核情報

2017. 7. 27

永田町の都市伝説
米国が日本に再処理を強制?

日米原子力協定が後約1年、来年7月に最初の効力期間の満期を迎えます。同協定は、米国側から見れば、米国からの原子力協力が核拡散・核テロをもたらさないようにするためのもので、米原子力法がこのような協定の締結を定めています。ところが、永田町界隈では、逆に、核兵器の製造に使えるプルトニウムを使用済み燃料から取り出す再処理を米国がこの協定によって日本に押し付けているのだという都市伝説が存在しているようです。昨年5月26日の衆議院原子力問題調査特別委員会で逢坂誠二議員(民進党)がわざわざこの都市伝説が誤解であるとの確認を外務省と経産省から得たということが都市伝説の蔓延度を示しています。

参考

再処理を制限する協定

1968年の旧協定では、米国起源の使用済み燃料の日本国内での再処理と外国への輸送は個別に米国が同意することが必要とされていました。実際、1977年に茨城県東海村の再処理パイロット工場の運転開始を巡ってはカーター政権の待ったがかかりました。交渉の末、年間210トンの使用済み燃料を再処理できるはずの設計の工場を向こう2年間は99トンのみ認めるとの合意を9月に得てやっと試験運転を開始したという経緯があります。

現協定では、米国による一方的規制を双務的なものにするとともに、締結時に米国側が「包括的事前同意」という形で一定の条件の下に日本の再処理と英仏の再処理工場への輸送を認めるよう変更されました。しかし、燃料として燃やした以上のプルトニウムを生み出す夢の高速増殖炉計画がとん挫する一方で、溜まってしまったプルトニウムを普通の原発で燃やすプルサーマル計画も予定通り進まないという事態が生じた結果、日本は2015年末現在で核兵器6000発分に相当する48トンものプルトニウムを保有するに至りました。それにも関わらず日本は年間1000発分の処理能力を持つ六ヶ所再処理工場の運転を来年秋にも開始しようとしています。これについてオバマ政権は再三懸念を表明しました。

日本側は、協定延長問題を巡って米国議会などで再処理反対論が再燃することを心配しています。協定第16条は、満期日以降は日米両国のどちらかが6か月前に文書で通告すれば、この協定を終了させることができると定めています。つまり両国とも何もしなければ期限を定めない自動延長となります。トランプ政権の交渉態勢がいまだに整っていない現状などを考えて、日本政府は議会の承認の必要のないこの自動延長を狙っているとの観測が流れています。

都市伝説の中身

逢坂議員は上述の委員会で次のように都市伝説を説明しています。「この間、さまざま核燃料サイクルについて議論をしておりますと日米のさまざまな取り決めがあるから、例えば核燃料サイクルというのは簡単にやめることはできないのだというような話などがよく言われる場面」がある。「いろいろなところでこの核燃料サイクルを議論するときに、いや、アメリカがイエスと言わないから」再処理中止はできないという話を「所与の条件のようにしてみんながうなずいてしまう」。「本当にいろいろな会議の場で、常に枕言葉のように米国との関係があるからというようなことが言われる」。ところが、協定を見るとそうでもないようだ。それで、「少なくとも日米原子力協定上は、日本が核燃料サイクルから撤退をするということを妨げる条項はないということをこの場で改めて確認させていただきたい」というのです。

第5条と第16条の規定が日本に再処理を強制・恒久化?

逢坂議員は、第5条の規定があるから日本は再処理から撤退できないというのは本当か?と確認を求めました。第5条第1項は、米国起源の使用済み燃料の再処理に関しては、「両当事国政府が合意する場合には、再処理することができる」と定めているものです。外務省の答えはこうです。同条項は「両当事国政府が合意する場合には再処理をすることができるというような規定」であり、再処理を「義務づけるような規定は協定上ない」。 

次は、第16条第3項の規定についての質問です。同条項では、この協定が終了しても16ヶ条から成る協定のうち、「1条、2条、3条から9条、11条、12条、14条の規定は、適用可能な限り引き続き効力を有する」となっている。ほとんどの条項が続くということについて、[一部の]「文献や書籍などでは、悪の協定」であり、「永遠に終われない」「ひどい協定だ」と主張されている。「これは本当にそういう規定なんでしょうか」と議員は問いかけます。 

核拡散問題の専門家ではない人々によるこの手の文書が永田町界隈で読まれているようです。外務省はこう答えています。「協定に基づいて移転された核物質等について、いかなる軍事的目的にも使用しないこと、適切な防護措置をとること、保障措置を適用すること、再処理や第三国への移転等について、両国政府の事前の同意を要すること、こういったことに関する規定が該当」する。協定の終了後も、「核物質などが実際に存在している限り軍事転用を防ぐ必要がある、こういった特殊な性格によって置かれているものである」。

協定が終了しても再処理はできるか?

