やすとしたが、こちらも現状では全く不透明だ。今の状況でプルトニウムを生み出す再処理を始めれば、使い道のないプルトニウムは持たない原則に反することになる。・・・

    将来的な脱原発やもんじゅ廃止を掲げる公明党の石井啓一政調会長は、25日の与党の会合後、基本計画案を評価した。公明が特にこだわったもんじゅの扱いについて、自民党幹部は「公明の主張はほとんど入れた」と説明する。

  • ジャパン・タイムズ Time to shutter Monju Japan Times FEB 25, 2014

    Keeping the long-dormant Monju project alive without a serious review — along with the pursuit of the much-doubted nuclear fuel cycle program — will only add to people’s distrust of the government policy on nuclear energy. The government is urged to think twice about its decision.

  • 九州「正論」懇話会 自民党政調会長、高市早苗氏 「電力安定供給のために打てる限りの手を」産経新聞 2014.2.26 21:29

     九州「正論」懇話会の第111回講演会が26日、福岡市のホテルオークラ福岡で開かれ、自民党の高市早苗政調会長が「国政の課題」と題して講演した。

     高市氏は・・・停止中の高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、高レベル放射性廃棄物を減らす「減容化」や有害期間短縮に有効だとして「これを活用しない手はない。党内議論に反映したい」と語った。

    参考 九州「正論」懇話会 「電力安定供給に打てる限りの手を」高市早苗氏講演詳報 産経 2014年2月26日


高速増殖炉の位置づけ、前回のエネルギー基本計画よりは後退

2010年6月のエネルギー基本計画(pdf)では、下のように、2050年より前の商業炉導入を謳っていましたから、これと比べるとこれらの表現は控えめと言えるかもしれません。

(イ)高速増殖炉サイクルの技術開発

高速増殖炉サイクル技術は、我が国の長期的なエネルギー安定供給等に大きく貢献するものであり、早期実用化に向けた研究開発を着実に進めることが重要である。2010年5月に試運転が再開された高速増殖原型炉「もんじゅ」の成果等も反映しつつ、2025年頃までの実証炉の実現、2050年より前の商業炉の導入に向け、引き続き、経済産業省と文部科学省とが連携して研究開発を推進する。

具体的には、高速増殖炉サイクルの実用化に関するこれまでの研究開発の成果を踏まえ、2010年度に革新技術の採否判断等を行う。また、実用化を一層円滑に進めるため、進捗に応じたプロジェクトの進め方・役割分担等を検討する。加えて、高速増殖炉の実用化技術の早期確立を図るとともに、将来の国際標準を可能な限り我が国が確保するため、国際協力を適切に進め、将来のエネルギー安全保障を担う国家的な基幹技術としての性格を踏まえ、我が国の自立性を維持しつつ互恵的な国際協力関係を構築する。

2月25日政府案と12月経産省基本政策分科会案の比較

黄色マーカーは政府案での追加部分を、緑色マーカーは基本政策分科会案からの削除部分を示す)

エネルギー基本計画(案)
2014年2月25日
エネルギー基本計画に対する意見
2013年12月

第4節 原子力政策の再構築



4.対策を将来へ先送りせず、着実に進める取組

使用済燃料問題は世界共通の課題である。原子力利用に伴い確実に発生するものであり、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を確実に進めることが不可欠である。このため、使用済燃料対策を抜本的に強化し、総合的に推進する。

高レベル放射性廃棄物については、国が前面に立って最終処分に向けた取組を進める。これに加えて、最終処分に至るまでの間、使用済燃料を安全に管理することは核燃料サイクルの重要なプロセスであり、使用済燃料の貯蔵能力の拡大へ向けて政府の取組を強化する。あわせて、将来の幅広い選択肢を確保するため、放射性廃棄物の減容化・有害度低減などの技術開発を進める。

核燃料サイクル政策については、これまでの経緯等も十分に考慮し、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、再処理やプルサーマル等を推進するとともに、中長期的な対応の柔軟性を持たせる

