2011年09月29日

動き出した3つのエネルギー政策見直し─革新的となるか?

3・11の地震・津波による福島原子力発電所の事故発生以来中断されていた原子力委員会の「新大綱策定会議」の作業が9月27日午前に再開されました。また、同日午後開催の原子力委員会定例会議で同委員会に「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」を設置することが決まりました。さらに、この日、経済産業省の枝野幸男大臣が記者会見で、経産相諮問機関の総合資源エネルギー調査会総合部会に「基本問題委員会」を設置し、10月3日に第一回会合を開くと発表しました。

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投稿者 kano : 18:28

2011年09月28日

日本が保有するプルトニウム量は45トン─核兵器5600発分以上

内閣府は、9月20日、原子力委員会の定例会議で、日本が保有するプルトニウムの総量を約45トンと発表しました。国内保管分が、約10トン、英仏保管分が約35トンです。プルトニウムが8キロ行方不明になれば核爆弾が1発作られていると思えとする「国際原子力機関(IAEA)」の基準によれば、5600発以上です。政府は、海外保管分について2006年分から核分裂性プルトニウムの量だけを示していましたが、今年やっと全プルトニウムの量を示しました。

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投稿者 kano : 15:47

2011年09月27日

フクシマ後の核燃料サイクル政策再検討を─米国の専門家

9月16日、クリントン政権で米ロの核兵器物質の管理策の策定に当たった経験を持つプリンストン大学のフランク・フォンヒッペル教授を招いての院内勉強会が開かれました。教授は、日米両国での再処理・高速増殖炉計画の歴史を振り返りながら、経済性もなく危険な上、核拡散のリスク伴うこれらの技術に固執する政策を今こそ見直すべきだと訴えました。そのときに使われたパワーポイント資料(日本語版)を載せました

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投稿者 kano : 13:44

2011年09月25日

石破茂自民党政調会長─「核の潜在的抑止力」のために原発維持を

これまで日本核武装に反対する立場を明確にしてきた自民党の石破茂政調会長が、「核の潜在的抑止力を持ち続けるためにも、原発を止めるべき」ではないとSAPIO誌10月5日号で主張しています。氏は、これまで日本が核武装を決断してNPTを脱すると、核燃料が輸入できなくなると述べてきました。そうすると結局「核か原発か」の選択となるのではと問われると、「バックエンドたる核サイクルも未だ展望が見えていないため、そのような二者択一になる」と答えています。つまりは、氏が語っている潜在的核抑止力は、高速増殖炉の商業利用によりプルトニウムが「純国産燃料」となると夢見られている2050年後以降のことでしょうか。

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投稿者 kano : 16:22

2011年09月21日

ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツのフクシマ特集

ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツのフクシマ特集

米国の核問題専門誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』誌が、2011年9-10月号でフクシマ特集を組み、原文日本語版をウエブ上で公開しました。


  • ゼロ・リスク思考方法からの脱却 フクシマ後の原発国日本のための教訓と将来の責任 BY 鈴木達治郎 (TATSUJIRO SUZUKI) | 19 SEPTEMBER 2011
    日本原子力委員会委員長代理が福島復旧計画の課題を吟味する。主要な短期的問題としては、損傷を受けた原子炉の安定化や10万トン以上の汚染水の管理などがある。長期的には、当局は、貯蔵プール内にある使用済み燃料、原子炉内の損傷した燃料、破損した原子炉などの問題を処理しなければならない。
  • 原子力か否か?日本のポスト・フクシマのエネルギー政策の複雑で不確かな力学 BY 田窪雅文 (MASAFUMI TAKUBO) | 19 SEPTEMBER 2011
    日本の原子力の将来を巡って複雑な闘いが繰り広げられている。そこには、政治、政府内部、産業、労組などが関わっている。フクシマ危機の深刻さにも関わらず、日本がこれまで続けてきた原子力と核燃料サイクルへの歴史的コミットメントには、未だに、強力な支持勢力がある。
  • 放射線面および心理面における福島第一事故の影響 BY フランク・N・フォンヒッペル (FRANK N. VON HIPPEL) | 19 SEPTEMBER 2011
    福島第一原発事故による放射能の大気中への放出は、チェルノブイリの10分の1と見られている。しかし、電離放射線に対する恐怖の問題を適切に処理しければ、この恐怖は、福島地域の人口の大きな部分に長期的な心理的影響を及ぼしうる。
  • 原子力のワンツー・パンチを生き延びる:ポスト・フクシマの世界におけるリスクと政策の評価 BY エドウィン・S・ライマン (EDWIN S. LYMAN) | 19 SEPTEMBER 2011
    米国の原子力産業は、フクシマ・タイプの事故は米国では起こりそうにないと主張している。米国の原子力発電所で津波の被害に遭いやすいものはほとんどないからだという。しかし、どの原子力発電所も、設計上耐えられることになっている「設計基準事故」より深刻な事象に耐えられると想定することはできない。米国原子力規制委員会(NRC)は、既存および新設の原子力発電所が設計上耐え得るようにすべき事象の範囲を拡げるべきだ。
  • フクシマ:安全神話と地球科学の現実の間のギャップ BY ヨハニス・ネゲラット (JOHANNIS NÖGGERATH),ロバート・ゲラー (ROBERT J. GELLER),ヴィアケスラフ・グシアコフ (VIACHESLAV K. GUSIAKOV) | 19 SEPTEMBER 2011
    福島第一原子力発電所が計画された1960年代に立てられた津波対策は、当時のデータに照らして考えれば、妥当なものであったと辛うじて言えるかもしれない。しかし、その後、新しい知見が大規模な地震と津波の可能性について明確な警告を発した。だが、この情報はほぼ無視された。当局者らは安全神話を広め、これが議論を抑える働きをした。
  • スリーマイル・アイランド、チェルノブイリ、フクシマ:原子力事故と放射線に関する伝統的メディアと新しいメディアの報道 BY シャロン・M・フリードマン (SHARON M. FRIEDMAN) | 19 SEPTEMBER 2011
    インターネットのおかげで、新聞・雑誌のジャーナリストは、インターアクティブなコンピューター・グラフィックスやビデオなど、いくつかのツールを使って、フクシマ事故について報じることができた。市民は、ブログやソーシャル・メディアのサイトを使うことができた。これらの要因により、放射線関連報道は、全体的に言って過去の原子力事故と比べてより良くなった。だが、テレビ報道は問題だった。

*核情報主宰が翻訳・編集を担当しました。

紹介記事

投稿者 kano : 19:33