核情報

2012. 9.27〜 

「安全保障に資する」の元は米NRCの核「セキュリティー」
核セキュリティー(保安・核物質防護体制)のために再処理中止を

6月20日に成立した原子力規制委員会設置法の附則で原子力基本法第2条に「我が国の安全保障に資する」との文言が加えられました。国会での十分な議論を経ずにこの決定がなされたこともあり、「密かに」行われたとされたこの変更が日本の核武装への道を開くものではないかとの疑念が日本内外で表明されています。法案の経緯や各党の説明を見ると、実際は、米国原子力規制委員会(NRC)の役割の一つである「核セキュリティー(保安・核物質防護・警備)」の訳語が「安全保障」になってしまったということのようです。法案提案者の本来の趣旨に従えば、原子力規制委員会は、核セキュリティーのために、これ以上のプルトニウムの抽出を許さない方針を確立せよということになります。

短縮要約版⇒「セキュリティーに資する」ために再処理中止を



  1. 経緯
  2. 問題発生の原因
  3. NRCの文書にある二つの「セキュリティー」の整理
  4. 国会での高邁な(?)議論「我が国の核武装を防ぐことが我が国の安全保障に資する」
  5. 核セキュリティーを強化して再処理中止を
  6. 「安全保障に資する」の淵源──「宇宙の平和利用」方針を変えた宇宙法
  7. 結論
  8. 関連文書・国会発言抜粋
  9. 要約版「セキュリティーに資する」ために再処理中止を

参考:核情報『核「セキュリティー」をめぐる混乱──「我が国の核武装を防ぐことが我が国の安全保障に資する」?』 岩波書店『科学』9月号

経緯

経緯はこういうことです。

1月31日に閣議決定された政府案が環境省に原子力規制庁を設置する案であったのに対し、自民党は、独立性を高めるために国家行政組織法3条2項に基づくいわゆる三条委員会として原子力規制委員会を設置するべきだとの主張を展開した。そして、その趣旨の法案を公明党とともに4月20日に衆議院に提出した。5月29日に政府案と自公案について衆院本会議で議論。最終的には、自公案を軸に調整することとなり、6月14日に合意が成立、翌15日自公民の法案が議員立法案として(代表は環境委員長)衆議院に提出されて同日通過、そして、20日に参議院通過となった。この拙速の議事運営の背景には、原子力発電所の再稼働させるためには、できるだけ早く規制制度を整えることが必要との判断があった。

「安全保障」の文言をこっそり入れたかのような報道がありますが、自民党側からすれば実は、それほど「こっそり」だったわけではありません。4月20日提出の自公案の第1条に「もって・・・安全保障に資する」とあり、その附則第11条に、原子力基本法第2条第2項挿入案が書かれています。6月20日に成立した法案の第1条は、自公案の1条に「事故の発生」に関する文言を追加しただけのものです。また、原子力基本法を変えた附則第12条は、自公案の附則第11条そのままです。

問題発生の原因

自民党案をまとめた自民党「原子力規制組織に関するプロジェクトチーム(PT)」の塩崎恭久座長の発言や同議員がサイト載せている資料などを見てみると、問題発生の原因は、自(公)案の作成過程で米国「原子力規制委員会(NRC)」のミッションの一つである「核セキュリティー」(保安・核物質防護・警備)が「安全保障」となり、それが、さらに「我が国の安全保障」に化けていったことにあるようです。

塩崎議員は、自民党機関紙「自由民主」第2507号(平成24年5月1・8日号)

掲載のインタビューで、新しい機関に一元性を持たせることの重要性を強調し、手本としてNRCに言及しています。

同様に大切な一元性については原子力の安全と核セキュリティ対策、そして、保障措置等は統合され、同じ組織で所管しなければならないというものです。・・・政府案は核兵器などへの軍事転用をチェックする「保障措置」の業務は規制庁ではなく、文部科学省が担うほか、それ以外の、例えば平時の放射線モニタリングなども、それぞれ所管が異なっています。海外を見ると、米国はNRC(原子力規制委員会)に一元化されていますし、英国やフランスも、保障措置をEUレベルで一元化しているうえ、それ以外についても同じ組織が所管しています。これを踏まえ、わが党案では原子力規制委員会が一元的に行うことにしました。

関連文書・国会発言抜粋編の「自民党法案作成グループ代表の趣旨説明

にあるように、塩崎議員は、自身のサイトにあるさまざま文書でも、核セキュリティーや保障措置に触れています。

また、共同通信の太田昌克編集委員によると、「塩崎恭久議員に取材したところ、今回の規制庁、規制委員会のモデルは、アメリカの米原子力規制委員会(NRC)だと指摘された」(『世界』8月号)ということです。

NRCのサイトにあるパンフレット『NRC:独立した規制機関』(pdf) などを見ると、セキュリティーという言葉は、国家安全保障と核物質・核施設防護・核施設警備という二つの文脈で登場しており、これが問題を複雑にしていますが、当人の発言を素直に読めば、塩崎議員が考えたのは後者であって、前者ではないことははっきりしています。

NRCの文書にある二つの「セキュリティー」の整理

NRCの文書にある二つの「セキュリティー」概念と「もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする」の関係を考えてみましょう。パンフレットにあるNRCのミッションと用語の説明では、securityという言葉が次のように使われています。

  1. NRCのミッション:「国民の健康と安全を守り、common defense and securityを強化し、環境を保護するために」民生用核関連物質の使用を許可・規制することにあると記されています。
  2. Securityの説明:放射性物質が厳重に取り扱われること、そして、その「使用・管理における適切な防護を確実にすること」とあります。