(1)使用済燃料問題の解決に向けた取組の抜本強化と総合的な推進

①高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組の抜本強化

我が国においては、現在、約17,000トンの使用済燃料を保管中である。これは、既に再処理された分も合わせるとガラス固化体で約25,000本相当の高レベル放射性廃棄物となる。しかしながら、放射性廃棄物の最終処分制度を創設して以降、10年以上を経た現在も処分地選定調査に着手できていない。

廃棄物を発生させた現世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、高レベル放射性廃棄物の問題の解決に向け、国が前面に立って取り組む必要がある。

高レベル放射性廃棄物については、i)将来世代の負担を最大限軽減するため、長期にわたる制度的管理(人的管理)に依らない最終処分を可能な限り目指す、ii)その方法としては現時点では地層処分が最も有望である、との国際認識の下、各国において地層処分に向けた取組が進められている。我が国においても、現時点で科学的知見が蓄積されている処分方法は地層処分である。他方、その安全性に対し十分な信頼が得られていないのも事実である。したがって、地層処分を前提に取組を進めつつ、可逆性・回収可能性を担保し、今後より良い処分方法が実用化された場合に将来世代が最良の処分方法を選択できるようにする。

このような考え方の下、地層処分の技術的信頼性について最新の科学的知見を定期的かつ継続的に評価・反映するとともに、幅広い選択肢を確保する観点から、直接処分など代替処分オプションに関する調査・研究を推進する。あわせて、処分場を閉鎖せずに回収可能性を維持した場合の影響等について調査・研究を進め、処分場閉鎖までの間の高レベル放射性廃棄物の管理の在り方を具体化する。

その上で、最終処分場の立地選定にあたっては、処分の安全性が十分に確保できる地点を選定する必要があることから、国は、科学的により適性が高いと考えられる地域(科学的有望地)を示す等を通じ、地域の地質環境特性を科学的見地から説明し、立地への理解を求める。また、立地地点は地域による主体的な検討と判断の上で選定されることが重要であり、多様な立場の住民が参加する地域の合意形成の仕組みを構築する。さらに、国民共通の課題解決という社会全体の利益を地域に還元するための方策として、施設受入地域の持続的発展に資する支援策を国が自治体と協力して検討、実施する。

このような取組について、総合資源エネルギー調査会の審議を踏まえ、「最終処分関係閣僚会議」において具体化を図り、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針(2008年3月閣議決定)」の改定を早急に行う。

また、廃棄物の発生者としての基本的な責任を有する事業者は、こうした国の取組を踏まえつつ、立地への理解活動を主体的に行うとともに、最終処分場の必要性について、広く国民に対し説明していくことが求められる。

第3章 新たなエネルギー需給構造の実現に向けた取組

第1節 原子力政策の基本方針と政策の方向性

1. 原子力政策の基本方針

(3)対策を将来へ先送りせず、着実に進める取組

使用済燃料は世界共通の悩みである。原子力利用に伴い確実に発生するものであり、将来世代に負担を先送りしないよう、現世代の責任として、その対策を確実に進めることが不可欠である。このため、使用済燃料対策を抜本的に強化し、総合的に推進する。

高レベル放射性廃棄物については、国が前面に立って最終処分に向けた取組を進める。これに加えて、最終処分に至るまでの間、使用済燃料を安全に管理することは核燃料サイクルの重要なプロセスであり、使用済燃料の貯蔵能力の拡大へ向けて政府の取組を強化する。あわせて、放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発を進める。

核燃料サイクル政策については、これまでの経緯等も十分に考慮し、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、着実に推進する。

①使用済燃料対策の抜本強化と総合的な推進

1)高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取組の抜本強化

我が国においては、現在、約17,000トンの使用済燃料を保管中である。これは、既に再処理された分も合わせるとガラス固化体で約25,000本相当の高レベル放射性廃棄物となる。しかしながら、放射性廃棄物の最終処分制度を創設して以降、10年以上を経た現在も処分地選定調査に着手できていない。

廃棄物を発生させた現世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、高レベル放射性廃棄物の問題の解決に向け、国が前面に立って取り組む必要がある。

