- 印刷用加筆版⇒先制不使用断念の理由の一つは日本核武装への懸念と米紙(pdf)
ニューヨーク・タイムズ紙が「オバマ、核兵器の先制不使用の宣言しない見込み」(9月5日付け)と報じました。その中で、日本はいかなる核の傘の縮小にも不安を覚え、その結果核武装することになるかもしれないとケリー国務長官が主張したことを、オバマ大統領の先制不使用宣言断念の理由の一つとして挙げています。
参考:
- 核先制不使用見送りの公算 同盟国「不安」と米紙報道 共同通信
- 核先制不使用宣言、見送りの公算=「同盟損ねる」-米紙報道 時事通信
- オバマ氏、核先制不使用政策を断念か 米紙報道 朝日新聞デジタル 9月7日
上に挙げた日本の記事では触れられていませんが、ニューヨーク・タイムズ紙の元の記事には、次のようにあります。
ケリー氏は、米国の核の傘のいかなる縮小も日本を不安にさせ、独自核武装に向かわせるかもしれないと主張した。
ウォールストリート・ジャーナル紙 ‘No First Use’ Nuclear Policy Proposal Assailed by U.S. Cabinet Officials, Allies(8月12日)は、7月に開かれた国家安全保障会議(NSC)の会合について報じ、次のように述べていました。
議論について知っている人々によると、カーター氏は、先制不使用宣言は米国の抑止力について同盟国の間に不安をもたらす可能性があり、それらの国々の中には、それに対応して、独自の核武装を追求する可能性があるとして、先制不使用宣言に反対したという
また、シュレシンジャー元国防長官は、2009年の米国議会での証言で、米国の核の核の傘の下にある30ほどの国のなかで独自核武装に走る可能性の最も高いのは日本であり、日本との協力が重要だと警告しています。
日本が先制不使用反対の立場をオバマ政権に伝えていることは、政府、核政策で米に協議要請 先制不使用に反対論 共同通信 2016/7/15などで報じられているとおりです。
2016年7月27日に原子力資料情報室及び原水禁と核情報が政府に宛てた公開書簡「米国が核の先制不使用政策を採用しても日本は決して核武装しないと宣言し、さらに同政策を支持するようにとの要請」では次のような疑問を提示しました。
昨年の国連決議案において世界の指導者らに被爆地訪問を日本が訴えた際、あるいは、今年、ケリー国務長官の広島平和記念公園訪問に岸田外務大臣が同行し、オバマ大統領に安倍首相が同行した際、日本政府が主張したかったのは先制不使用宣言反対の立場だったのでしょうか。
広島、長崎、そして、全国から問いただしましょう。
広島選出の岸田外務大臣、
平和公園でケリー国務長官に何を伝えたのですか?今何を伝えたいですか?