3月17日の上院外交委員会公聴会で使用済み燃料再処理計画について、経済性も合理性もなく、核拡散防止の観点から「すべての国がプルトニウム再処理の事業から撤退してくれれば、非常に嬉しい」と述べたトーマス・カントリーマン米国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)が4月21日、ワシントンの「戦略・国際問題センター(CSIS)で開かれたパネル・ディスカッションで、その考え方と日本の政策を尊重するとの発言に矛盾はないと説明しました。
4月20日、衆議院経済産業委員会における再処理法案に関する質疑の中で、経産省は、使用済み燃料から再処理で取り出したプルトニウムを通常の原子炉で燃やした際に出てくる使用済みウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の崩壊熱について「数年程度で十分に低くなる」から特別な扱いが必要になるということはない」と述べました。これはプール貯蔵を念頭に置いての発言でしょう。しかし、現時点では使用済みMOX燃料は一般に地下処分場に送られると見られており、使用済みウラン燃料と比べた発熱量の高さは大きな問題です。必要な処分場の容積を決めるのは、ゴミの体積ではなく、発熱量だからです。再処理で処分場の必要規模を縮小したつもりでも、そこに使用済みMOX燃料を入れることになれば、元の木阿弥、経産省の主張する廃棄物の「減容化」は意味をなさなくなります。
G7外相会合広島宣言を巡る報道の中で、日本が以前から主張してきた「核兵器の非人道性」を核保有国の抵抗で引っ込めたとの説明がしばしば見られます。確かに、日本は1994年以来毎年国連総会に提出している核軍縮決議案の中に、「核兵器のあらゆる使用の悲惨な人道的結末に深い懸念を表明し」という文言を2010年から入れています。しかし、この文言は2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書にある表現から来ています。そして、2010年の日本決議には米国が主要共同提案国となり、英仏ロも賛成票を投じています(中国は棄権)。2012年の日本決議では英国も共同提案国に加わりました。2014年まで英米仏は賛成、ロシアも2013年まで賛成という状況だったのです。
3月17日の上院外交委員会公聴会で日本の原子力発電所の使用済み燃料再処理計画について、経済性も合理性もなく、核拡散防止の観点から「すべての国がプルトニウム再処理の事業から撤退してくれれば、非常に嬉しい(happy=喜ばしい)」述べたトーマス・カントリーマン米国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)が4月1日、核セキュリティーサミットに合わせたNHKとの単独インタビューで「不拡散の観点から言えば、どの国も再処理をしなければ、その方が喜ばしい」との立場を再度表明しました。