核情報

2023. 5.29〜

日本の物理学者に行動を呼びかける「核脅威削減のための米国物理学者連合」日本物理学会の3月の会合で──米中の専門家

2023年3月22日に開催された日本物理学会の「物理と社会シンポジウム(言語:英語)」The current nuclear threat and opportunities for threat reduction: What Physicists Can do [現在の核の脅威と脅威削減の機会:物理学者に何ができるか]での「米国側」発表に使われたパワポ(日英両語)を紹介します。

日本物理学会のシンポジウムの案内には以下のようにあります。

「本シンポジウムでは、アメリカ物理学会での2年間の活動を経て、独立した組織となって国際連携を進めようとしている Physicists Coalition for Nuclear Threat(核の脅威削減のための[米国]物理学者連合)の活動について、その創始者の一人であるFrank N. von Hippel氏他に講演いただき、日本の物理学者/科学者が核の脅威についてどのように考え、どのような活動を行えるかについて検討します。」(核情報注:物理学者連合は、2022年10月以来、米国の代表的軍縮NGO「軍備管理協会(ACA)」と協力関係に。)

「米国側」の発表者は、フランク・フォンヒッペル(プリンストン大学科学・国際安全保障プログラム上級研究物理学者、公共・国際問題名誉教授)と中国出身の専門家、趙通[Tong Zhao](プリンストン大学科学・世界安全保障プログラム、カーネギー国際平和財団)の二人です。

発表のタイトルは、それぞれ、「核兵器のもたらす危険: 物理学者は助けになり得る!」と「東アジアにおける現在の核の脅威」でした。

前者は、世界の核を巡る状況について概観した後、世界の物理学者がこれまで核問題にどのようにかかわってきたか、そして、「核の脅威削減のための米国物理学者連合」が今、何をしているかについて説明し、日本でも同様の活動に取り組むよう呼びかける内容となっています。

日本の物理学者にとって重要な課題として、米国物理学者連合は米国政府に核先制不使用政策採用を促しているが、これは、「連邦議会の共和党、ペンタゴン、それに、日本その他の米国の同盟国の政府が結託した連合体によって阻まれている」と指摘しています。

後者は、中国の核兵器を巡る最新情報を提供した後、先制不使用に関する日本での議論の促進や、福島の放射能汚染水や六ヶ所村再処理工場及び中国で計画中の同規模の工場からの放射性物質の排出について中・日(+韓)の科学者の共同研究を行うことなどを提案しています。

物理学者だけでなく、各方面の方々にお読みいただけるようにするため、以下、二人の発表者と日本物理学会の許可を得て、会合で使われたパワポ資料を紹介します。会合は英語で開かれました。日本語版は核情報が作成したものです。なお、趙通[Tong Zhao]の資料については、本人が若干の加筆・修正をしたものとなっています。

参考

二人のパワポのアウトライン

核兵器のもたらす危険:物理学者は助けになり得る!




東アジアにおける現在の核の脅威




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