核情報

2010.5〜

日本のプルトニウム保有量


出典: 令和4年における我が国のプルトニウム管理状況(PDF:525KB) 2023年7月18日

日本政府は、その保有するプルトニウムの量を『我が国のプルトニウム管理状況』という文書によって1994年より公表している。

これは、毎年、原子力委員会の会合の資料として原子力委員会のサイトに載せられている。

原子力委員会は、1991年原子力委員会核燃料専門部会報告書「我が国における核燃料リサイクルについて」において「必要な量以上のプルトニウムを持たないようにすることを原則とする」と発表し、1997年には、「余剰プルトニウムを持たないとの原則を堅持している」ことをIAEAに通知する形で国際的に宣言しているが、余剰プルトニウムは増え続けている。

日本のプルトニウム保有量推移(単位:kg)
 英国仏国英仏合計国内合計
19931,2704,8906,1604,68410,844
19941,3957,2698,6644,35213,016
19951,3999,89211,2914,72216,013
19962,42512,54714,9724,43019,402
19973,53315,38218,9164,46823,384
19986,06918,08324,1525,000*129,152
19996,90320,40627,3095,31832,627
200010,40521,84431,8895,28537,174
200110,61821,57132,1895,68237,871
200211,50221,50733,0105,40538,415
200313,45021,44334,8945,47540,369
200415,70321,38537,0885,71042,798
200516,58221,27037,8525,92343,775
200616,590*421,368*437,994*26,75344,747
200716,545*421,246*437,827*28,72146,548
200816,615*421,163*437,818*29,69647,514
200916,87919,31836,19610,06346,259
201017,05517,97035,0259,93644,961
201117,02817,93134,9599,295*3
(9,935)
44,254*3
(44,894)
201217,05217,89534,9469,295*3
(9,935)
44,241*3
(44,881)
201320,002*516,31036,31210,83347,145
201420,69616,27836,97410,83547,809
201520,86816,24837,11510,83247,947
201620,83916,21737,0569,84446,900
201721,23215,48636,71810,54647,264
201821,20515,46036,6669,02245,688
201921,18015,43536,6158,86045,475
202021,80515,41137,2168,85446,070
202121,78014,76036,5409,27945,819
202221,75714,11335,8709,27745,147
202321,73514,09735,8318,64044,471

  • *1 原子力白書のデータがないためIAEAへの申告の数値(有効数字が原子力白書及び各年の『我が国のプルトニウム管理状況』と異なる)
  • *2 全プルトニウム量の数値がないため核分裂性のプルトニウム量に 1.5を掛けて算出
  • *3 2011年3月に玄海3号に装荷し、炉を稼働しないまま、2013年3月に炉から取り出して使用済み燃料プールに戻したMOX燃料に含まれる640kgを日本政府は『我が国の分離プルトニウム管理状況』やIAEAへの報告において「国内に保管中の分離プルトニウム量」「民生未照射プルトニウム年次保有量」に入れておらず、帳簿上「行方不明状態」となっている。しかし、これは、未照射プルトニウムであり上記項目の中に入れるべきである。従って( )内の 640kgを足した数字が正しい量となる。遅くとも2012年末の量を報告した2013年9月には、同年3月に未照射のまま使用済み燃料プールに戻すという異常な状況が発生しており、これを明確に説明すべきだった。
  • *4 2006~2008年の英仏の保管量は核分裂性のみの量が示されているため、2011年の発表で明らかにされた2009年の両国の核分裂性と全プルトニウム量の数字のそれぞれ比(1.46及び1.53)を使って全プルトニウム量を推定。
  • *5 約3トンの増加分の内、650sは、仏保管のドイツのプルトニウムを帳簿上、日本保有とし、仏保管の日本所有の同量をドイツ所有に移したために生じたもの。THORP(ソープ:酸化物燃料再処理工場)における日本の使用済み燃料の再処理が2005年に終了した後、取出したプルトニウムの帳簿上の日本への割り当てが分割で続いていることによるこの年の純増分は約2.3t。最後の0.6トンの割り当ては2020年に終了。