協定が終了した場合、再処理はどうなるか。外務省は答えます。「我が国は、日米原子力協定第5条第1項、第11条及びその実施取り決めに基づき」「アメリカ由来の核物質を再処理することができるようになって」いるが、この実施取り決め第3条第1項は、「取り決めの効力について、日米原子力協定の存続期間中効力を有するというように規定している」。従って「日米原子力協定が終了する場合には、アメリカ由来の核物質を再処理することはできなくなる」。 

都市伝説を一掃する正しい情報の発信が反核運動の課題です。  

関連資料

第190回国会 原子力問題調査特別委員会 2016年5月26日における逢坂議員の質疑部分

逢坂委員 おはようございます。民進党の逢坂誠二でございます。

 先日の高浜原発の視察、三原委員長、本当にありがとうございました。貴重な機会を与えていただきまして、まさに百聞は一見にしかずということで、いろいろなことをまた学ぶことができました。貴重な視察の機会を与えていただきました委員長初め理事の皆様、そして関係者の皆様に心からお礼申し上げます。

 また、今回の視察を今後の国会のさまざまな活動に生かしてまいりたい、そのように思います。

 さて、きょうは、アメリカ由来の核燃料、ウラン、そして、それと日米の原子力協定、それと核燃料サイクル、こういったものの関係について少し質疑をしたいということで、よろしくお願いいたします。

 まず最初にでありますけれども、アメリカ由来の使用済み核燃料について日本は独自の判断で、日本の単独の判断で再処理できるのかという点について、まずその有無をお伺いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの米国由来の核物質が含まれる使用済み燃料の再処理でございますが、日米原子力協定上、両当事国政府、つまり日米の政府が合意する場合に再処理することができるとされておりまして、そのような合意のもと再処理を行うこととしているところでございます。

逢坂委員 それでは、その日米原子力協定に基づく合意がなければ、日本単独では使用済み核燃料の再処理はできないのだということでよろしいでしょうか。多田部長、うなずいていただければ。

 うなずいておりますので、そういうことでよろしいということであります。

 それでは次に、ちょっと外務省にお伺いしたいんですけれども、今、多田部長から説明のありました使用済み核燃料を日本が再処理できる根拠について、もう少し詳しく外務省の方で、日米原子力協定に基づいて説明いただけますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 日米の原子力協定、その第五条一項につきまして、この協定が適用される核物質については、両当事国政府が合意する場合には再処理することができると規定をしております。また、同じ協定の第十一条におきましては、この規定に基づく活動を容易にするため、両当事国政府は別個の取り決めを締結するとしております。

 これらの規定に基づきまして、日米両国政府は日米原子力協定第十一条に基づく両国政府の間の実施取り決めを締結しておりまして、この中で、協定が適用される核物質を使用した使用済み燃料の我が国における再処理などについて合意をしているといったところが、我が国における使用済み燃料再処理の根拠ということでございます。

逢坂委員 御丁寧に説明、ありがとうございました。

 それでは、重ねてお伺いしますけれども、日本の独自の政策といいましょうか、使用済み核燃料を再処理するかどうかということは日本の独自の政策であるというふうには一般的には思われるわけですが、それであるにもかかわらず、他国とこういった合意がなければそれは再処理できないという規定、協定、これを結んでいる意味、理由、なぜこういうものを設けなければいけないのか、それについて説明いただけますでしょうか。

中村政府参考人 日米の協定につきましては、あくまでも平和利用ということで規定をされておりますが、再処理を行う際にはさまざまな軍事的利用などの懸念がございますので、再処理を行う際には両国の間の合意が必要であるというような規定を協定上設けているところでございます。

逢坂委員 今のところをもう少し詳しくお伺いしたいんですが、平和的利用である、それで、使用済み核燃料を再処理するというようなことになれば軍事的利用のおそれ、そういったものにも言及をされたわけでありますけれども、再処理をすることがなぜ軍事的利用のおそれ、あるいは平和利用に反するというようなおそれが生まれるのか、その点についてもうちょっと説明いただけますか。

