核情報

2014.11.14

六ヶ所再処理工場運転開始を懸念する米国

オバマ大統領を始め、米国の政府関係者(現職及び元)や研究者は日本の再処理政策に懸念を表明しています。そのいくつかの例を紹介します。


  1. オバマ大統領
  2. スティーブ・フェター
  3. ロバート・アインホーン 最近まで国務省で不拡散・軍縮特別アドバイザーとして、米韓原子力協力協定の交渉
  4. アーネスト・モニツ 米国エネルギー省長官
  5. ジョン・ウルフスタール 米国家安全保障会議(NSC)で核不拡散担当2009~12年
  6. ケビン・メア 在日米国大使館で科学技術担当(2005)
    フラン・タウンゼンド ホワイトハウスの国土安全保障担当補佐官
  7. 米大使館
  8. トーマス・カントリーマン 国務省次官補 現米韓原子力協力協定交渉担当者
  9. ダニエル・ポネマン 米エネルギー省副長官
  10. ゲイリー・セイモア 元米ホワイトハウス調整官
  11. ジョン・ハムレ 米戦略国際問題研究所(CSIS)所長・元国防副長官
  12. 2005年六ヶ所使用済み燃料再処理工場運転無期限延期要請文書署名者28人
  13. 2005年「核不拡散体制強化のための日本のリーダーシップを求める要請」署名者



オバマ大統領

「分離済みプルトニウムのような我々がテロリストの手に渡らぬようにしようと試みているまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはならない」

出典:2012年3月核セキュリティー・サミットで訪韓した際の発言

スティーブ・フェター Steve Fetter 元ホワイトハウス科学技術政策局次長(2009~2012)、メリーランド州立大学副学長

核不拡散に関心を持っている米国のアナリストや政府高官のほとんどは、日本が使用済み燃料の再処理とプルトニウム燃料の使用を止めるとの決定をすればこれを歓迎するだろう。日本は、プルトニウムを分離し蓄積している唯一の非核兵器国だ。これは、他の非核兵器国にとって、とりわけ、核不拡散面で問題のある国にとって、不幸な前例を提供する。

しかし、米政府は、この問題について日本に圧力を掛けることには消極的な態度をとり続けている。再処理に対する米国の反対は、1970年代末に、日米関係に相当の摩擦をもたらした。このとき、日本の首相が、日本は再処理能力を「死活問題」と見なしていると明確に述べたために米国側は折れるに至った。米国の高官等には、この出来事を繰り返す気は毛頭ない。とりわけ、米国の圧力が日本の政策に変化をもたらすと信ずべき理由がほとんどない状況ではそうだ。フクシマ以後、原子炉の運転が停止され、原子炉建設が抑えられている状態で、日本が再処理を再開すべき正当な理由は何もない。それにもかかわらず、日本政府と電力会社は際処理計画を再開しようとしている。彼らは間違った政策にはまりこんでしまい、そこから抜け出せないでいるようだ。フクシマの惨事が日本の燃料サイクル政策に変化をもたらせないとしたら、どうして米国の圧力で変化をもたらすことができるだろうか。

出典:(核情報への投稿:2014/8/18)

Most U.S. analysts and government officials who are concerned with nuclear nonproliferation would welcome a decision by Japan to end spent-fuel reprocessing and the use of plutonium fuels. Japan is the only non-nuclear-weapon state that separates and stockpiles plutonium, which sets an unfortunate example for other non-nuclear weapon states, particularly those with more questionable nonproliferation credentials.

The U.S. government has nevertheless been reluctant to press the issue with Japan. U.S. opposition to reprocessing caused considerable friction in the U.S.-Japan relationship in the late 1970s, and the U.S. relented only when the Japanese prime minister made clear that it regarded the ability to reprocess spent fuel as "a matter of life or death." There is no desire on the part of U.S. officials to repeat this episode, particularly when there is little reason to believe that U.S. pressure would make a difference in Japanese policy. With the shutdown of reactors and curtailing of reactor construction following Fukushima, there simply is no rationale for the resumption of reprocessing by Japan. Even so, the Japanese government and the utilities are moving forward to restart the program. They appear to have locked themselves into a misguided policy from which they cannot escape. If the Fukushima disaster did not provoke a change in Japanese fuel cycle policy, how could U.S. pressure make a difference?

