2012年07月30日

韓国と日本の再処理政策

使い道のない核兵器利用可能物質を分離し続けてきた日本の再処理計画は、韓国の再処理計画にも影響を与えます。韓国は、2014年に期限切れを迎える米韓原子力協力協定の改定交渉の中で、1988年日米協定における一括事前承認と同じような形で韓国にも再処理を認めるよう要求しています。米国はこれに抵抗していますが、日本にだけなぜ再処理を許すのかとの韓国の問いに答えるのは難しいことです。日本がヨーロッパの国々のように自ら再処理を放棄すれば、韓国はその最大の論拠を失うことになります。2014年の米韓協定改定に向けた動きに焦点を当てるために韓国の再処理に関するページを特設しました。

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投稿者 kano : 18:14

2012年07月23日

福島事故直後、米専門家の投稿──米国でも起こりうる

昨年3月23日にプリンストン大学のフランク・フォンヒッペル教授がニューヨーク・タイムズ紙に、表題の文章を投稿し、原子力は、規制が産業側に支配される「規制の絡め捕り」問題の典型的なケースだと論じていました。スリーマイル・アイランド以前に提案されていたフィルター付きベント設置案、9/11の同時多発テロ後に指摘された使用済み燃料の稠密なプール貯蔵の危険性の問題などが米国規制当局に無視されたことを説明しています。また、核拡散・核テロの危険性を高める高速増殖炉・再処理やウラン濃縮技術の規制の必要性も主張しています。著者の承諾を得て、この文章を訳出しました。

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投稿者 kano : 19:12

2012年07月14日

増殖炉開発・再処理から「乾式貯蔵」に進む世界

フランク・フォンヒッペルによる表題の論文が『世界』8月号に掲載されました。著者は、カーター政権が1977年に原子力発電所の使用済み燃料再処理撤退政策を決定した際に影響を与えた物理学者の一人です。

米国は、74年にインドが平和利用名目の再処理で得たプルトニウムを核実験に使ったのを受けて政策を見直しました。乏しいウラン資源を活用するには、高速増殖炉が不可欠であり、再処理は、その初期装荷燃料用プルトニウムを取り出すのに必要との議論に対し、著者らは原子力の伸びの過大予測とウラン資源の過小推定の誤りを指摘しました。増殖炉開発の必要はなく、再処理もいらないとの結論の正しさは歴史が証明しています。

核兵器5000発分以上のプルトニウムを溜め込んだ日本の硬直した政策を変えるための国民的議論に必要な理論をこの論文は提供しています。翻訳で割愛した原注はこちらの原文をご覧下さい。

投稿者 kano : 16:23