中村政府参考人 繰り返しの御答弁になりますけれども、原子力協定といいますものは、原子力の平和的利用を確保するということ、あとは、核の不拡散を確保するというような二つの大きな柱から成り立っているというところでございます。

 このうちの、再処理を行うということに関しましては不拡散という要素が出てまいりますので、こうした再処理を行う際には両国の同意が必要であるというような規定になっているというところでございます。

逢坂委員 核の不拡散、それをある種防ぐというか、そういう意味合いでこの協定を結んで、再処理について合意を得た、そうでなければこれはできないということだということでありますけれども、今度逆に、日本が今回、仮に原子力発電をやめましょうとか、あるいは使用済み核燃料の再処理をやめましょうといったようなことは、この日米原子力協定の規定にかかわらず、独自の判断でやれるのかどうか。

 この間、さまざま核燃料サイクルについて議論をしておりますと、日米のさまざまな取り決めがあるから、例えば核燃料サイクルというのは簡単にやめることはできないのだというような話などがよく言われる場面がございます。しかしながら、原子力協定そのものを見ると、必ずしもそういうことは書いていないのではないかという気がするわけであります。

 日本が独自の判断で、日本の政策として、核燃料サイクルをやめましょうということは可能なのかどうか、この点についてお伺いをいたします。

中村政府参考人 日米の原子力協定第五条第一項におきましては、両当事国政府が合意する場合には再処理をすることができるというような規定になってございます。

 したがいまして、日本が独自の判断で再処理から撤退するということを、義務づけるような規定は協定上ないというところでございます。

逢坂委員 この点につきましては、経済産業省も同様の認識でよろしいでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 これは何度も私ども御説明をさせていただいておりますが、再処理を含みます核燃料サイクルにつきましては、高レベル放射性廃棄物の量の減少、放射能レベルの低減、有害度の低減、そして資源の有効利用などの観点から、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体あるいは国際社会の理解を得ながら推進するというのが国の方針でございます。

 したがいまして、今お尋ねの、使用済み燃料の再処理から撤退するとかしないとかという話につきましては、私どもとしては現在想定しておりませんので、コメントは差し控えたいと思っております。

逢坂委員 私は、核燃料サイクルから撤退するしないについてどう思うかということではなくて、日米原子力協定上、核燃料サイクルから撤退することについて何か妨げるものはあるのかどうか、その認識について、先ほど外務省が説明したのと同様の認識を持っているかということを尋ねただけであります。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの点、再処理について日米原子力協定との関係でどうかという点については、先ほど外務省さんの方からお答えがありましたように、日米原子力協定のもとで、合意があれば再処理をすることができると書いてありますが、再処理をしなければならないとは書いてない、こういう認識でございます。

逢坂委員 多分、言葉としてはおっしゃっておられませんけれども、外務省と同様の認識というふうに理解をさせていただきました。

 考えてみればそうなんですね。日米原子力協定を結んでいるアメリカ自身が実は核燃料サイクルから撤退をしているわけでありますから、そのことについて、日本は、同じ原子力協定を結ぶ立場として、アメリカに対して核燃料サイクルから撤退するのはだめだよということは言えるようには私も理解をしておりませんし、多分、過去にもそういう、日本がそのことについてああだこうだ言ったというような形跡はどうもないようでありますので、当たり前のことだろうというふうに思います。

 そういう観点でいいますと、私ども、いろいろなところでこの核燃料サイクルを議論するときに、いや、アメリカがイエスと言わないからこれはやれないんだといったような話をよく、所与の条件のようにしてみんながうなずいてしまうのでありますけれども、少なくとも日米原子力協定上は、日本が核燃料サイクルから撤退をするということを妨げる条項はないということをこの場で改めて確認させていただきたいと思います。

 なぜこうしたことを言うかといいますと、本当にいろいろな会議の場で、常に枕言葉のように米国との関係があるからというようなことが言われるわけでありますけれども、必ずしもそうではないんだということを改めて確認したいと思います。

 そこでなんですが、ちょっと多田部長には答えづらい問題なのかもしれませんけれども、日本が独自の政策判断として核燃料サイクルから撤退をする、そういうことは想定していないんだということで、お答えはできないというようなことを先ほどちょっとおっしゃっておられましたけれども、日本が独自の政策判断として核燃料の再処理から撤退をするということになれば、想定される課題、いや、こんな問題もあるし、こんな問題もあるし、こんな問題もある、そういうことについてお話を伺いたいんです。