中身を順番に見ていきましょう。

1)国家安全保障としてのcommon defense and security

common defense and securityという文言は、元々、原子力の軍事利用と民生利用の両方について定めた1954年原子力法にあったものです。さらに元を辿れば、原子力の平和利用が成功するか否か分からないとした1946年原子力法にも同じ文言がすでにありました。この段階では、セキュリティーはまさに国家の防衛、国家安全保障を意味するものです。核兵器の開発・使用を前提とした文脈で、原子エネルギーを国家防衛のために使うという話です。

1974年に制定された法律で、原子力の推進と規制を切り離す目的でNRCが1975年に設置され、NRCが民生用の原子力利用の規制を担当し、軍事及び民生利用の両方の推進をエネルギー省が担当することになっときにこの文言がNRCの文書にそのまま残ったのです。

2)核物質・核施設防護のためのsecurity

現在、NRCがセキュリティーについて語る場合、上に見た用語説明にある通り、この言葉は核物質の防護・警備体制を意味します。「核セキュリティー・サミット」のセキュリティーと同じです。同サミットは、マスコミ報道で、核安保サミットと呼ばれることがあります。これは漢語を使う韓国でも同じです。しかし、実際は、同じ漢字を使うなら「核安保」(安全保障)ではなく、「核保安」サミットとすべきです。

3)元NRC委員が説明する二つのsecurityの概念の関係

二つの概念の関係について、ピーター・ブラッドフォード元NRC委員に問い合わせたところ、次のような返事がきました。

ご指摘の通り、common defense and securityという表現は古いもので、原子力委員会の時代からのものです。原子力委員会は、核兵器の研究開発について責任を負っていました。基本的には、言葉通りの意味を持っています。言い換えるとすれば、「国家の防衛と安全保障」ということになるでしょう。それで、この表現は、そういう文脈で採用され、それが、AECが1975年に廃止された際に、単純にそのまま受け継がれたということです。

この分野におけるNRCの責任としては、輸出の許可(核不拡散の基準を執行する幾分の責任を負っている)、そして、核施設がテロリズムや破壊行為から守られていることを保証することなどが含まれます。

塩崎議員の説明からすると、法案には、核セキュリティー、核物質防護などの文言を入れるべきだったのです。まさか、エネルギー省の核兵器研究開発の方のことを考えたということではないでしょう。これはNRCの役割ではありません。つまり、NRCのセキュリティーがなんとなく「安全保障」となり、さらに、核武装を思わせる「我が国の安全保障に資する」となってしまったということでしょう。(ちなみに、韓国の「原子力安全委員会」の英語名は、Nuclear Safety and Security Commissionです。セキュリティーという文言を入れること自体には問題ないのですが、日本の場合、「我が国の安全保障」としているから問題なのです。)

国会での高邁な(?)議論「我が国の核武装を防ぐことが我が国の安全保障に資する」

問題が生じた後、「我が国の安全保障に資する」というのは、国際原子力機関(IAEA)による保障措置(セーフガード)のことであり、日本の核武装を防ぐことだと細野豪志大臣らが参議院で説明して、事態をさらに混乱させています。保障措置は、民生用の核物質・核技術が核兵器に転用されないようにするための国際的な仕組みです。外務省は、「IAEA保障措置協定」を次のように説明しています。

IAEA保障措置協定とは、原子力が平和的利用から核兵器製造等の軍事的目的に転用されないことを確保することを目的として、IAEA憲章に基づき、IAEAが当該国の原子力活動について実施する査察を含む検認制度である保障措置を規定する協定。

細野大臣は、言います。

セーフガードというのは核不拡散のために設けられている措置ですので、それをストレートにきっちり反映をするという意味では、安全保障という意味はまさに核拡散をしない、すなわち我が国が核武装するというのは言うならば拡散そのものですから、それをしっかりとしない措置がセーフガードですので、そういう趣旨であるというふうに理解しております。・・・

これは、恐らく自民党の皆さんの考え方としては、セーフガードが加わりますので、それが加わるということで安全保障というのを入れられたのではないかというふうにそれを見たときは感じました。そして、説明を聞きましたらそういう御趣旨だということでございましたので、それであればしっかりと御説明ができるというふうに考えております。

出典 第180回国会 環境委員会 第8号 平成二十四年六月二十日(水曜日)

論理を分析してみるとこんなことになります。規制委員会の役割の一つに、保障措置が入っている。安全保障に資するとは、この保障措置のことである。保障措置の目的は、核拡散防止のためである。日本が核武装をすると「核拡散防止」の目的に反する。だから、日本核武装を防がなければならない。このため措置が保障措置である。保障措置は我が国の安全保障に資する。つまりは、「我が国の核武装を防ぐことが我が国の安全保障に資する」と言うことになります。これは、細野大臣が意図しているところとは、異なるでしょうが、一面の真実でもあります。日本が核武装するとマイナス面が多く、日本の安全保障を脅かすことになるということです。このような高邁な議論が我が国の国会で行われていることを、外国の人々にどう説明したらいいでしょうか。

そもそも、設置法第一条は、センテンスが長くて日本人にも理解しがたいという問題があります。NRCの場合、「NRCのミッションは、公衆の健康及び安全を守り、コモン・ディフェンス及びセキュリティーを強化するために、我が国における特殊核物質及び原料物質、派生物質の民生用使用を許可・規制することである」と述べています。そして、NRCにとって、セキュリティーとは、放射性物質の防護を確実にする意味であるとの説明があります。つまり、「公衆の健康及び安全を守り、放射性物質の防護を確実にするために、民生用核関連物質の使用を許可・規制する」のがNRCの役割だということです。ところが、日本の場合、原子力規制委員会設置法でも、原子力基本法でも、核物質の防護・利用の規制という話が全く出ないまま、「我が国の安全保障」が登場します。設置法第1条は、要するに、「この法律は・・原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする」という構造になっています。原子力基本法の方には、「安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ・・・我が国の安全保障に資することを目的として、行う」とあります。

