核情報

2016. 8.17

総理、先制不使用なら核武装ですか?

オバマ大統領が検討中と伝えられている核兵器の先制不使用宣言について、日本が反対の意向を米国に伝えていると米紙が報道しています。カーター国防長官は、同盟国の懸念を無視すると核武装する国が出てくるとして、核兵器を最初に使う国にはならないという先制不使用政策の宣言に反対しているとのことです。米国に強い反対の意志を伝えたという日、韓、英、仏の中で独自核武装が心配されているのは日本です。シュレシンジャー元国防長官は、2009年の米国議会での証言で、米国の核の核の傘の下にある30ほどの国のなかで独自核武装に走る可能性の最も高いのは日本であり、日本との協力が重要だと警告しています。

ウォールストリート・ジャーナル紙 ‘No First Use’ Nuclear Policy Proposal Assailed by U.S. Cabinet Officials, Allies(8月12日)は、7月に開かれた国家安全保障会議(NSC)の会合について報じ、次のように述べています。

議論について知っている人々によると、カーター氏は、先制不使用宣言は米国の抑止力について同盟国の間に不安をもたらす可能性があり、それらの国々の中には、それに対応して、独自の核武装を追求する可能性があるとして、先制不使用宣言に反対したという。

また、ワシントン・ポスト紙 U.S. allies unite to block Obama's nuclear 'legacy'(8月14日)は次のように報じています。

日本、韓国、フランス、英国はすべて非公開の形で、オバマ大統領が核兵器先制不使用政策を宣言する可能性について懸念を伝えている。……日本は、特に、オバマが先制不使用政策を宣言すれば、北朝鮮などの国々に対する抑止が弱まり、紛争の可能性が高まると考えている。二人の政府高官によると、日本の安倍晋三首相本人が、最近このメッセージをハリー・ハリスJr 米太平洋軍司令官に伝えたという。

広島・長崎の被爆者や米国の元政府高官など120人が広島・長崎から安倍首相に送った「日本政府に米国の核兵器先制不使用政策に反対しないよう求める国際公開書簡」は、1文からなるシンプルな要請をしています。

内閣総理大臣 安倍晋三様

紛争において最初に核兵器を使うことはしないと米国が約束することに反対しないで下さい。

日本政府はこのような声を無視し、先制不使用政策に反対し続けるのなら、その根拠を明確にすべきです。

原水禁、原子力資料情報室、核情報が7月27日に安倍首相に送った書簡は次のように求めていました。

  1. 米国が先制不使用政策を採用しても日本は決して核武装しないと宣言すること。
  2. オバマ政権が検討していると伝えられる先制不使用政策を始めとする核の役割低減政策を支持すること。
  3. 上記二つができない場合、日本政府はいかなるシナリオにおいて米国が先に核兵器を使って核戦争を始めることを願っているのかを日本国民及び世界に明確に説明すること。

先制不使用と一触即発の核ミサイル発射態勢の解除は、核戦争の危険を減らすことによって、人類滅亡の可能性を減らす一歩です。世界の人々、日本国民は知る権利を持っています。

総理、先制不使用を米国が宣言しないと、具体的にどのような形で日本の安全保障が高まるというのでしょうか。

総理、北朝鮮が核の使用以外の何をしたとき、米国が北朝鮮に核攻撃をかけるべきだというのでしょうか。

総理、米国が先制不使用を宣言したら、不安になった日本は独自核武装をするのでしょうか。

参考


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