高レベル放射性廃棄物については、i)将来世代の負担を最大限軽減するため、長期にわたる制度的管理(人的管理)に依らない最終処分を可能な限り目指す、ii)その方法としては現時点では地層処分が最も有望である、との国際認識の下、各国において地層処分に向けた取組が進められている。我が国においても、現時点で科学的知見が蓄積されている処分方法は地層処分である。他方、その安全性に対し十分な信頼が得られていないのも事実である。したがって、地層処分を前提に取組を進めつつ、可逆性・回収可能性を担保し、今後より良い処分方法が実用化された場合に将来世代が最良の処分方法を選択できるようにする。

このような考え方の下、地層処分の技術的信頼性について最新の科学的知見を定期的かつ継続的に評価・反映するとともに、幅広い選択肢を確保する観点から、直接処分など代替処分オプションに関する調査・研究を推進する。あわせて、処分場を閉鎖せずに回収可能性を維持した場合の影響等について調査・研究を進め、処分場閉鎖までの間の高レベル放射性廃棄物の管理の在り方を具体化する。

その上で、最終処分場の立地選定にあたっては、処分の安全性が十分に確保できる地点を選定する必要があることから、国は、科学的により適性が高いと考えられる地域を示す等を通じ、地域の地質環境特性を科学的見地から説明し、立地への理解を求める。また、立地地点は地域による主体的な検討と判断の上で選定されることが重要であり、多様な立場の住民が参加する地域の合意形成の仕組みを構築する。さらに、国民共通の課題解決という社会全体の利益を地域に還元するための方策として、施設受入地域の持続的発展に資する支援策を国が自治体と協力して検討、実施する。



また、廃棄物の発生者としての基本的な責任を有する事業者は、こうした国の取組を踏まえつつ、立地への理解活動を主体的に行うとともに、最終処分場の必要性について、広く国民に対し説明していくことが求められる。

②使用済燃料の貯蔵能力の拡大

廃棄物を発生させた現世代として、高レベル放射性廃棄物の最終処分へ向けた取組を強化し、国が前面に立ってその解決に取り組むが、そのプロセスには長期間を必要とする。その間も、原子力発電に伴って発生する使用済燃料を安全に管理する必要がある。このため、使用済燃料の貯蔵能力を強化することが必要であり、安全を確保しつつ、それを管理する選択肢を広げることが喫緊の課題である。こうした取組は、対応の柔軟性を高め、中長期的なエネルギー安全保障に資することになる。

このような考え方の下、使用済燃料の貯蔵能力の拡大を進める。具体的には、発電所の敷地内外を問わず、新たな地点の可能性を幅広く検討しながら、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用を促進するとともに、そのための政府の取組を強化する。

③放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発

使用済燃料については、既に発生したものを含め、長期にわたって安全に管理しつつ、適切に処理・処分を進める必要があること、長期的なリスク低減のため、その減容化・有害度低減が重要であること等を十分に考慮して対応を進める必要がある。こうした課題に的確に対応し、その安全性、信頼性、効率性等を高める技術を開発することは、将来、使用済燃料の対策の柱の一つとなり得る可能性があり、その推進は、幅広い選択肢を確保する観点から、重要な意義を有する。

このため、放射性廃棄物を適切に処理・処分し、その減容化・有害度低減のための技術開発を推進する。具体的には、高速炉や、加速器を用いた核種変換など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少なくし、放射性廃棄物の処理・処分の安全性を高める技術等の開発を国際的なネットワークを活用しつつ推進する。

2)使用済燃料の貯蔵能力の拡大

廃棄物を発生させた現世代として、高レベル放射性廃棄物の最終処分へ向けた取組を強化し、国が前面に立ってその解決に取り組むが、そのプロセスには長期間を必要とする。その間も、原子力発電に伴って発生する使用済燃料を安全に管理する必要がある。このため、使用済燃料の貯蔵能力を強化することが必要であり、安全を確保しつつ、それを管理する選択肢を広げることが喫緊の課題である。こうした取組は、政策・対応の柔軟性を高め、中長期的なエネルギー安全保障に資することになる。

このような考え方の下、使用済燃料の貯蔵能力の拡大を進める。具体的には、発電所の敷地内外を問わず、新たな地点の可能性を幅広く検討しながら、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用を促進するとともに、そのための政府の取組を強化する。