こんな意味不明の法律について、細野大臣のような意味不明の説明をすることに時間を割くよりも、法律を改正して「核物質の防護・利用規制」に直接言及した上で、「国際社会が追求している核セキュリティー体制の強化に資する」とでもした方が自民党の提案の趣旨に添うし、よっぽど簡単でしょう。そして、原子力規制委員会は、法案提出の趣旨に従い、即座に核セキュリティーの強化に取り組む必要があります。

核セキュリティーを強化して再処理中止を

NRCは、9.11以後、安全とセキュリティーの境界分野として、テロリストによる原子力施設の攻撃防止に力を入れ、NRCが予告した期間内に模擬攻撃チームを施設に送り込んで、施設の警備部隊が対処能力を試す「FOF(武力対武力)」訓練を強化しています。

(米国の原子力発電所では、警備に当たっている民間会社の警備員は武装している。NRCは、1991年以来、各原子力発電所で「武力対抗演習(FOF)」査察を実施してその警備体制を調べている。査察は、二〜三ヶ月前に予告して、三週間に渡って行われるが、その一環として、NRCの指揮下の模擬攻撃部隊が原子炉と使用済み燃料の安全システムに攻撃を掛け、警備員部隊が迎え撃つというのがある。実際の武器の代わりにレーザーとレーザー受光器が使われ、3日間で3度の攻撃を仕掛ける形で行われる。この査察は、現在、全ての原子力発電所に対し3年に1回の割合で実施されている。9.11以前は、8年に1回だった。)

ここで留意すべきは、米国は民生用の再処理をしていないという事実です。軍事用のプルトニウム及び核兵器の警備は、エネルギー省と国防省の管轄となります。新設された日本の原子力規制委員会は、米国のエネルギー省や国防省が扱っているのと同じ核物質の警備体制にも責任を負うということです。

日本では、原子力発電所でも、核兵器利用可能物質プルトニウムを保管している東海村や六ヶ所村の施設でも、米国の原子力発電所のような警備体制はありません。日本にとってのセキュリティー強化の第一歩は、不必要で危険なプルトニウムを使用済み燃料から分離する六ヶ所再処理工場の運転を許可しないことです。

核セキュリティー・サミットに出席するためにソウルを訪れたオバマ大統領は、3月26日、韓国外国語大学で講演し、「分離済みプルトニウムのような我々がテロリストの手に渡らぬようにしようと試みているまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはならない」と述べています。日本の「核安保」報道では、ほとんど無視されてしまいましたが、果たして、この声は、原子力規制委員会の田中俊一委員長等に届いているでしょうか。

「安全保障に資する」の淵源──「宇宙の平和利用」方針を変えた宇宙法

さらに、問題を複雑にしているのが、設置法の「我が国の安全保障に資する」という文言と、設置法成立と同じ6月20日に成立した改正独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)法との関係です。「内閣府設置法等の一部を改正する法律案」により、JAXA法第4条の「平和の目的に限り」という表現が、「宇宙基本法(平成二十年法律第四十三号)第二条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり」に変えられたことです。宇宙法の2条には「日本国憲法の平和主義の理念にのっとり」という曖昧な表現がありますが、第3条は、「宇宙開発利用は・・・我が国の安全保障に資するよう行われなければならない」と定めています。JAXA法の改正は、衛星の防衛・軍事目的利用を促進するためのものです。

このJAXA法の変更と原子力基本法に「我が国の安全保障に資する」目的を入れる変更が同日に行われたことが、自公両党や政府の意図についての懸念を強化する働きをしました。宇宙法の「安全保障に資する」との表現が、塩崎座長を初めとする自民党の「原子力規制組織に関するプロジェクトチーム」の人々の頭にあったかどうかは分かりません。

結論

日本が核不拡散条約(NPT)の加盟国であり、包括的核実験禁止条約にも署名している上、原子力基本法第二条の「原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」という文言が、第一項としてそのまま維持されていること、国際関係などからすれば、「安全保障」の文言挿入だけで核武装の道が開けたということではありませんが、核武装を想起させる文言を論理的に整合性のない形で入れおいて、怪しい論理の説明をしては、外国の疑念を呼びます。

そして、マスコミの一部などが、この文言で日本の核武装が可能になったと強調すると、それを、韓国の保守系マスコミや論客が、韓国も再処理すべきだ、核武装の準備をすべきだなどと主張するための根拠として使うという妙な負の連鎖が発生します。

背景には、日本が需要もないのに、使用済み燃料の再処理によって核兵器5000発分以上ものプルトニウムを溜め込み、なお六ヶ所再処理工場を動かそうとしていること、そして、自民党の石破茂政調会長(当時)などが、昨年、核の潜在的抑止力を持ち続けるためにも、原発を止めるべきではないと主張したことなどがあります。

隠れた核武装の意図がないことを説明し続けるより、次期国会で文言を削除し、文言挿入の元々の趣旨に添って、六ヶ所再処理工場における再処理計画の中止を発表する方が建設的でしょう。

以下、関連文書及び国会での議論を抜粋・リンク集を載せておきます。

関連文書・国会発言抜粋

法案・成立案

  • 第180回国会 議案の一覧
  • 「原子力規制委員会設置法」について(6月20日成立法案他) 内閣官房
  • 原子力規制委員会設置法 6月20日成立

    < >内が4月20日に自公両党が衆議院に提出した法案になかった部分。

    (目的)第一条 この法律は、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、並びに一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消するため、<原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、>確立された国際的な基準を踏まえて原子力利用における安全の確保を図るため必要な施策を策定し、又は実施する事務(原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子力施設に関する規制に関することを含む。)を一元的につかさどるとともに、その委員長及び委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使する原子力規制委員会を設置し、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的とする。・・・