参考

ロバート・アインホーン 最近まで国務省で不拡散・軍縮特別アドバイザーとして、米韓原子力協力協定の交渉

日本とフランスはクローズドサイクルを選んだが、米国をはじめ多くの先進国が一度はクローズドサイクルを選択しながら、政策変更し、別の道を選んだ。資源の有効利用、廃棄物処分や経済性において利点があることが明確であるのであれば、なぜこれらの国はクローズドサイクルを放棄したのか。・・・

クローズドサイクルの利点、特に廃棄物処分の観点での利点は高速炉の活用によって始めて実現される。しかしながら高速炉はまだ実用化されておらず、実用化までどれくらいの期間を要するか不明確である。高速炉の実用化及び使用済燃料の最終処分の両者に不確実性がある中で、最終的な選択を延期する観点から、中間貯蔵は暫定的な解決策とはなり得ないのか。

出典:原子力平和利用と核不拡散・核セキュリティに係る国際フォーラム(日本原子力研究開発機構主催 2013年12月3-4日)

アーネスト・モニツ 米国エネルギー省長官

「米国は、プルトニウムの分離は、それに対応するこの物質の最終的な消費あるいは処分の道とバランスが取れていなければならないと引き続き考えている。私たちは、この点において日本が原子力の将来が不確かな中で難問に直面していることは理解している。しかし、プルトニウムの分離と消費のバランスというこの原則を日本が長期にわたって支持していることを歓迎しており、この方針と一致する計画を策定することの重要性を強調しておきたい。」

出典:エネルギー安全保障と政策:日米協力の将来 (笹川平和財団主催2013年10月31日)
(36分当たり)

ジョン・ウルフスタール 米国家安全保障会議(NSC)で核不拡散担当2009~12年

日本は「当面の使用予定のないプルトニウム在庫を大量に持っている」

「日本がこの3年間にプルトニウムの必要性を基本から考え直さなかったことに失望している

同氏は「個人的には六ケ所を稼働させないほうがいい」との考えを示すが、それを米政府が求めても、日本は受け入れず、米日関係が悪化するだけだとの見方がオバマ政権内では大勢を占めているという。また、日本が再処理をやめても他の国々が核開発をあきらめる保証はない、との議論もあったという。

出典:米、六ケ所再処理工場に懸念 プルトニウム増加止まらず ダグラス・バーチ=CPI、奥山俊宏 2014年4月14日

「日本がこの3年間に体験したすべてのことにもかかわらず、この物質の必要性について根本的に再検討しなかったことに私は失望している。」「私は個人的には、日本がMOX計画を持たず、六ヶ所を運転しない方が良いと思う。」

出典 上記記事の英語版 U.S. alarmed about plutonium stockpile growing from Rokkasho plant April 13, 2014

「日本は米国が言わなくても、六ヶ所が膨大な無駄遣いで、この道を突き進み始める必要がないことは分かっているはずだ。」「だが、これについて米国にできることがどれだけあるだろうか」

出典:Plutonium fever blossoms in Japan By Douglas Birch, R. Jeffrey Smith,Jake Adelstein CPI March 12, 2014 (Updated: May 19, 2014)

ケビン・メア 在日米国大使館で科学技術担当(2005)
 フラン・タウンゼンド ホワイトハウスの国土安全保障担当補佐官

ケビン・メア:

「あなたがたの原発はテロリストの格好のターゲットだ」(原子力安全・保安院の幹部に対して)

保安院幹部の応答:「日本では銃は違法なので、武装警備員は不要だ」

タウンゼンド(2014年取材):