 これまでは、逆に、なぜ核燃料サイクルを進めるんですかということについてはいろいろな説明がありました。だけれども、それでは、核燃料サイクルをもしやめるとするならばこんな障害があるんだ、こんなところで壁に当たるんだといったようなことについて、想定されていることがあればお知らせいただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、我が国としては、核燃料サイクル、これを自治体や国際社会の理解を得つつ推進する方針であるということは申し上げているとおりでございます。

 したがいまして、今先生の方からお答えにくいというふうにおっしゃっていただきましたが、仮定の質問についてはお答えすることは差し控えたいと思っておりますけれども、仮に再処理から撤退するようなことがございますと、ウランやプルトニウムのような貴重な資源、これを単なる廃棄物として扱うということになろうかと思います。

 したがいまして、私ども、エネルギー政策の目標といたしまして、自給率の向上を含めた長期的なエネルギーの安定供給、これを確保することを目指しているわけでございますが、そのエネルギー政策の目標の達成に大きな影響を与えかねないと認識をしているところでございます。

逢坂委員 いつも説明しているメリットの裏返しを言っていただいた、そのメリットが得られなくなるんだという説明をしていただいたわけであります。

 もちろん、私は核燃料サイクルに極めて否定的な立場であります。コストの観点からも、あるいは環境への負荷の観点からも、あるいは核不拡散という意味からも、核燃料サイクルというのは本当にやっていいのかということについて私は非常に否定的な立場でありますけれども、その否定的な立場の人間であっても、この間、日本が核燃料サイクルを進めてきた、これは事実であります、そして現在もそれは進行形であります、それをとめるということになると、今、多田部長が説明したメリットの裏返しのデメリット、メリットが達成できないからそれが不都合なんだということ以外にもさまざまな、いろいろな課題が出てくるだろうというふうに思います。

 それについては私はきょうここではあえて言いませんけれども、しかしながら、そういう課題を乗り越えてでもなお、私は、核燃料サイクルから日本は撤退をすべきではないかと。足元だけを見ると、いろいろな課題があってそれはなかなか乗り越えにくいのかもしれませんけれども、遠い将来のことを考えると、私は、やはり核燃料サイクルから撤退をすべきではないかというふうに思っております。

 ただ、きょうはその問題をここで深く議論する予定はございませんので、これについてはまた次の機会にしたいと思います。

 そこで、もう一回日米原子力協定に戻りたいんですが、日米原子力協定の十六条の第三項、ここにおもしろい条文があるんです。「いかなる理由によるこの協定又はその下での協力の停止又は終了の後においても、第一条、第二条4、第三条から第九条まで、第十一条、第十二条及び第十四条の規定は、適用可能な限り引き続き効力を有する。」と書いてあるわけであります。

 日米原子力協定というのは全文で十六カ条から成るものでありまして、十六カ条から成る協定が、この協定が終わっても、一条、二条、三条から九条、十一条、十二条、十四条の規定は、適用可能な限り引き続き効力を有する、すなわち、協定が終わっても引き続き効力を有するんだと書いてある。

 それでは協定が終わる意味がないでしょう、だからこの協定というのは、ちょっと悪い言い方をすれば、これは私の言葉ではありませんけれども、文献や書籍などでは悪の協定みたいな、協定が終わってもまだこんなに効力を有するという協定なんだから、それはもう永遠に終われない協定なんだ、これはひどい協定だというような言い方をしている方がいるんですが、これは本当にそういう規定なんでしょうか。この点について、外務省から説明をお願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の日米原子力協定第十六条第三項、この規定は、御指摘のとおり、この協定の終了後などにおきましても一部の規定が効力を有し続けるということを定めております。

 具体的に申し上げますと、協定に基づいて移転された核物質等について、いかなる軍事的目的にも使用しないこと、適切な防護措置をとること、保障措置を適用すること、再処理や第三国への移転等について、両国政府の事前の同意を要すること、こういったことに関する規定が該当いたします。

 一部の規定の効力をこのように維持し続けるこの十六条三項につきましては、協定の終了後におきましても、原子力の平和的利用の分野における協力につきましては、核物質などが実際に存在している限り軍事転用を防ぐ必要がある、こういった特殊な性格によって置かれているものであるというところでございます。

逢坂委員 今の説明で理解いたしましたが、この規定、十六条の三項というのは非常に悪い規定でとんでもないものだというふうに一般的に言われている場面もあるわけですが、そうではないんだ、核物質が存在している限り、それを安全に保有する、管理するためにこれは欠くことのできない規定であるという説明だったというふうに理解をいたします。