  • 原子力基本法の改正
    原子力規制委員会設置法 

    附則第11条

     原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。

      第一条中「利用」の下に「(以下「原子力利用」という。)」を加える。

      第二条中「原子力の研究、開発及び利用」を「原子力利用」に改め、同条に次の一項を加える。

     2 前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。

    ◆原子力規制委員会設置法附則によって修正された原子力基本法

    (基本方針)

    第一条 この法律は、原子力の研究、開発及び利用(以下、「原子力利用」という)を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。

    第二条 原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。

    2 前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。

  • 「核物質の防護」と「我が国の安全保障」の関係
    原子力規制委員会設置法 

    附則第5条 

    原子力利用における安全の確保に係る事務を所掌する行政組織については、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行状況、国会に設けられた東京電力福島原子力発電所事故調査委員会が提出する報告書の内容、原子力利用の安全の確保に関する最新の国際的な基準等を踏まえ、核物質の防護を含む原子力利用における安全の確保に係る事務が我が国の安全保障に関わるものであること等を考慮し、より国際的な基準に合致するものとなるよう、内閣府に独立行政委員会を設置することを含め検討が加えられ、その結果に基づき必要な措置が講ぜられるものとする。

  • 原子力規制委員会設置法

    附則第14条

    (核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正)

    核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を次のように改正する。

      目次中「第六章の三 機構の行う溶接検査等(第六十一条の二十四−第六十一条の二十七)」を削る。

      第一条中「限られ、かつ、これらの利用が計画的に行われること」を「限られること」に、「運転等に関する」を「運転等に関し、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した」に、「行うこと」を「行い、もつて国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」に改める。

    ◆附則によって変更された「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)」

    第1条 この法律は、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の精神にのっとり、」核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用が平和の目的に限られ[かつ、これらの利用が計画的に行われ]ることを確保するとともに、これらによる災害を防止し、及び核燃料物質を防護して、公共の安全を図るために、製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉の設置及び運転等に関し、大規模な自然災害及びテロリズムその他の犯罪行為の発生も想定した必要な規制を行うほか、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制物質の使用等に関する必要な規制を行い、もって国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに安全保障に資することを目的とする。

  • 付帯決議(pdf)
  • 1月31日に閣議決定された政府案
    第180回国会 議案の一覧 
    閣法 11号 原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案 (撤回)

    第三条

    原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。

    第一条中「利用」の下に「(以下「原子力利用」という。)」を加える。

    第二条中「原子力の研究、開発及び利用」を「原子力利用」に改め、同条に次の一項を加える。

    2 前項の安全の確保については、これに関する国際的動向を踏まえつつ、原子力利用に起因する放射線による有害な影響から人の健康及び環境を保護することを目的として、行うものとする。・・・

    第十三条

    国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、環境省に、原子力規制庁を置く。・・・

    第十四条

    原子力規制庁は、原子力の規制等を行うことにより、原子力の安全の確保を図ることを任務とする。

  • 自公提出法案4月20日 (撤回)

自民党法案作成グループ代表の趣旨説明

  • 塩崎恭久「党原子力規制組織に関するPT座長」インタビュー
    自民党機関紙「自由民主」第2507号掲載 平成24年5月1・8日号

    原発事故を2度と起こすことがないよう、原子力の安全規制を担う新たな組織づくりを急がなければならない。わが党は、政府の原子力規制庁設置法案では、独立性や一元性の観点から全く不十分と考え、対案として国家行政組織法第3条に基づく独立性の高い「原子力規制委員会」を新設する法案を去る4月20日衆院に、公明党とともに提出した。同法案を取りまとめた党原子力規制組織に関するプロジェクトチーム(PT)の塩崎恭久座長に聞いた。

     同様に大切な一元性については原子力の安全と核セキュリティ対策、そして、保障措置等は統合され、同じ組織で所管しなければならないというものです。

     しかし、政府案は原発事故の教訓を活かしておらず、独立性が全く欠如しており、一元性も不徹底な内容でした。

    ────具体的には。

     まず独立性では、政府案で新設される原子力規制庁は環境省の外局の位置づけで、役所の一部に過ぎず、規制庁長官の上には環境大臣がいます。よって、規制権限行使の独立性はもとより、予算や人事、さらには勧告権の行使も独自にできないケースも考えられ、安全性の確保に歪みが出ることも懸念されます。

     次に、一元性の面では、政府案は核兵器などへの軍事転用をチェックする「保障措置」の業務は規制庁ではなく、文部科学省が担うほか、それ以外の、例えば平時の放射線モニタリングなども、それぞれ所管が異なっています。海外を見ると、米国はNRC(原子力規制委員会)に一元化されていますし、英国やフランスも、保障措置をEUレベルで一元化しているうえ、それ以外についても同じ組織が所管しています。これを踏まえ、わが党案では原子力規制委員会が一元的に行うことにしました。

  • 「原子力規制委員会法案提出」塩崎やすひさ議員サイト

    NO.712号 2012/04/20(金)

     本日、自公共同提案で、原子力規制委員会法案を国会へ提出した。

     IAEA安全基準に則った新しい原子力規制組織を、いわゆる「3条委員会」として設置し、「権限」、「予算」、「人事」において独立性を法的に担保するとともに、単に推進機関や事業者から独立させるに止まらず、「他の行政」及び「政治」からも独立させるものだ。

     私が最初にこの問題を指摘したのは、まだ政府の閣議決定が出る前、「原子力安全庁」という仮称で呼ばれていた昨年8月4日のメールマガジンだ。足かけ9ヶ月間の議論の積み重ねだった。・・・

     以下に法案と関係資料を掲載しました。是非ご一読下さい。

    新しい原子力規制組織に関する基本的考え方(pdf)