「日本人は自分たちはテロの脅威から切り離されていると考えている。我々の懸念は届かなかった」

出典:「日本の原発はテロリストの格好のターゲットだ」 米、核の警備を不安視 2014年3月24日05時00分

米大使館

「物理防護の懸念はまだ解決されていない」

「プルトニウムの主要貯蔵施設のひとつである東海村施設に武装警備員が配置されていない点についての質問に対する文部科学省の答えは、現地の必要性とリソースに関して検討したところ、このサイトでの武装警官の配置を正当化するに足る脅威は存在しないとの結果が得られたというものだった」

出典:ウィキリークス 米大使館2007年2月26日付公電

トーマス・カントリーマン 国務省次官補 現米韓原子力協力協定交渉担当者

核燃料サイクルをめぐって現在日本で行われている議論について、核不拡散や原子力技術の観点から、非常に高い関心を持っている

特に、MOX燃料を使用する原発が存在せず、その見通しもない中で、六カ所再処理施設を稼働することは、米国にとって大きな懸念となりうる。特にイランの核問題や米韓原子力協力の問題に影響を及ぼすことで、米国にとっても困難な事情につながる可能性がある。

日本が、経済面・環境面での理由がないままに再処理活動を行うとすれば、これまで日本が不拡散分野で果たしてきた役割、国際社会の評価に大きな傷が付く可能性もあり、状況を注視している。

出典:鈴木原子力委員長代理出張報告(pdf) 2013年4月22日

日本は保障措置の強化、原子力安全、核セキュリティの推進においてリーダーとしての役割を果たしており、PUIの重要なパートナーでもある。米国と日本の間で行われてきた技術協力、特にその中でも、IAEAも含めた、六ヶ所再処理施設等、プルトニウム取扱施設における保障措置の検討を高く評価している。また、日本が表明している「余剰プルトニウムを保有しない」という政策についても支持、評価している。

日本は現在エネルギー政策の検討にあたり困難な状況に直面していると承知している。日本は、原子力の利用をどうするのかについて、日本国民のみならず世界のパートナーに対しても責任ある決断を下す必要がある。米国は日本のパートナーとして、日本が核燃料サイクルのバックエンドに関する政策、特に六ヶ所再処理施設やプルトニウム処分の方策の検討を行うに際して、(1) 公開性、透明性の確保、(2) 政治的な現実だけでなく、経済的な現実や技術的な現実の直視、(3) 日本の核燃料サイクル政策が地域及びグローバルな核不拡散取組みに与える影響を考慮すること、を期待したい。

出典:原子力平和利用と核不拡散・核セキュリティに係る国際フォーラム (日本原子力研究開発機構主催 2013年12月3-4日)

ダニエル・ポネマン 米エネルギー省副長官

「MOX燃料を装荷して、プルトニウムを消費できる原子力発電所がどれくらい速やかに立ち上がるかを大きな関心をもって注視している。今後、消費する予定がないまま、再処理により新たな分離プルトニウムのストックが増えることにならないか大いに懸念を有している」

出典:鈴木原子力委員長代理出張報告(pdf) 2013年4月22日

ゲイリー・セイモア 元米ホワイトハウス調整官

「(青森県六ケ所村の)再処理工場は技術的な問題続きで予算超過。日本には既に大量のプルトニウムがある。再処理継続に特段の必要性や価値があるとは思えない」

出典:太田昌克(共同通信) 原子力時代の死角 核と日本人 018 日米原子力同盟史Ⅰ (2013年5月6日)

もし日本政府が本当に、「イエス、我々は運転開始する」と決めれば、オバマ政権は決定をしなければなくなくなる。反対しないという現在の政策を続ける[か、プルトニウム製造計画を放棄するよう説得を試みるか、しなければならなくなる。]

出典:U.S. alarmed about plutonium stockpile growing from Rokkasho plant Asahi Shimbun April 13, 2014

再処理工場の稼働はプルトニウムをためない体制を確立してからにして欲しいと言うのが米国の希望だろう。現在の経済的・技術的条件下ではこれだけのプルトニウムは使い切れない。