表 我が国のプルトニウム管理状況(2006年〜2009年) 単位:kg
 発表時期2007年9月18日2008年9月9日2009年9月8日2010年9月7日
対象期間2006年末2007年末2008年末2009年末
国内全Pu 合計6,7538,7219,69610,063
うち核分裂性Pu4,7616,0196,6256,871
海外英国回収分核分裂性Pu11,36311,33211,38011,531
仏国回収分核分裂性Pu13,99613,88613,83212,599
海外核分裂性Pu計25,32925,21825,21224,130
海外全Pu推定37,72137,55637,54735,930
内外合計全Pu 合計推定44,47446,27747,24345,993
* 日本政府は、2006年のデータから海外回収分のプルトニウムについて、
核分裂性プルトニウムの値しか示さなくなっているが、全量を示すべきである。(2011年の発表で2009年末と2010年末の合計を示した。)

  △



我が国のプルトニウム管理状況(2009年〜) 単位:kg
 発表時期2011年9月20日2012年9月11日2013年9月11日2014年9月16日2015年7月15日
対象期間2009年末2010年末2011年末2012年末2013年末2014年末
国内全Pu10,0639,9369,295 9,295 10,833 10,835
核分裂性Pu6,8716,7306,3166,315 7,309 7,310
英国全Pu16,87917,05517,028 17,052 20,002 20,696
核分裂性Pu11,53111,64311,616 11,622 13,52613,939
仏国全Pu19,31817,97017,93117,895 16,310 16,278
核分裂性Pu12,59911,73011,692 11,655 10,604 10,572
海外合計全Pu36,19635,02534,959 34,946 36,312 36,974
核分裂性Pu24,13023,37323,30823,277 24,130 24,511
保有合計全Pu46,25944,96144,25444,241 47,145 47,809
核分裂性Pu31,00130,10329,62429,592 31,439 31,821
これまで日本政府は、海外保管のプルトニウムに間して核分裂性のものだけを示していたが、
2011年の発表でやっとすべての同位体の全量を示した。

1993年から2004年のプルトニウム保有量報告値訂正
《単位:kgPu》
 英国での回収分仏国での回収分合計
( )内は核分裂性Puを示す。
備考
既報告値再計算値既報告値再計算値既報告値再計算値
1993年末1,2861,2704,9114,8906,1976,160原子力
白書等
への記
載によ
り公表
1994年末1,4121,3957,3087,2698,7208,664
1995年末1,4181,3999,9609,89211,37811,291
1996年末2,4472,42512,65312,54715,10014,972
1997年末3,5623,53315,53415,38219,09618,916
1998年末6,1096,06918,29018,08324,39824,152
1999年末6,9576,90320,63920,40627,59627,309
2000年末10,11810,04521,95321,84432,07031,889原子力
委員会
への報
告によ
り公表
2001年末10,71310,61821,66621,57132,37932,189
2002年末11,62011,50221,61121,50733,231 (22,554)33,010(22,333)
2003年末13,59413,45021,55421,44335,149 (23,838)34,894(23,583)
2004年末15,87715,70321,50321,38537,381 (25,285)37,088(24,992)

(注)四捨五入の関係により、合計が合わない場合がある。

出典:2006年9月発表 『我が国のプルトニウム管理状況(pdf)

日本国内の未照射プルトニウム


出典

参考

プルトニウム返還・輸入

日本は、「英国核燃料公社(BNFL)」及び仏コジェマ社との再処理契約に基づき、英仏両国に1969年から2001年にかけ、合計約7100トンの使用済み燃料を輸送した。再処理で分離されたプルトニウムの輸送のデータをまとめた。

使用済み燃料輸送量

海外再処理委託の状況
 BNFLCOGEMA合  計
軽 水 炉
約 2,700
約 2,900
約 5,600
東海ガス炉
約 1,500
────
約 1,500

