核情報

2013. 8. 9〜

海外の平和団体、プルトニウム生産中止要請を日本大使館に送付
原水禁、長崎から8月9日政府宛にコピー郵送

世界各地の平和・反核兵器団体が広島・長崎被爆68周年行動の一環として、六ヶ所再処理工場を運転しないようにと要請文を日本大使館に送りました。長崎原爆の材料プルトニウムを使用済み燃料から取り出す六ヶ所再処理工場は核兵器問題だとの認識を示すものです。メッセージは、ノーモア-・ヒロシマ!ノーモア-・ナガサキ!ノーモア-・プルトニウム!です。

  1. 原水禁要請文
  2. 各国書簡の訳文 (原文

素早い反応が示す核兵器問題としての認識

8月9日までに、11ヶ国で送られた23通が日本大使館に送られました。(内1通は、オーストラリアの複数の団体が共同で同国外務大臣に宛てたもの。日豪原子力協力協定の下での規定を使い、日本に働きかけるよう求めている)。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は、これらの書簡のコピーと、その大半の粗訳とを8月9日、被爆地長崎から日本政府に郵送しました。原水禁は、「核廃絶のために日本政府や被爆者にも協力してきた世界の反核・平和運動のこのような声に耳を傾け、核兵器利用可能物質プルトニウムのこれ以上の蓄積を防ぐため、六ヶ所再処理工場運転計画を中止するよう」にとの要請書を同封しました。

原水禁が世界各地の団体に「キャンペーン協力要請」メールを出したのは、7月12日。北半球で夏休みに入る人々の多い時期でしたが、「国際平和ビューロー(IPB)」、米国「憂慮する科学者同盟(UCS)」が組織した専門家グループ、「米国軍備管理協会(ACA)」、全米組織ピース・アクション、仏・独・豪などの団体・政党、「核戦争防止国際医師会(IPPNW)」や「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」などの関係組織、印パの全国組織など数々の組織・個人から日本大使館に書簡が送られました。諸団体・個人が、それぞれの言葉で、核兵器問題としての六ヶ所再処理工場について語っており、この問題についての関心の高さを示しています。

関連記事


原水禁要請文

内閣総理大臣 安倍晋三様
外務大臣 岸田文雄様
経済産業大臣 茂木敏充様

六ヶ所再処理工場の運転中止を求める
世界各地の反核・平和運動の日本大使館宛書簡送付

2013年8月9日

長崎原爆投下68周年を迎えた長崎からご挨拶申し上げます。68年前の今日、約6kgのプルトニウムの入った原爆が長崎市を瞬時にして破壊しました。

来年、日本は、六ヶ所再処理工場の商業運転を開始しようとしています。この工場は、非核兵器国で唯一の工業規模の再処理工場で、原子力発電所の使用済み燃料からプルトニウムを年間約8トンの割合で分離する計画です。一発当たり8kgという国際原子力機関(IAEA)の計算方法に従えば、核爆弾1000発分に相当します。

元々は、再処理で分離されたプルトニウムを、高速増殖炉で使うというのが日本の計画でした。消費した以上のプルトニウムを生み出し、半永久的エネルギー源となるはずだった原子炉です。しかし、ご承知の通り、他の国々におけると同様、この計画は頓挫しました。それで、日本は、再処理で増え続けるプルトニウムを軽水炉で消費するという非経済的な計画を開始しました。ところが、この計画も進まず、その結果、日本の分離済みプルトニウムは、約44トンにも達してしまいました。核爆弾5000発分以上です。約34トンがヨーロッパに(日本の使用済み燃料の英仏での再処理により生じたもの)、約10トンが国内にあります。

福島の事故の結果、日本では、原子力発電所は、50基のうち、2基しか稼働していません。再稼働となる原子炉の基数、タイミングは不確かで、既存のプルトニウムが近い将来に意味のある量で消費される可能性はほとんどありません。

このような状況での六ヶ所再処理工場の運転開始計画がもたらす核兵器利用可能物質のさらなる蓄積について、国際社会や日本の近隣諸国は懸念し、日本の意図について訝っています。

分離済みプルトニウムは、セキュリティー・リスクでもあります。そして、他の国が日本の例に倣えば、核拡散のリスクも高まります。

こうした問題意識を背景に被爆68周年関連行事の一環として世界各地の反核・平和団体が現地の日本大使館に六ヶ所再処理工場を運転しないよう求める書簡を送りました。その一部のコピーが原水爆禁止国民会議(原水禁)に送られて来ております。これらの書簡(原文)23通とその大半の粗訳とをお送りします。(内1通は、オーストラリアの複数の団体が共同で同国外務大臣宛に送ったものです。書簡の国別に整理したリストを添付致します。)