*北野充外務省軍縮不拡散・科学部長の次の発言を受けて

日本は核燃料効率利用、放射性廃棄物の減容などの観点から核燃料サイクル政策jを進めている。青森県六ヶ所村の再処理工場は工事が終わり、原子力規制委員会に安全審査を申請している段階だ。プルトニウムは核兵器にも使えるものなので、国際的な疑念をもたれないようにしていく。再処理でできた分は、プルサーマル発電で消費し、需給を一致させる計画だ。

出典:日本経済新聞 2014年1月30日 パネル討論「日米安保と核抑止力」 (2014年1月20日国際シンポジウム「原子力と安全保障を考える」の記録)

ジョン・ハムレ 米戦略国際問題研究所(CSIS)所長・元国防副長官

経済性の観点から見ても核燃料サイクルのハードルは高い。使用済み燃料の長期保管では、問題を過大評価している面もある。

米ワシントン近くの原発では、全て敷地内に保管しており、必要なスペースはテニスコート2面分だ。10万年保管する必要があると言うが、100年程度安全に保管できれば、新たな技術ができる可能性は十分ある。「核燃料サイクル」しかないと考えるべきではない。

*上のセイモアの発言に続いて。

出典:日本経済新聞 2014年1月30日 パネル討論「日米安保と核抑止力」 (2014年1月20日国際シンポジウム「原子力と安全保障を考える」の記録)

2005年六ヶ所使用済み燃料再処理工場運転無期限延期要請文書署名者28人

「国際社会は、核兵器に利用できる世界の核分裂性物質 ─ 高濃縮ウラン(HEU)及び分離済みプルトニウム ─ の量の最小化を、優先順位の高いものにすべきである。それは、核軍縮と核不拡散を推進するとともに、テロリストが核兵器を手に入れるのを防ぐことにつながるだろう。しかし、日本は、工業規模の分離済みプルトニウムの製造者として、いくつかの核保有国の仲間入りをしようとしている。核不拡散体制がその最大の試練を迎えている時に、日本は、六ヶ所再処理工場の運転開始の現在の計画を進めるべきではない。」

  • ローズ・ガッテマラ (他の表記:ゴッテモラーなど)
    現国務次官補(軍備管理・国際安全保障)
  • ジョン・P・ホルドレン 
    ホワイトハウス科学アドバイザー
  • ウイリアム・J・ペリー
    元国防長官

出典:「六ヶ所使用済み燃料再処理工場の運転を無期限に延期することによってNPTを強化するようにとの日本への要請」 2005年5月5日 米国のNGO「憂慮する科学者同盟(UCS)発表

2005年「核不拡散体制強化のための日本のリーダーシップを求める要請」署名者

「これ以上の核兵器利用可能物質を日本が生産し蓄積すれば、それは、北東アジアにおける核拡散問題をさらに複雑なものにすることになる。工場の運転が開始されれば、それは、核兵器(及び核兵器用物質)の取得を追求している国々に「日本の例」という口実を与えることになる。つまり、六ヶ所再処理工場の運転開始と、分離したプルトニウムを商業用原子炉の燃料として使うという非経済的な計画の実施とは、NPT加盟国が決して無視することのできない世界的核拡散リスクを招来するのである。

われわれは、再検討会議の閉幕を控え、核兵器の使用がもたらす悲惨さについて熟知している日本政府に対し、核廃絶と核拡散防止への道を世界に示して見せるよう要請する。日本が六ヶ所再処理工場の運転を無期限に延期するという勇気ある決定をすることこそが、この目標に至る極めて重要な一歩となるだろう。」

  • ケビン・マーティン ピースアクション
  • マーティン・ブチャー 社会的責任を考える医師の会
  • ダリル・キンボール 軍備管理協会

等が呼びかけ

出典:「核不拡散体制強化のための日本のリーダーシップを求める要請──六ヶ所再処理工場運転の無期限延期の呼びかけ」 2005年5月24日


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