内閣府は、9月20日、原子力委員会の定例会議で、日本が保有するプルトニウムの総量を約45トンと発表しました。国内保管分が、約10トン、英仏保管分が約35トンです。プルトニウムが8キロ行方不明になれば核爆弾が1発作られていると思えとする「国際原子力機関(IAEA)」の基準によれば、5600発以上です。政府は、海外保管分について2006年分から核分裂性プルトニウムの量だけを示していましたが、今年やっと全プルトニウムの量を示しました。
「六ヶ所で分離するのは、8トン?5トン?少ない数字を使う政府の目くらまし」や「2006年末プルトニウム保有量45トン──30トンと報告して混乱を起こす政府」で指摘したとおり、高速増殖炉や核兵器では核分裂性以外のプルトニウムも燃えます。8キロで1発というIAEAの基準でもプルトニウムの同位体組成は問題にされていません。ですから、核拡散防止の観点や、高速炉増殖炉利用という元々の再処理計画の目的などからすれば当然、全プルトニウム量を示すべきでした。
ところが、政府の報告書(pdf)が今回やっと全プルトニウム量を示したのにも拘わらず、これを報じた各紙(朝日新聞「日本のプルトニウム、国内外に30トン 内閣府が報告」、西日本新聞「保有プルトニウム30トン 2年連続減 事故で利用不透明に 内閣府発表」)が核分裂性プルトニウムの量を使っているのは非常に残念です。
発表時期 | 2011年9月20日 | ||
対象期間 | 2009年末 | 2010年末 | |
国内 | 全Pu | 10,063 | 9,936 |
核分裂性Pu | 6,871 | 6,730 | |
英国 | 全Pu | 16,879 | 17,055 |
核分裂性Pu | 11,531 | 11,643 | |
仏国 | 全Pu | 19,318 | 17,970 |
核分裂性Pu | 12,599 | 11,730 | |
海外合計 | 全Pu | 36,196 | 35,025 |
核分裂性Pu | 24,130 | 23,373 | |
保有合計 | 全Pu | 46,259 | 44,961 |
核分裂性Pu | 31,001 | 30,103 | |
これまで日本政府は、海外保管のプルトニウムに間して 核分裂性のものだけを示していたが、2011年の発表では やっとすべての同位体の全量を示した。 |
- *これまでのデータを合わせたものはこちらに日本のプルトニウム保有量
- 第36回原子力委員会定例会議で公開された政府の報告書(pdf) 下に簡易表示