核廃絶のために日本政府や被爆者にも協力してきた世界の反核・平和運動のこのような声に耳を傾け、核兵器利用可能物質プルトニウムのこれ以上の蓄積を防ぐため、六ヶ所再処理工場運転計画を中止するよう要請します。

原水爆禁止国民会議(原水禁)事務局長 

藤本泰成

添付

書簡国別整理リスト

合計22通が11ヶ国の大使館に送付

(これに加えて1通がオーストラリア外務省に送付)

内訳は以下の通り(ページ下部には8月9日に送付したものに加え、IPPNW欧州議会緑グループ、韓国 参与連帯慶州環境運動連合を追記しました。「ノーベル平和賞受賞医師団体、安倍首相に六ヶ所再処理中止要請」参照)

国際組織 1

米国 5

ドイツ 4

フランス 1

インド 2

パキスタン 1

スリランカ 1

オーストラリア 5

ニュージーランド 1

カナダ 1

アイルランド 1

各国書簡の訳文

六ヶ所再処理工場の運転中止を求める

世界各地の反核・平和運動の日本大使館宛書簡粗訳

(2013年8月9日段階で確認できているもの)

1 国際組織

(1)国際平和ビューロー(IPB)本部ジュネーブ (原文

8月2日 

大使

六ヶ所での再処理

国際平和ビューロー(IPB)の300の加盟団体及び支持者を代表して、来年六ヶ所再処理工場でプルトニウムを分離するために使用済み燃料の再処理を始めるという日本政府の計画に反対を表明いたします。

再処理は、ヒトの健康と環境にとって深刻なリスクを伴います。それがもたらす放射性物質の放出とプルトニウムのためです。これらの理由のため、ドイツは、国内での再処理を1990年に放棄し、2005年からはドイツの使用済み燃料を再処理目的で外国に搬出することを違法としました。

すでに核兵器5000発分以上の分離済みプルトニウムを抱えていながら、さらに年間1000発分のプルトニウムを分離すると言うのは、ゆゆしきことです。これが他の国々にとって危険な先例となることは明らかでしょう。このことが持つ潜在的セキュリティー上及び核拡散上のリスクは、受け入れがたいと私たちは考えます。

日本は、そのプルトニウム利用計画は、平和目的だけのものだと主張しますが、実際は、国際的核不拡散にとって深刻な意味合いを持っています。他国は、いつか日本が核兵器を持つのではないかとの懸念を持っていますが、日本の長期的意図がどうであるかに拘わらず、日本の計画は、プルトニウムへのアクセスを世界的に制限しようという努力を台無しにします。韓国は、その使用済み燃料を再処理する計画を正当化するために日本が享受している特別な扱いを指摘します。この問題は、米国との間の新しい原子力協力協定の交渉において、膠着状態をもたらしています。一方、イランは、その核関連活動を正当化するために日本の核燃料サイクル・プログラムを活用しています。

福島の原子力事故と、現在の日本におけるほとんどの原子力発電所の運転停止という歓迎すべき事態とを考えれば、既存のプルトニウムの相当量を近い将来消費できる見込みはほとんどありません。従って、六ヶ所の運転開始は、余剰プルトニウムを生み出すことにしかなりません。日本は、1997年12月にIAEAに対し、余剰プルトニウムの発生を避けると明言しています。

六ヶ所におけるプルトニウムの分離は、核のない世界を目指す日本や世界の人々の希望に逆行するものです。

貴国政府の責任ある高官にこのメッセージをお伝え頂くようお願いします。

敬具

コリン・アーチャー

国際平和ビューロー事務局長

IPB logo

(2) IPPNW

核戦争防止国際医師会議(IPPNW)

66-70 Union Square, #204 Somerville, MA 02143 U.S.A.
PHONE: +1.617.440.1733 FAX: +1.617.440.1734 WWW.IPPNW.ORG

2013年9月23日

安倍晋三総理大臣様

拝啓

62ヶ国の医師を代表して、来年六ヶ所使用済み燃料再処理工場の商業運転を開始しようという日本の計画について懸念を表明するとともに、貴政府に対し、六ヶ所工場の運転計画を実施しないよう要請致します。

私たち国際組織「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」の目標は、「世界保健機関(WHO)」が「人類の健康と福祉に対する差し迫った最大の脅威」と位置づけた核による壊滅の脅威から世界の人々の健康を守ることにあります。IPPNWは、1985年に「核戦争のもたらす壊滅的結果について権威のある情報を広め、意識を高める上で重要な貢献」したとして、ノーベル平和賞を受賞しました。