委託契約量は2001年6月に全量搬出済み(仏分1997年、英分2001年)

出典


使用済み核燃料累積発生量・搬出量
 累積発生量英搬出量仏搬出量東海搬出量六ヶ所搬出量
(集合体)(ウラン重量)
(集合体)
(ウラン重量)
(集合体)
(ウラン重量)
(集合体)(ウラン重量)(集合体)(ウラン重量)
GCR132,2981,510
132,298
1,510
-
-
----
BWR77,01213,523
10,116
1,866
7,069
1,279
3,5136449,7141,683
PWR24,60010,758
1,932
817
3,739
1,666
1,0013763,8721,661

出典 資源エネルギー庁(福島みずほ議員事務所への回答:2013年1月16日)


1993年までの英仏からの輸入量

*政府が示した下のプルトニウムの量はすべて核分裂性プルトニウムの数字

〜1992年12月31日980kg (うち320kgは購入分)
〜1992年12月31日190kg (うち5kgは購入分)
 1993年1月5日あかつき丸1060kg
 仏合計1250kg
英仏合計 2230kg

出典 衆議院議員秋葉忠利君提出プルトニウムの需要と供給に関する質問に対する答弁書 1993年10月1日

1993年までの米国からの輸入量

kg Pu形態
113.5kg燃料要素、酸化物、線源1962−1991

出典 米国エネルギー省 プルトニウム:最初の50年間 (DOE/DP-0137, February 1996) (pdf) 表13(p.71)
(Federation of American Scientistsのサイトのhtml版 表13)

1962年から1991年にかけて、約114kgのプルトニウムが日本に輸出された。最大の輸送は、1969年と1970年に起きた。このとき、原子炉の燃料要素及び酸化物の形態で104kgのプルトニウムが日本に──主として、東海村の高速臨界集合体に──送られた。

p.69

参考:

米国機密解除文書 日本原子力研究所(JAERI)の高速臨界集合体(FCA)

(核管理研究所 故ポール・レベンサール所長より入手)