    IAEA 安全基準のポイント 安全基準のポイント

    原子力規制組織に関する IAEA 安全基準の重要要件は以下の2点。

    ・・・

    (2)「一元性」

    原子力の安全と核セキュリティ対策は統合された形で実施、すなわち、同じ組織で所管しなければならない(参考3)。

    3.政府案の問題点

    「原子力規制庁」を環境省の外局として設置する政府案の最大の問題点は「独立性」の欠如。また、「一元性」も不徹底。

    ・・・

    (2)一元性

    一元性に関しても、以下の業務が文科省に残るなど、極めて不徹底。

    放射性同位元素の規制

    放射性同位元素の核セキュリティ

    保障措置

    平時の放射線モニタリング

    その他パネル資料(pdf)

     12ページ より
  • 諸外国の原発規制の一元化
    国名日本
    政府案3条委員会案
    放射線
    防護
    NRC
    (原子力規制委員会)
    ASN
    (原子力安全機関)
    ONR
    (原子力規制局)
    文科省3条委員会

    セキュリティ
    原子力規制庁
    +文科省
    (同位元素)
    オンサイト
    危機管理
    総理
    (原災本部長)
    保障措置EURATOM
    (欧州原子力共同体)
    文科省

国会での質疑

  • 衆議院本会議 平成24年5月29日(火曜日)

    *「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」(内閣提出)、「原子力規制委員会設置法案」(塩崎恭久君外三名提出)について議論

  • 参議院環境委員会 平成二十四年六月二十日(水曜日)

    ○衆議院議員(吉野正芳君)(自民党)

    我が国の安全保障という言葉は国家の安全を保障するという意味でございまして、軍事転用、これを考えているわけではありません。

     政府案の方には、放射性同位元素及び保障措置、これは内閣、文科省、ここに所掌事務がございました。私たちは、特にこの保障措置、これが核物質の軍事転用を阻止するところでございまして、ここを規制委員会の方に持ってきました。いわゆるスリーS、これの一元化を図ったところであります。全く非核三原則、そして軍事転用を目的としたものではございません。

     例えば、軍事転用を図るという時の政府、内閣総理大臣がおりまして、文科大臣にそれを推進する大臣をもし設置したとします。そうすると、IAEAの保障措置、核査察を妨害するような、そんな行動に出ようかと思います。政府から独立した規制委員会にこの保障措置の所掌事務を持ってくることによって、たとえ国家が、時の政府が軍事転用を図っても、独立した規制委員会でそれを阻止することができるという、こういうことで、ここは実務者協議の中でも本当に大事な大事な点でございます。我が国を、軍事転用させないという、そういう目的でございます。

    ○谷岡郁子君 ただいまお伺いして大変ほっといたしましたが、そうしますと、これ、この冊子の中で、三十二ページにあります関連法案の修正ということで、原子力基本法の第二条にも同じ言葉が入っております。これは規制庁の法案と違いまして、原子力基本法ということになりますと、それがある意味で拡大解釈をされる危険性というものを伴うという可能性があろうかと思っておりますけれども、それも、この法案の関連法案ということで同じ意味で使われているという理解でよろしいでしょうか。

    ○衆議院議員(吉野正芳君) 原子力基本法及び炉規制法、ここも同じ目的で改正をしております。同じ目的であります。

    ○谷岡郁子君 目的は同じだということは分かりましても、安全保障という語義も同じだという理解でよろしいでしょうか。

    ○衆議院議員(吉野正芳君) 同じであります。

    ○谷岡郁子君 では、同じく共同提案者であります、提出者であります公明党にもお聞きしたいと思いますが、公明党の江田先生もそのお考えでよろしいでしょうか。

    ○衆議院議員(江田康幸君) 全くそのとおりでございます。

    ○谷岡郁子君 ありがとうございます。

     委員長、最終的な提案者でございます生方委員長、よろしゅうございますか。

    ○衆議院議員(生方幸夫君) 全くそのとおりでございます。

    ○谷岡郁子君 では、内閣法制局にお聞きしたいと思います。

     ただいまのように、安全保障というものはスリーSということの範囲の中で使われている問題であって、将来の日本の核武装でありますとか、非核三原則から逆の道を行くこととか、そういうことにはつながらないという範囲の言葉の意味で使っているんだということがありましたが、内閣法制局の御見解として、この立法者の意思というものがこの言葉の語義を設定するというふうにみなすものなのか、あるいは、一般に使われている、安全保障という一般的な普通名詞としての言葉がこの場合にはその解釈として考え得るのか、その点につきまして内閣法制局にお伺いしたいと思います。

    ○政府参考人(近藤正春君) 議員立法についての御審議の過程のお話でございますので、本来、私の方の立場からお答えすることはいかがかと思います。

     特に、今の安全保障についての意義がどうかということについて具体的なお答えをすることは私どもの立場では難しいと思いますが、あえて、今御質問のところを一般論として法律の解釈ということについてお話をしたいと思いますが、一般論として申し上げれば、議員立法であろうが内閣提出の法案であろうが、一般にその法律の解釈というのは、当該法律の規定の文言ですとか趣旨、その他の規定の整合性等に即して論理的に確定すべき性質のものであると考えられます。

     その際、特に国会における法案審議の過程等で、発議者あるいは立案者の方の意図が明らかにされている場合には、これらも考慮されるべき重要な一要素であるというふうに考えております。

    ○谷岡郁子君 そうしますと、先ほどの提出者、提案者からのお答えというものがこの場合の該当する条文の言葉の意味であると解釈してよろしいですか。

    ○政府参考人(近藤正春君) 先ほど申し上げたちょっと安全保障という言葉について、今この段階で私も十分に御審議を拝見しているわけでございませんので、それについて少し即答することは難しゅうございますけれども、先ほど申しましたように、今後の政府におけるいろんな法律解釈の際においては、こういった発議者あるいは立案者の方の考え方というのは先ほど申したように重要な考慮要素で、それを踏まえてある程度法律の解釈をしていくということかと思っております。

