2月5日、再処理事業の実施主体として認可法人(使用済燃料再処理機構)を設立し、この法人に「再処理等に必要な資金を新設する認可法人に拠出することを原子力事業者に対して義務付ける「原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案」(再処理等拠出金法案)が閣議決定され、国会に提出されました。前日開かれた国会エネルギー調査会(準備会)第54回(2016年2月4日)「核燃料サイクル政策に柔軟性を〜再処理実施体制見直し法案を問う〜」でこの法案について「核情報」がコメントした際の資料を紹介します。
参考
- 「再処理等拠出金法案」閣議決定 経産省 2016年2月5日
- 再処理は永遠に不滅です──再処理実施主体としての認可法人設立案 核情報 2015.12.16
会合では鈴木達治郎氏(長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授、前原子力委員会委員長代理)の講演の後、経済産業省資源エネルギー庁の説明、続いて原子力情報室と核情報のコメントの時間がありました。
シュールな答え:ステップを踏んで
- 発電時点で使用済み燃料の再処理・MOX燃料製造費用を認可法人に拠出させる
- 以前なら地域独占・総括原価方式でこのコストを回収できたが、自由化の下で原子力発電会社は その分、コスト高の発電を強いられる
- そのため一部または全部倒産の可能性高まる
- でもご安心を!カネは取ってあるので再処理はできる。増やせプルトニウム!MOX燃料も作れる
- だが、原子力発電会社は倒産! MOXを入れるはずの原子炉がない!プルトニウムとMOX燃料の山ができる
呪縛1:昔義務付けられた再処理
原子炉等規制法 1957年6月10日
- 第二十四条 主務大臣は、第二十三条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。・・・
- 二 その許可をすることによって原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。(2012年改訂で削除)
計画的な遂行に支障って何?
「具体的な解釈として、核燃料サイクル政策の基本的な考え方を定めたエネルギー基本計画(閣議決定文書)、『当面の核燃料サイクルの推進について』(閣議了解文書)、原子力長期計画などを総合的に踏まえ、民間事業者が再処理することを確認」
原子力委員会2004年11月つまり「使用済み燃料処分の方法」として
再処理と記載する義務があった呪縛2:「再処理と記載したのだから」
再処理する義務がある
- 特定実用発電用原子炉設置者の責任
特定実用発電用原子炉設置者(特定実用発電用原子炉(特定発電用原子炉(原子炉等規制法第43条の3の5第2項第8号に掲げる処分の方法として再処理する旨を記載して同条第1項の許可を受けた実用発電用原子炉をいう。以下同じ)を設置している者)は、特定実用発電用原子炉の運転に伴って生ずる使用済み燃料の再処理等の責任を負うものとする
法律案要綱 電気新聞2016年1月22日呪縛3:特定放射性廃棄物の
最終処分に関する法律
- 第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、発電に関する原子力の適正な利用に資するため、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理等を行った後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等を講ずることにより、発電に関する原子力に係る環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。はめられた電力会社:永遠の呪縛?
- 処分方法は再処理と記載するよう義務付けられた
- 義務があるから再処理すると記載した
- 既存の原子炉:再処理すると記載したから再処理の義務がある。
- 新設の原子炉:2012年炉基法改正で再処理の義務はないはず
- だが最終処分の法律に直接処分の選択肢がない
- 発生者責任として再処理しろと迫られる
狼の呪い?