2011年09月21日

ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツのフクシマ特集

ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツのフクシマ特集

米国の核問題専門誌『ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ』誌が、2011年9-10月号でフクシマ特集を組み、原文日本語版をウエブ上で公開しました。


  • ゼロ・リスク思考方法からの脱却 フクシマ後の原発国日本のための教訓と将来の責任 BY 鈴木達治郎 (TATSUJIRO SUZUKI) | 19 SEPTEMBER 2011
    日本原子力委員会委員長代理が福島復旧計画の課題を吟味する。主要な短期的問題としては、損傷を受けた原子炉の安定化や10万トン以上の汚染水の管理などがある。長期的には、当局は、貯蔵プール内にある使用済み燃料、原子炉内の損傷した燃料、破損した原子炉などの問題を処理しなければならない。
  • 原子力か否か?日本のポスト・フクシマのエネルギー政策の複雑で不確かな力学 BY 田窪雅文 (MASAFUMI TAKUBO) | 19 SEPTEMBER 2011
    日本の原子力の将来を巡って複雑な闘いが繰り広げられている。そこには、政治、政府内部、産業、労組などが関わっている。フクシマ危機の深刻さにも関わらず、日本がこれまで続けてきた原子力と核燃料サイクルへの歴史的コミットメントには、未だに、強力な支持勢力がある。
  • 放射線面および心理面における福島第一事故の影響 BY フランク・N・フォンヒッペル (FRANK N. VON HIPPEL) | 19 SEPTEMBER 2011
    福島第一原発事故による放射能の大気中への放出は、チェルノブイリの10分の1と見られている。しかし、電離放射線に対する恐怖の問題を適切に処理しければ、この恐怖は、福島地域の人口の大きな部分に長期的な心理的影響を及ぼしうる。
  • 原子力のワンツー・パンチを生き延びる:ポスト・フクシマの世界におけるリスクと政策の評価 BY エドウィン・S・ライマン (EDWIN S. LYMAN) | 19 SEPTEMBER 2011
    米国の原子力産業は、フクシマ・タイプの事故は米国では起こりそうにないと主張している。米国の原子力発電所で津波の被害に遭いやすいものはほとんどないからだという。しかし、どの原子力発電所も、設計上耐えられることになっている「設計基準事故」より深刻な事象に耐えられると想定することはできない。米国原子力規制委員会(NRC)は、既存および新設の原子力発電所が設計上耐え得るようにすべき事象の範囲を拡げるべきだ。
  • フクシマ:安全神話と地球科学の現実の間のギャップ BY ヨハニス・ネゲラット (JOHANNIS NÖGGERATH),ロバート・ゲラー (ROBERT J. GELLER),ヴィアケスラフ・グシアコフ (VIACHESLAV K. GUSIAKOV) | 19 SEPTEMBER 2011
    福島第一原子力発電所が計画された1960年代に立てられた津波対策は、当時のデータに照らして考えれば、妥当なものであったと辛うじて言えるかもしれない。しかし、その後、新しい知見が大規模な地震と津波の可能性について明確な警告を発した。だが、この情報はほぼ無視された。当局者らは安全神話を広め、これが議論を抑える働きをした。
  • スリーマイル・アイランド、チェルノブイリ、フクシマ:原子力事故と放射線に関する伝統的メディアと新しいメディアの報道 BY シャロン・M・フリードマン (SHARON M. FRIEDMAN) | 19 SEPTEMBER 2011
    インターネットのおかげで、新聞・雑誌のジャーナリストは、インターアクティブなコンピューター・グラフィックスやビデオなど、いくつかのツールを使って、フクシマ事故について報じることができた。市民は、ブログやソーシャル・メディアのサイトを使うことができた。これらの要因により、放射線関連報道は、全体的に言って過去の原子力事故と比べてより良くなった。だが、テレビ報道は問題だった。

*核情報主宰が翻訳・編集を担当しました。

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投稿者 kano : 2011年09月21日 19:33