3)放射性廃棄物の減容化・有害度低減のための技術開発

使用済燃料については、既に発生したものを含め、長期にわたって安全に管理しつつ、適切に処理・処分を進める必要があること、長期的なリスク低減のため、その減容化・有害度低減が重要であること等を十分に考慮して対応を進める必要がある。こうした課題に的確に対応し、その安全性、信頼性、効率性等を高める技術を開発することは、使用済燃料の対策の柱の一つとして重要な意義を有する。

このため、放射性廃棄物を適切に処理・処分し、その減容化・有害度低減のための技術開発を推進する。具体的には、高速炉など、放射性廃棄物中に長期に残留する放射線量を少なくし、放射性廃棄物の処理・処分の安全性を高める技術等の開発を推進する。

(2)核燃料サイクル政策の推進

①再処理やプルサーマル等の推進

我が国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。

核燃料サイクルについては、六ヶ所再処理工場の竣工遅延やもんじゅのトラブルなどが続いてきた。このような現状を真摯に受け止め、これら技術的課題やトラブルの克服など直面する問題を一つ一つ解決することが重要である。その上で、使用済燃料の処分に関する課題を解決し、将来世代のリスクや負担を軽減するためにも、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減や、資源の有効利用等に資する核燃料サイクルについて、これまでの経緯等も十分に考慮し、引き続き関係自治体や国際社会の理解を得つつ取り組むこととし、再処理やプルサーマル等を推進する。

具体的には、安全確保を大前提に、プルサーマルの推進、六ヶ所再処理工場の竣工、MOX燃料加工工場の建設、むつ中間貯蔵施設の竣工等を進める。また、平和利用を大前提に、核不拡散へ貢献し、国際的な理解を得ながら取組を着実に進めるため、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持する。これを実効性あるものとするため、プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、プルサーマルの推進等によりプルトニウムの適切な管理と利用を行うとともに、米国や仏国等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組む。

もんじゅについては、これまでの取組の反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行い、国際研究協力の下、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、そのため実施体制の再整備や新規制基準への対応など克服しなければならない課題について十分な検討、対応を行う

②中長期的な対応の柔軟性

核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではなく、中長期的な対応を必要とする。また、技術の動向、エネルギー需給、国際情勢等の様々な不確実性に対応する必要があることから、対応の柔軟性を持たせることが重要である。特に、今後の原子力発電所の稼働量とその見通し、これを踏まえた核燃料の需要量や使用済燃料の発生量等と密接に関係していることから、こうした要素を総合的に勘案し、状況の進展に応じて戦略的柔軟性を持たせながら対応を進める。

②核燃料サイクル政策の着実な推進


我が国は、ウラン資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。

核燃料サイクルについては、六ヶ所再処理工場の竣工遅延やもんじゅのトラブルなどが続いてきた。このような現状を真摯に受け止め、これら技術的課題やトラブルの克服など直面する問題を一つ一つ解決することが重要である。その上で、使用済燃料の処分に関する課題を解決し、将来世代のリスクや負担を軽減するためにも、放射性廃棄物の減容化・有害度低減や、資源の有効利用等に資する核燃料サイクルについて、これまでの経緯等も十分に考慮し、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、着実に推進する。

具体的には、安全確保を大前提に、プルサーマルの推進、六ヶ所再処理工場の竣工、MOX燃料加工工場の建設、むつ中間貯蔵施設の竣工等を着実に進める。また、国際公約に従ってプルトニウムの適切な管理と利用を行うとともに、米国や仏国等と国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組む。


もんじゅについては、これまでの取組の反省と教訓の下、実施体制再整備する。その上で、新規制基準への対応など稼働までに克服しなければならない課題への対応を着実に進めるとともに、もんじゅ研究計画に従い、高速増殖炉の成果のとりまとめ等を実施する

こうした核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではなく、中長期的な対応を必要とする。

また、技術の動向、エネルギー需給、国際情勢等の様々な不確実性に対応する必要があることから、政策・対応の柔軟性を高めることが重要である。特に、今後の原子力発電所の稼動量とその見通し、これを踏まえた核燃料の需要量や使用済燃料の発生量等と密接に関係していることから、こうした要素を総合的に勘案して進める。


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