「乾式貯蔵先進国」ドイツ──故高木仁三郎氏のメッセージの中で、「国際MOX燃料評価プロジェクト(IMA)」報告書の中の高木・ザイラー論文を引用しましたが、そこに「中性子線に対する遮蔽の適切性の点で、既存のキャスクには不安が残る」とあります。これについて、その後、実際のキャスクの計測の結果、問題ないことが分かっているとのメールがザイラー氏から来ました。メールの訳を注の形で入れましたのでご覧下さい。
福島第一原子力発電所4号炉の事故の教訓の一つは、原子力発電所の使用済み燃料プールあるいはその冷却システムが地震や津波で破損すると、原子炉が稼働していなくても大事故になり得るというもです。米国では、2001年の同時多発テロの後、テロ攻撃の結果、プールの水がなくなるとどうなるのかとの懸念が生じました。そして、このような場合にプールで火災が起き得ることを示した報告書が2003年に発表され、論争を巻き起こしました。
2013年10月の六ヶ所再処理工場竣工を目指している日本原燃は、1月31日、2013年度下半期に工場の運転を始めるとの計画を原子力規制委員会に届け出ました。しかし、核燃料サイクルの新しい規制基準の策定は2013年末までかかると見られ、原子力規制委員会の田中委員長は、「新しい基準に適合しなければ稼働は認められない」と述べています。地元自治体との安全協定などの作業を別としても、来年まで再処理工場の運転はあり得ないことになります。
また、原子力委員会は、2003年8月決定において、核拡散防止面での懸念に応えるためとして、六ヶ所でのプルトニウムの分離の前にその「利用計画」を出さなければならないと定めています。次のような規定です。
「電気事業者はプルトニウム利用計画を毎年度プルトニウムの分離前に公表」し「原子力委員会は、その利用目的の妥当性について確認」し「電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的(利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめど)を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表する」
どのような「利用計画」を電気事業者等が発表し、原子力委員会がこれをどう判断するか注目されます。
「乾式貯蔵先進国」ドイツ──故高木仁三郎氏のメッセージの参考のところに、田中委員長の発言(2013年1月9日記者会見)と日本原燃の発表「再処理施設の使用計画の届出について(2013年1月31日)」を載せてありますのでご覧下さい。