    ○谷岡郁子君 ただいまこの席にいらっしゃる政府関係者としては細野大臣がいらっしゃるわけですけれども、またこの問題について今後規制庁を率いていかれるわけですけれども、ただいまの安全保障ということを提案者からの範囲内で考えてやるということを政府の見解としてお答えいただけますでしょうか。

    ○国務大臣(細野豪志君) 三党それぞれの責任者から話がありましたけれども、私も政府の今この問題を担当している人間としてそういう解釈がなされるべきであると考えております。

     セーフガードというのは核不拡散のために設けられている措置ですので、それをストレートにきっちり反映をするという意味では、安全保障という意味はまさに核拡散をしない、すなわち我が国が核武装するというのは言うならば拡散そのものですから、それをしっかりとしない措置がセーフガードですので、そういう趣旨であるというふうに理解しております。・・・

    これは、恐らく自民党の皆さんの考え方としては、セーフガードが加わりますので、それが加わるということで安全保障というのを入れられたのではないかというふうにそれを見たときは感じました。そして、説明を聞きましたらそういう御趣旨だということでございましたので、それであればしっかりと御説明ができるというふうに考えております。

  • 原子力基本法改正等において「我が国の安全保障に資する」との文言が追加されたことに関する質問主意書(6月22日)及び回答(7月3日)

宇宙航空研究開発機構法改正問題

  • 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法改正案(原子力規制委員会法と同日に通過 ,pdf)

    第一八〇回閣第三一号 内閣府設置法等の一部を改正する法律案

    (内閣府設置法の一部改正)

    第三条 独立行政法人宇宙航空研究開発機構法(平成十四年法律第百六十一号)の一部を次のように改正する。第四条中「平和の目的に限り」を「宇宙基本法(平成二十年法律第四十三号)第二条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり」に改める。

    ◆上記改正案で改正された独立行政法人宇宙航空研究開発機構法

    第四条 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下「機構」という。)は、大学との共同等による宇宙科学に関する学術研究、宇宙科学技術(宇宙に関する科学技術をいう。以下同じ。)に関する基礎研究及び宇宙に関する基盤的研究開発並びに人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用並びにこれらに関連する業務を、[平和の目的に限り:削除]宇宙基本法(平成二十年法律第四十三号)第二条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり総合的かつ計画的に行うとともに、航空科学技術に関する基礎研究及び航空に関する基盤的研究開発並びにこれらに関連する業務を総合的に行うことにより、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上並びに宇宙の開発及び利用の促進を図ることを目的とする。

  • 宇宙基本法

    (宇宙の平和的利用)

    第二条 宇宙開発利用は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約等の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする。

    (国民生活の向上等)

    第三条 宇宙開発利用は、国民生活の向上、安全で安心して暮らせる社会の形成、災害、貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威の除去、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資するよう行われなければならない

  • 我が国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議(1969年5月9日衆議院本会議)

     我が国における地球上の大気圏の主要部分を越える宇宙に打ち上げられる物体及びその打ち上げロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り、学術の進歩、国民生活の向上及び人類社会の福祉を図り、あわせて産業技術の発展に寄与すると共に、進んで国際協力に資するためにこれを行うものとする。

  • 自由民主党政務調査会 宇宙開発特別委員会中間報告(2006年4月)(「宙の会」サイト)

    ・・・

    本委員会では、日本の宇宙開発はもはや、「国威発揚」や、「有人飛行による夢の実現」的な捉え方は今の厳しい国家財政の下では、広く政府や国民に受け入れられる状況にない、という基本的な認識にたっている。そして、平和国家としての日本の宇宙開発(本来「宇宙活動」と呼ぶべき)の必要性は、特に広義の安全保障(外交、防衛、経済、防災、治安対策を含む)、即ち総合的な安全保障戦略、外交戦略として現実的に捉えるべきであり、防衛、外交、経済、社会生活の面で国家の総合的安全保障に資する戦略を現実的に捉え直し、強く訴えていく必要がある。

    ・・・

    (4) 防衛面での安全保障における宇宙開発の取り組み

     わが国は「非核三原則」「専守防衛」「非人道的兵器の使用禁止」「武器輸出三原則」「宇宙の平和利用原則」という五つの先進的な防衛原則(制約)を持っているが、この原則に従ってわが国が安全保障を全うするためには、諸外国より「先に」「正確な」「充分な」情報を「収集し」「伝達し」「分析し」「対策を練り」、可能であるなら「危機を回避する」プロセスが必要なのである。情報の収集から危機の回避までの一連の危機管理プロセスにおいて、宇宙を利用する事は、「平和国家に最も相応しい防衛戦略」をとることを可能ならしめるために必要不可欠な要件であるといえる。宇宙における情報収集活動や通信といった活動は「非攻撃」的なものであり、防衛庁・自衛隊による宇宙技術の利活用は紛争を未然に察知し、わが国の安全保障に関わる様々な問題に対処するに不可欠な情報とインフラを提供するものである。

    鷲(アメリカ)、熊(ロシア)、龍(中国)のような国ではなく、自らをウサギのような国になると決めたわが国は、世界一「目敏く、聞き耳の早い国」とならなければならないのである。そのためにも、これまでの縦割り行政と「非軍事」に限定した「平和利用決議」の解釈に縛り付けられた宇宙開発ではなく、本来の意味での「宇宙の平和利用」原則の精神、すなわち宇宙技術を使って紛争を監視し、紛争を未然に防ぐためにも防衛庁・自衛隊も含めた宇宙開発が議論できる場を設置し、「平和利用決議」の解釈を見直すことが早急に求められる。

潜在的核抑止力関連

米国原子力規制委員会(NRC)関係

  • NRCサイト

    ◆About NRC

    ◆NRC: AN INDEPENDENT REGULATORY AGENCY (pdf)

    MISSION

    The U.S. Nuclear Regulatory Commission (NRC) is an independent agency created by Congress. The mission of the NRC is to license and regulate the Nation’s civilian use of byproduct, source, and special nuclear materials in order to protect public health and safety, promote the common defense and security, and protect the environment

    *(NRCのミッションは、公衆の健康及び安全を守り、コモン・ディフェンス及びセキュリティーを強化するために、我が国における特殊核物質及び原料物質、派生物質の民生用使用を許可・規制することである)

    Safety: Ensure adequate protection of public health and safety and the environment. Security: Ensure adequate protection in the secure use and management of radioactive materials.