 次に、同じく十六条の二項なんですが、十六条の二項ではこの協定の終了についての言及があるわけです。

 今回の日米原子力協定は二〇一八年の夏には三十年の期間が満了することになっているわけですが、仮にこの十六条二項の規定によって協定を終了したとする場合に、日本は、使用済み核燃料の再処理というのはこの協定が終了すればできないということになるんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、我が国は、日米原子力協定第五条第一項、第十一条及びその実施取り決めに基づきましてアメリカ由来の核物質を再処理することができるようになってございますけれども、この実施取り決め第三条第一項につきましては、取り決めの効力について、日米原子力協定の存続期間中効力を有するというように規定しているところでございます。

 したがいまして、日米原子力協定が終了する場合には、アメリカ由来の核物質を再処理することはできなくなるというように考えているところでございます。

逢坂委員 先ほどの十六条の三項の規定によれば、日本が使用済み核燃料を再処理できる規定として第五条を引き合いに出されたわけであります。第五条を引き合いに出されて、十六条三項の規定によれば、原子力協定の期間が満了した後でも五条の規定は残ることになっているわけですから、一般的に、この条文だけ読むと、協定がなくても使用済み核燃料の再処理はできるのではないかというふうに読めるわけですが、そうではなくて、さらに十一条に基づいて合意をしている、協定が終われば合意そのものがなくなるから再処理はできないんだ、そういうロジックでよろしいでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 日米原子力協定第五条第一項は、この協定が適用される核物質について、両当事国政府が合意をする場合には再処理することができるという規定でございます。

 このため、この協定自体が終了した場合には、この合意の根拠であります実施取り決め自体が失効することになりますので、再処理を行うことはできないというようなことになってまいります。

逢坂委員 了解いたしました。ありがとうございます。

 それでは次に、お手元にちょっと資料を用意させていただきました。A4一枚物の資料でありますけれども、新聞記事二本であります。

 一つは日本経済新聞の記事でありまして、これはことしの三月十八日であります。アメリカのカントリーマン国務次官補が、「日本や中国が進める核燃料再処理政策に対し「全ての国が再処理事業から撤退すれば非常に喜ばしい」と懸念を示した。」というようなことが言われているわけであります。それで、その最後の方には、「日本の再処理計画を容認した日米原子力協定は二〇一八年に失効するため、今後の改定交渉に影響しそうだ。」という新聞記事であります。

 それから、もう一枚、裏面の新聞記事でありますが、これはたまたま中国新聞になっておりますけれども、共同通信の配信の記事というふうに認識をしておりますが、先ごろ五月二十二日の記事であります。

 米ホワイトハウス国家安全保障会議のウルフソル上級部長は、

 日米原子力協定の効力延長について「大きな議論を呼ぶ問題になる可能性がある」と指摘、日本が核燃料サイクル政策を見直すなら「米国は支持する」と述べた。

 核物質プルトニウムを大量に生産する日本の再処理事業に対する米政府の懸念が改めて裏付けられた。

 日本政府は核燃料サイクル政策に「米政府の理解を得ている」と説明していた。

こんな記事があって、

  ウルフソル氏は日本の判断を尊重するとしながらも、日本の核燃料サイクルは「高額で、将来に困難をもたらす」と指摘した。

それから、さらに次、

  「使い道もなく、消費のめども立たないプルトニウムを蓄積する核燃サイクル」が、地域情勢などに与える影響を日本側と協議してきたと説明。

こういうようなことが書かれているわけです。

 原子力協定の三十年の満了期間が大分近づいてくるにつれて、米国からこうした情報が少しずつ何か漏れてくるわけでありますけれども、このことについて特に、使い道もなく消費のめども立たないプルトニウムを蓄積する核燃料サイクルというふうに日本の核燃料サイクルを指摘しているわけですが、このことに対して、外務省、経産省のそれぞれの認識、考え方をお示ししていただけますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 日米の両国政府は、これまでにもさまざまな機会を捉えまして、双方の原子力政策に関する意見交換を重ねてきているところでございます。その中には我が国の核燃料サイクルに関連する諸課題も当然含まれているところでございますが、外交上のやりとりの詳細については差し控えたいと考えております。

