2012年07月14日

増殖炉開発・再処理から「乾式貯蔵」に進む世界

フランク・フォンヒッペルによる表題の論文が『世界』8月号に掲載されました。著者は、カーター政権が1977年に原子力発電所の使用済み燃料再処理撤退政策を決定した際に影響を与えた物理学者の一人です。

米国は、74年にインドが平和利用名目の再処理で得たプルトニウムを核実験に使ったのを受けて政策を見直しました。乏しいウラン資源を活用するには、高速増殖炉が不可欠であり、再処理は、その初期装荷燃料用プルトニウムを取り出すのに必要との議論に対し、著者らは原子力の伸びの過大予測とウラン資源の過小推定の誤りを指摘しました。増殖炉開発の必要はなく、再処理もいらないとの結論の正しさは歴史が証明しています。

核兵器5000発分以上のプルトニウムを溜め込んだ日本の硬直した政策を変えるための国民的議論に必要な理論をこの論文は提供しています。翻訳で割愛した原注はこちらの原文をご覧下さい。

投稿者 kano : 2012年07月14日 16:23