    (セキュリティ:放射性物質の厳重な状態での使用・管理における適切な防護を確実にする)

    ◆NRC Strategic Plan Fiscal Years 2008-2013 (pdf)

    The U.S. Nuclear Regulatory Commission (NRC) is responsible for regulating domestic activities related to radiation protection and nuclear safety for nuclear facilities and for promoting the common defense and security related to uses of radioactive materials. The NRC also licenses the import and export of radioactive materials, participates in international nuclear activities, including multilateral and bilateral safety and security activities, and works closely with its international counterparts to enhance nuclear safety and security worldwide.

    (NRCは、核施設の放射線防護及び原子力の安全性に関連した国内活動を規制することと、放射性物質の使用に関連したコモン・ディフェンスとセキュリティーの強化に責任を負う。)

    Mission

    License and regulate the Nation’s civilian use of byproduct, source, and special nuclear materials to ensure adequate protection of public health and safety, promote the common defense and security, and protect the environment.

    Goals

    Safety: Ensure adequate protection of public health and safety and the environment.

    Security: Ensure adequate protection in the secure use and management of radioactive materials.

    (セキュリティー:放射性物質の厳重な状態での使用・管理における適切な防護を確実にする)

  • 総合資源エネルギー調査会総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会原子力安全基盤小委員会国際原子力安全ワーキンググループ(第1回)-配付資料
    *資料6-2 原子力安全の観点からの国際動向(参考資料)(PDF形式:1,092KB)

    米国「「2008-2013会計年度戦略計画」の特徴

    ・・・

    「安全」と「セキュリティ」の確保はNRCの中心的役割であり、戦略計画の目標と戦略的成果はこの役割を基本として策定されている。「安全」と「セキュリティ」に焦点を絞ることで、NRCが強く、自主独立し、安定した、また信頼できる規制機関であり続けることができる。

米国原子力法

  • 1946年米原子力法 (pdf)
  • 米国原子力規制関連法 (pdf)

    ◆1954年原子力法 7ページ〜

    ◆1974年原子力再編法(NRC設立)−−231ページ〜

    A. THE ATOMIC ENERGY ACT OF 1954, AS AMENDED

    Public Law 83-703 68 Stat. 919

    August 30, 1954

    Title I Atomic Energy

    Chapter 1 Declaration, Findings, And Purpose

    Sec. 1. Declaration

    Atomic energy is capable of application for peaceful as well as military purposes. It is therefore declared to be the policy of the United States that

    a. the development, use, and control of atomic energy shall be directed so as to make the maximum contribution to the general welfare, subject at all times to the paramount objective of making the maximum contribution to the common defense and security; and

    b. the development, use, and control of atomic energy shall be directed so as to promote world peace, improve the general welfare, increase the standard of living, and strengthen free competition in private enterprise.

    Sec. 2. Findings

    The Congress of the United States hereby makes the following findings concerning the development, use and control of atomic energy:

    a. The development, utilization, and control of atomic energy for military and for all other purposes are vital to the common defense and security.

    (bは改正で削除)

    c. The processing and utilization of source, byproduct, and special nuclear material affect interstate and foreign commerce and must be regulated in the national interest

    d. The processing and utilization of source, byproduct, and special nuclear material must be regulated in the national interest and in order to provide for the common defense and security and to protect the health and safety of the public.

    e. Source and special nuclear material, production facilities, and utilization facilities are affected with the public interest, and regulation by the United States of the production and utilization of atomic energy and of the facilities used in connection therewith is necessary in the national interest to assure the common defense and security and to protect the health and safety of the public

  • 1954年原子力法日本語訳(井樋三枝子訳)

    特集

    原子力の利用と安全性 井樋枝子 アメリカの原子力法制と政策 国の立法 244(2010.6) (pdf)

    第1編 原子力

    第1章 宣言、議会による認定及び目的

    第1条 宣言(注1)

     原子力は軍事目的にも平和目的にも活用することができる。したがって、合衆国の政策として、次に掲げる事項を宣言する。

    (a)原子力の開発、利用及び管理は、国家防衛及び安全保障に対して最大の寄与をするという最も重要な目的に常に従い、一般の福祉に対して最大の寄与をするように監督されなければならない。

    (b)原子力の開発、利用及び管理は、世界平和を促進し、一般の福祉を改善し、生活水準を向上させ、及び民間企業における自由競争を強化するよう監督されなければならない。

    第2条 連邦議会による認定(注2)

    合衆国議会は、原子力の開発、利用及び管理に関して、次に掲げる事項を認定する。

    (a)軍事及びその他あらゆる目的の原子力の開発、利用及び管理は、国家防衛及び安全保障に不可欠である。

    (c)原料物質、副産物質及び特殊核物質の処理及び利用は、州際通商及び国際通商に影響し、また、国益上規制されなければならない。

    (d)原料物質、副産物質及び特殊核物質の処理及び利用は、国家防衛及び安全保障に備え、かつ、公衆の健康及び安全を保護するために、国益上規制されなければならない。

    (e)原料物質、特殊核物質、生産設備及び利用設備は公共の利益に影響し、また、国家防衛及び安全保障を確保し、かつ、公衆の健康及び安全を保護するために、国益上、原子力の生産及び利用並びにこれとともに関連して用いられる設備について合衆国が定める規則が必要である。