核兵器は、核分裂性物質――高濃縮ウランとプルトニウム――なしでは存在し得ません。人類が健康的で持続可能な将来を享受するには、核兵器がまた使われてしまう前に、核兵器のない世界を達成しなければなりません。これを確実にするために、私たちは時間との競争をしている状態にあります。核兵器の持つ極度の人道的脅威のない世界を達成するには、核軍備を撤廃するだけでなく、核分裂性物質の生産を最小化し、可能な限り生産しないこと、そして、可能な限り現存のストックを無くしてしまうことが必要です。権威のある「国際核分裂性物質パネル(IPPNW)」は、2013年1月現在の世界の核分裂性物質の現存量を次のように推定しています。高濃縮ウランが1390トン(1kg以上を持つ国31ヶ国)、分離済みプルトニウムが490トンです。米国の核兵器には、1発当たり平均してわずか4kgのプルトニウムしか入っていないことが知られています。

日本はすでに44トンのプルトニウムを保有しています。一発当たり8kgという高めの量で計算しても、5000発分以上です。日本は、非核兵器で唯一、使用済み燃料からプルトニウムを分離している国です。核兵器利用可能物質のこれ以上の蓄積について、国際社会、とりわけ、北東アジアの隣国が懸念しています。このような懸念は、この膨大で増大を続ける量のプルトニウムの使用の道が、予見できる将来、ないために高まります。実際、日本の政治家の中には、過去において、このようなプルトニウムのストックからわずか数ヶ月で作ることのできる潜在的核兵器について言及して注目を集めた人々がいます。日本政府が現在表明している意図がどうであれ――これについては私たちが疑問を持つ理由はありませんが――政治的意図はプルトニウムの半減期に比べると非常に短期に変わり得ます。さらに、このような現存プルトニウムの存在自体が転用や盗取のリスクをもたらすものであり、他の国々おける核分裂性物質製造計画や核拡散の原動力となってしまいます。

原子炉の使用済み燃料からプルトニウムを分離するという日本の政策は、同じような計画を進めようとする他の国々とって危険な先例となってしまいます。再処理工場に対して適切な保障措置を講じる上での本質的な技術上の困難と、分離されたプルトニウムの転用のリスクが、これらのリスクに加わります。

六ヶ所再処理工場は、とりわけ、核兵器の拡散がすでに深刻な問題となっている北東アジア地域の文脈において懸念をもたらします。

日本の原子力委員会は1997年1月31日に、日本は余剰プルトニウムを持たないと約束しており、そして、この決定は1997年2月4日に内閣によって承認されたと私たちは理解しております。さらに、2003年8月5日、日本原子力委員会は、電力会社に対し、使用済み燃料からプルトニウムを分離する前にそのプルトニウムの使用計画を発表することを義務付けました。六ヶ所再処理工場における商業運転の開始は、これらの決定に反するものであり、日本の一貫性及び信頼性について疑義を生じさせるものであります。

日本の人々や政府がよくご存知の通り、核兵器が将来使われるようなことがあれば、それは、壊滅的な人道的結果をもたらします。このため、IPPNWは、他のパートナーとともに、核兵器の全面的禁止条約制定のための「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に取り組んでいます。まさに無差別殺傷兵器の最悪のものが、明確な法的禁止の対象となっていないものであるという異常な事態を正すためです。クラスター爆弾や対人地雷を禁止する条約の締結国として、日本が核兵器を禁止するための活動も支持することを私たちは願っております。

日本すでに持つ核兵器量可能物質の多さから言って、六ヶ所再処理工場の運転は不必要かつ危険なものです。すでに大量にある現存のプルトニウムの量をさらに増やすことは、核兵器のない世界を達成することを支持するとの日本の立場と矛盾するものです。

貴政府が六ヶ所再処理工場の商業運転を開始すると日本の決定を再検討し、このような運転を開始しないと発表することをお勧めします。このような決定は、世界中で広く歓迎され、世界の人々の健康を脅かすのではなくこれを支えることになるでしょう。

