核情報

2021.11. 7〜

米国家安全保障会議(NSC)で核兵器の存在理由説明の変更検討開始と米紙報道
 日本など同盟国、米の先制不使用宣言に「懸念」表明と英紙が先月末報道

ワシントンポスト紙は、11月2日、「バイデン政権、米国の核兵器の存在理由説明の変更検討」(原文)において、「ホワイトハウスは、今月、米国の核兵器の唯一の目的は、核攻撃を抑止するかこれに報復することだと宣言するか否かについての議論をするための会合(複数)を計画している」と報じました。国家安全保障会議(NSC)におけるこれらの会合は、来年初頭までに新しい核兵器政策を打ち出すため広い取組の一部だとのことです。バイデン政権では、核兵器の役割の説明を含む「核態勢の見直し」と「国防戦略」の策定が並行して行われています。

記事は、今月の検討に備えてバイデン政権は、米国の核抑止政策の変更を検討中であることを主要同盟国に文書で知らせて反応を求めたとしています。

この「アンケート」調査についは、英紙フィナンシャル・タイムズが「同盟国、核兵器の先制不使用への政策変更を阻止しようとバイデンに働きかけ」(原文)という記事(10月30日付)で、報じていました。

ヨーロッパの英、仏、独、インド・太平洋の日豪などがバイデン政権に政策変更反対を伝えたという内容です。

一部の同盟国は、米国が核を先には絶対使わないとする「先制不使用」宣言をすることはないだろうと見ながら、バイデン大統領が米国の核兵器の唯一の目的は敵の核攻撃を抑止し、必要とあれば核攻撃に対して報復することにあるとする「唯一の目的」宣言は検討しているのではと懸念していると説明しています。同記事はバイデン政権は年内に結論を出すだろうと述べています。

ワシントン・ポスト紙の記事は、主要同盟国の少なくとも一つは、政策変更は「ロシアや中国に対するギフト」になると伝えたとする西側政府関係者の言葉を紹介しています。

米科学者連合(FAS)の核問題専門家ハンス・クリステンセン氏は、フィナンシャル・タイムズ紙の記事を10月30日にツイッターで紹介した際、次のようにコメントしています。

数人の政府関係者から、バイデンがやるかもしれないことについて同盟国の「懸念」表明を促そうとする組織的で連携の取れたキャンペーンを核強硬派が展開しているのに気づいていると聞いている。要するに、バイデンや公の議論の場に「懸念」を大量に送り届けてバイデンの動きを阻止しようというものだ。

いよいよ大詰めを迎える「先制不使用・唯一の目的」議論。

米政治サイト「ポリティコ(Plitico)」は、11月5日の「ペンタゴン、バイデンに核政策の改革を棚上げにするよう圧力」(英文)という記事で、バイデン政権内部の暗闘を描いています。

日本政府、各政党、反核運動はバイデン大統領にどのようなメッセージを送るのか。

オパマ政権が2016年に先制不使用宣言を検討した際には、ジョン・ケリー国務長官が「米国の核の傘のいかなる縮小も日本を不安にさせ、独自核武装に向かわせるかもしれないと主張した」ことが断念の―つの理由となったとニューヨーク・タイムズ紙が報じています(2016年9月5日)。

日本における国会内外での議論や反核運動の動きは、米国の反核・軍縮運動も注目していることでしょう。

以下、この問題の背景資料、最新の状況に関する日韓の報道の一部をリストにしてみました。

参考

核情報記事

日本での報道

韓国紙日本語版


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