    (f)この法律の目的に鑑み、原料物質又は特殊核物質の生産又は利用のための設備の稼働により発生しうる州際の損害に対する保護の必要から、これらの設備の稼働は州際通商条項の範囲内とする。

    (g)合衆国の資金は、国家防衛及び安全保障を提供し並びに一般の福祉を促進するという条件で、原子力の開発及び利用のために提供される。

    公衆の保護及び原子力産業の発展を促進

    するため、一般の福祉の利益並びに国家防衛及び安全保障の利益を踏まえ、合衆国は、公衆が原子力事故によりこうむった損害への賠償の一部に資金を充てることを可能とし、そのような損害に責任を負う者の賠償責任を制限できる。




要約版「セキュリティーに資する」ために再処理中止を

 6月20日に成立した原子力規制委員会設置法に「我が国の安全保障に資する」との文言が入り、同法の附則で原子力基本法第2条にも同じ文言が加えられました。これが、核武装への準備ではないかとの疑念が日本内外で表明されました。背景には、日本が使用済み燃料の再処理によって核兵器5,500発分以上ものプルトニウムを溜め込み、なお六ヶ所再処理工場を動かそうとしていることがあります。しかし、「安全保障」の文言挿入だけで核武装はできません。基本法第2条の「原子力利用は、平和の目的に限り」は、そのまま残っていますし、核不拡散条約(NPT)もあります。

では、なぜこの文言は挿入されたのでしょうか?原案を作成した自民党「プロジェクトチーム」(PT)の塩崎恭久座長の説明や法案の経緯などを見ると、米「原子力規制委員会」(NRC)の役割の一つである「核セキュリティー(核物質防護・警備)」の訳語が「我が国の安全保障」になってしまったということのようです。

文言挿入の経緯とセキュリティーの訳語の混乱

 1月31日に閣議決定された政府案が、環境省に原子力規制庁を設置する案であったのに対し、自民党は、規制機関の独立性を高めるべきだと主張し、その趣旨の法案を公明党とともに4月20日に衆議院に提出しました。最終的には、この自公案を軸に調整されたものが、6月15日に衆議院に提出されて同日通過、そして、20日に参議院通過となりました。一般の印象とは異なり、「安全保障」の文言は、「こっそり」入れられたのではなく、4月20日提出の自公案にあったものです。

 鍵は、文言の起源と、その用語の訳し方にあります。自民党PTの塩崎座長は、同党機関紙(5月1・8日号)掲載のインタビューで、新しい規制機関に一元性を持たせることの重要性を強調し、手本としてNRCに言及しています。自身のサイトにあるさまざまな文書でも、NRCが安全性に加えて、核セキュリティーと保障措置を担当していることに触れています。また、共同通信の太田昌克編集委員によると、塩崎議員から今回の規制庁、規制委員会のモデルは、NRCだと指摘された」(『世界』8月号)ということです。

 NRCの文書では、セキュリティーは、「防衛及び安全保障」と「核物質及び核施設防護・警備」という二つの文脈で登場します。「安全保障」の方は、原子力法(1946年及び1954年)にあり、核兵器を開発して、原子エネルギーを国家防衛のために使うという意味でした。その後、1975年に、原子力の推進と規制を切り離す目的で「原子力委員会(AEC)」が解体され、民生用の原子力利用の規制をNRCが、軍事及び民生利用の両方の推進をエネルギー省が、それぞれ担当することになった際に、「防衛及び安全保障」という言葉がNRCの文書に残ったのです。ピーター・ブラッドフォード元NRC委員は、「核情報」に次のように答えています。これは「AECが廃止された際に、単純にそのまま受け継がれたということだ。この分野におけるNRCの責任としては、輸出の許可(核不拡散の基準の適用)、そして、核施設がテロリズムや破壊行為から守られていることを保証することなどが含まれる。」塩崎議員が言及しているのは「安全保障」ではなく、この「核セキュリティー」の方です。文言もそう改めるべきです。

核セキュリティー強化の一歩は、再処理中止から

ここで留意すべきは、米国は民生用の再処理をしていないという事実です。軍事用のプルトニウム及び核兵器の警備は、エネルギー省と国防省の管轄です。日本の原子力規制委員会は、両省が扱っているのと同じ核物質の警備体制にも責任を負うということです。

日本では、原子力発電所はもちろん、核兵器利用可能物質プルトニウムを保管する東海村や六ヶ所村の施設でさえ、米国の原子力発電所程度の警備体制もありません。日本にとってセキュリティー強化の第一歩は、不必要で危険なプルトニウムを使用済み燃料から分離する六ヶ所再処理工場の運転を許可しないことです。

核セキュリティー・サミットに出席するためにソウルを訪れたオバマ大統領は、3月26日の講演で、「分離済みプルトニウムのような我々がテロリストの手に渡らぬようにしようと試みているまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはならない」と述べています。核セキュリティーのために再処理中止をとの訴えです。


参考

 ──安全基準をつくるうえでどこまでの原発のリスクを想定するのかが問題。たとえば、原発関係者、インサイダーによるテロなどはどうか。

田中委員長

 そういうのはみんな想定する。サボタージュみたいなことも想定する。そういうことが起こっても、安全性を保てるような炉にしなければならない。いちばん怖いのは個人のテロではなく、戦争のような脅威だろう。絶対安全とは言わない。言えばまた安全神話になる。しかし、そういうことも含めて対応しなければならないと考えている。



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