MOX燃料輸送

MOX 燃料輸送・装荷・保管まとめ(数字kgは全プルトニウム量・四捨五入のため合計が合わない場合がある
MOX燃料輸送原子炉に装荷・試運転原発敷地内保管
19999月
 福島第 I -3号32体 210kg
 関電高浜4号8体 255kg
 (==>2002年 BNFLに返送)
 計465kg
 465kg
 福島 I -3号32体 210kg
 関電高浜4号8体 255kg
2000  465kg
 福島 I -3号32体 210kg
 関電高浜4号8体 255kg
20013月 柏崎 28体 205kg 670kg
 福島 I -3号32体 210kg
 関電高浜4号8体 255kg
 柏崎 28体  205kg
2002高浜 255kgBNFLに返送 415kg
 福島 I -3号32体 210kg
 柏崎 28体  205kg
2003  415kg
 福島 I -3号32体 210kg
 柏崎 28体  205kg
2004  415kg
 福島 I -3号32体 210kg
 柏崎 28体  205kg
2005  415kg
 福島 I -3号32体 210kg
 柏崎 28体  205kg
2006  415kg
 福島 I -3号32体 210kg
 柏崎 28体  205kg
2007  415kg
 福島 I -3号32体 210kg
 柏崎 28体  205kg
2008  415kg
 福島 I -3号32体 210kg
 柏崎 28体  205kg
20095月
 浜岡 BWR28体 213kg
 玄海 PWR16体 677kg
 伊方 PWR21体 831kg
 合計 1,721kg
玄海3 号 11月5日試運転(16体 677kg)1458kg
 浜岡4号 28体 213kg
 伊方3号 21体 831kg
 柏崎3号 28体 205kg
 福 I -3号 32体 210kg
20106月
 玄海3号 20体801kg
 高浜12体 552kg
 (3号は秋、4号は2011年運転予定だった)
 合計 1,353kg
福 I -3号 9月18日試運転(32体 210kg)
伊方3号 3月2日試運転(16体 633kg)
高浜3号 12月25日試運転(8体 368kg)
1,600kg
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 高浜4号 4体 184kg
 伊方3号 5体 198kg
 玄海3号 20体 801kg
2011 玄海3号 3月8-12日装荷
(16 体 640kg)
*注1
959kg (1600kg)*注2
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 高浜4号 4体 184kg
 伊方3号 5体 198kg
 玄海3号 4体 160kg
20体 801kg
2012  同上
20136月
 高浜3号 20体 901kg
 (このデータは2014年9月頃発表の『我が国のプルトニウム管理状況』に入る予定)
玄海3号 3月6-11日
取り出し後使用済燃料プールへ
1861kg (2501kg)*注3
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 高浜3号 20体 901kg
 高浜4号 4体 184kg
 伊方3号 5体 198kg
 玄海3号 4体 160kg
20体 801kg
2014  同上
2015 12月
高浜3号 16体 721kg 装荷されるが、照射なし
同上
2016 1月
高浜3号再稼働で上記 16体 721kg が照射。
2月
高浜4号 4体 184s装荷。3日の運転後トラブルで緊急停止。3月に裁判所命令で運転停止維持。
1597kg
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 高浜3号 4体 181kg
 伊方3号 5体 198kg
 玄海3号 20体 801kg
20177月 高浜4号 16体 703s 欧州出発 9月21日 到着5月 高浜3号・4号とも上記燃料を再装荷。2300kg
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 高浜3号 4体 181kg
 高浜4号 16体 703s
 伊方3号 5体 198kg
 玄海3号 20体 801kg
2018 玄海3号 3月23日再稼働で16体640s照射
(今回装荷されたのは2009年照射の16体677sと2013年にプールに戻されていた
未照射16体640sの計32体。新たな照射分は後者の16体640s)。
高浜4号 9月定期検査後再稼働(新MOX燃料16体:703s)
高浜3号 11月定期検査後再稼働(新MOX燃料4体: 181kg)
このデータは2019年夏発表の『管理状況』に入る予定。
776s
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 伊方3号 5体 198kg
 玄海3号 4体 160kg
2019 玄海3号 7月20日再稼働し、4体160s照射開始。616s
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 伊方3号 5体 198kg
2020  616s
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 伊方3号 5体 198kg
20219月
 高浜4号16体 (629kg) 仏出発 11月17日到着
伊方3号 9月20日5体198s装荷完了
12月2日試運転開始(22年1月4日営業運転開始予定)
1047kg
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 高浜4号 16体 629s
20229月17日
 高浜3号16体 (631kg) 仏出発 11月22日到着(到着時、重量未発表)
 
10月 高浜4号 16体629s装荷
11月4日 起動
12月1日 本格運転再開
1049kg
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
 高浜3号 16体 631s
2023 12月初旬 高浜3号 16体631s 装荷
12月22日 起動
418kg
 柏崎3号 28体 205kg
 浜岡4号 28体 213kg
合計6353kg 5,935kg 
年末の商用原子炉敷地内保管量は、下記「参考」に挙げた原子力委員会が毎年発表する資料「我が国のプルトニウム管理状況」より。
  • *注1 このMOX燃料は、2013年3月6日〜11日の作業で他の燃料と共に原子炉から取り出された。3号炉は2010年12月11日に定期検査のために運転停止して以来再稼働されていないのでこのMOX燃料は未照射の状態である。日本は、この燃料に含まれる640kgのプルトニウムを2011年末及び2012年末の状況に関する『我が国の分離プルトニウム管理状況』報告において「国内に保管中の分離プルトニウム量」から外しているが、この未照射の分離プルトニウムは同項目にいれるべきものである。
  • *注2 玄海3号の640kgを加えた1600kgが正しい数字。
  • *注3 玄海3号の640kgを加えた2501kgが正しい数字。

参考


▲ページ先頭へ

核情報ホーム | 連絡先 | ©2010 Kakujoho