 しかしながら、現在我が国が推進する核燃料サイクル政策に対して、先ほど引用されましたウルフソル米NSC上級部長の発言につきましては、核燃料サイクル政策に対して懸念を表明したものではないというふうに認識をしているところでございます。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましてはこの高官の御発言そのものについては承知をいたしておりませんけれども、この彼らが指摘されたという、使い道もなく消費のめども立たないプルトニウムを蓄積する核燃料サイクルという点についてどう考えるかという点でございますが、私どもといたしましては、今、外務省さんの方からもお答えがありましたけれども、我が国の核燃料サイクル政策の方針につきましては、これまでもアメリカ政府の理解を得ておりまして、アメリカ政府は核不拡散上の懸念はないとの認識であると考えております。

 利用目的のないプルトニウムは持たないというのが我が国の原則でございまして、これを遵守するために、私どもといたしましては、まず事業者がこの政府の方針を明確に認識した上で再処理等の事業やプルサーマルを実施する、これを指導してきておりますし、また、プルトニウムの平和利用に係る透明性の向上を使命といたします原子力委員会が、原子力事業者が策定をいたしますプルトニウム利用計画の妥当性を確認する、さらには、核不拡散条約に基づいて、IAEAとの協定を締結して、IAEAの厳格な監視の受け入れなどを行ってきている、こういう構えをとってきているわけでございます。

 さらに、こうした取り組みに加えまして、先般成立していただきました法案、再処理等拠出金法に基づきまして、経済産業大臣が、認可法人が策定いたします再処理等事業の実施計画を認可することとなるわけでございますが、ここで利用目的のないプルトニウムは保有しないという政府の方針に反する計画が策定されることを私どもとしては想定しがたいと考えておりますが、万が一そのような計画が策定された場合には、当然のことながら認可しないということを林大臣からも御答弁をさせていただいているところでございます。

 こういう枠組みをとっておりますので、私ども、アメリカとの関係でも、あるいはアメリカ以外の国際社会との関係でも、御指摘のような、使い道もなく消費のめども立たないプルトニウムを蓄積する核燃料サイクルといったようなことではなく、信頼性の高いプルトニウム管理を我が国は取り組んでいる、こういうふうに理解をされていると思っております。

逢坂委員 きのう、この記事を書いた共同通信の記者と電話で話をさせていただきました。たまたま取材の都合でベトナムにいらっしゃるということだったんですが、ベトナムへ電話をかけまして話を聞かせてもらったところ、この記事に書いてあることは確かにこの一人の、ウルフソル上級部長の発言ではあるけれども、その記者の認識によれば、これはアメリカ政府の中ではそれほど異質な考え方ではないのではないか、割とこういう考え方がアメリカの国会議員あるいは政府、関係者の中には広く共有されている認識ではないのかなという印象を持っているといったような話も聞かせてもらったわけであります。

 最後に外務省にお伺いしたいんですけれども、原子力協定、二〇一八年で期間の満了を迎えるわけでありますけれども、そこに向かって、外務省として、米国政府の認識、この新聞記事にあるような認識も含めて、米国政府は日本の核燃料サイクルにどんな認識を持っているかという見通し、そのあたりについての見解をお伺いできますでしょうか。これで終わりたいと思いますけれども、最後の質問にします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず米国の認識の方からお答え申し上げますと、我が国は、先ほど経産省から御答弁申し上げましたとおり、さまざまな観点から核燃料サイクルについて推進することを基本方針としておりますけれども、この方針につきましては米国政府も理解をしていただいているものと考えております。

 一方、日米の原子力協定でございますけれども、この有効期間は三十年、すなわち二〇一八年の七月十六日までということになっております。その後につきましては、自動的に失効するというものではございませんで、日米いずれかが終了通告を行わない限り存続をするものでございます。

 日米の原子力協定につきましては、我が国の原子力活動の基盤の一つをなすものであり、極めて重要であると認識をしております。

 政府としては、今後の協定のあり方ですとか不拡散等の観点を含む日米原子力協力に関するさまざまな課題につきまして、米国との間で今後とも緊密に連携をしてまいりたいと考えているところでございます。

逢坂委員 きょうの質疑で、日本が原子力政策を変更する、あるいは核燃料サイクルから撤退をする、そういうことは日米原子力協定に左右されずに独自の判断で行うということが改めて確認をされたということだと思います。

 それから、アメリカの意向については、日本の核燃料サイクルについても理解が得られているというような話でございましたけれども、どうも巷間聞こえてくるのは、そうでもないというような声も少なくないようでありますので、その見通しを誤らないようにこれからも対処していただきたい、そのことをお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございます。

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