茨城県東海村の「高速炉臨界装置(FCA)」に警備体制の不十分な形で置かれている331kgのプルトニウムを米国に輸送すると見られる2隻の英国籍の船が3月4日神戸港に入港しました。諸情報を総合すると、パシフィック・イグレットは3月8日朝に、パシフック・ヘロンは3月19日に出港し、東海村施設近くの茨城港日立港区へ向かう予定です。
神戸港停泊中のPacific Egret 写真提供:Juro Yamamoto/Greenpeace
参考:
- 幽霊船2隻パナマ運河を通過──東海村331kgのプルトニウム回収隠密行動と増産計画 核情報2016. 2. 9
- 神戸港に核輸送船到着 共同 2016/3/5
- Ships prepare to return 331-kg plutonium stash from Japan to U.S. Japan Times
- 再処理用認可法人設立法案国会に──見当外れのお題とシュールな答え 2016. 2. 8
2隻は、上の記事で紹介したとおり、パナマ運河を通過する際には、1月19日に英国のバロー港を出てから切られていた船舶自動識別装置(AIS)をオンにしたのですが、神戸港に入る際にはオフにしたままでした。危険な航行です。
先に指摘した通り、このような「隠密行動」はプルトニウムの危険性を再確認するものとなります。「隠密行動」が取られる一方、すでに50トン近くのプルトニウムを保有しながらさらに年間8トンもの分離能力を持つ六ヶ所再処理工場の運転を早期開始しようとする日本の政策の矛盾が、国際的に注目されることになるでしょう。