敬具

ティルマン・ラフ 共同議長
アイラ・ヘルファンド 共同議長
ロバート・ムトンガ 共同議長
ウラジミール・ガルカベンコ 共同議長

cc:天野万利大使様

(3) 欧州議会緑グループ


2013年8月28日 ブリュッセル

安倍晋三首相

六ヶ所再処理工場の運転開始計画についての深い懸念から、この書簡を差し上げる次第です。

再処理は、人間と自然にとって深刻なリスクを伴うものです。一つには、これは、大量の放射能放出のためです。それは、本格稼働時には、通常運転状況においてでさえ、最新型の原子炉の何千倍のも量に達しうるものです。これは、英仏の運転中の再処理工場のけい件から知られている通りです。もう一つには、再処理によってプルトニウムが分離され、核兵器に利用可能な形体となるためです。プルトニウムの拡散は、原子力利用に関連した重大なリスクの一つです。また、新しい再処理施設は、どれも、前例となり、将来他の国々がこれを指摘する可能性があります。これらの国々の中には、軍事目的でこの危険な技術を悪用しようとする暴漢国家も含まれます。

福島における核惨事は、原子力発電所の運転の持つ脅威を、再度、明らかにしました。しかし、2011年3月の地震の後、六ヶ所工場もまた問題を経験しました。日本の他の核施設よりもずっと大量の高レベル棄物を貯蔵しているこの施設で重大事故が起きれば、壊滅的な結果をもたらすでしょう。ですから、私たちは、六ヶ所再処理工場の運転を開始しないよう要請します。

また、この夏、損傷した福島第一の原子炉は、コントロールされるにはほど遠い状態であることが明らかになりました。とりわけ、汚染水の管理は、大変な問題です。未だに、大量の水──毎日約360トン──破壊された原子炉に注入されています。

放射能を帯びて再使用のできない水が増え続けており、40万トンに近い量が不安定な貯蔵状態におかれています。この水の中には、チェルノブイリ事故で放出された全放射能量の2.5倍以上が含まれると推定されています。

汚染された水が、漏れを起こしているタンクに入っており、これが、地下水や太平洋への放出をもたらしています。日本政府と原子力発電所の所有者東京電力は、進行中の福島の惨事に対処するために大変な努力をしています。しかし、課題が未曾有のものであり、広範囲なものであることを考えれば、組織だった国際的な援助・アドバイスの強化が大いに助けになることでしょう。重要な技術的分野における世界中の専門家を集めた「国際福島タスクフォース(ITFF)」を作れば、福島地域の人々の安全の回復のため日々活動している諸チームの助けとなるでしょう。ITFFによる短・中・長期の問題緩和戦略に関する提言は、サイトの安定化のための動きを加速することになるかもしれません。このパートナーシップは、福島の惨事の甚大な影響を克服する助けとなるでしょう。しかし、私たちは、また、この機会を捉えて、原子力の道を去り、効率向上と再生可能エネルギーに根ざした、原子力のないクリーンで安定したエネルギーの将来への道を開くようお勧めします。

敬具

レベッカ・ハルムス
欧州緑グループ・欧州自由同盟代表

2.米国

(1)憂慮する科学者同盟(UCS)共同署名書簡

2013年8月6日

日本に対する六ヶ所使用済み燃料再処理工場運転無期限延期の要請

六ヶ所再処理工場の運転を控えることを日本に要請いたします。分離済みプルトニウムを含む核兵器利用可能核分裂性物質の世界の存在量を最小化し、いずれ、ゼロにすることは、国際社会にとって高い優先順位を持つものでなければなりません。そうすれば、核軍縮と核不拡散を推進することになり、また、テロリスト等による核兵器の入手を防ぐのに役立ちます。

六ヶ所再処理工場を運転し、工業規模でプルトニウムを分離するとの決定は、韓国をはじめとする他の国々が再処理するのを防ごうとする取り組みにとって、大きな痛手となります。六ヶ所の運転を開始すれば、日本の核兵器利用可能分離済みプルトニウムの保有量を増やすことにしかなり得ません。日本は、直ぐに利用できるプルトニウム処分方法を持っていません。再処理の開始は、それでなくても膨大な問題に直面している核不拡散体制と「国際原子力機関(IAEA)」にさらなる重荷をもたらします。

1997年12月1日、日本は、その核燃料サイクルは「余剰プルトニウムを持たない」との原則に基づいていると述べています(注1)。しかし、2011年末までに、日本の分離済みプルトニウムの総量は、24トンから44トンに増えています。核兵器約7000発分に当たる量です。現在日本に10トンあり、残りが、日本のために、英仏の再処理工場で保管されています(注2)

六ヶ所再処理工場の運転は、日本国内の保有量を大幅に増やすことになり、「余剰プルトニウムを持たない」との日本の目標にさらに反する行為となります。六ヶ所再処理工場は、設計能力通りに運転されれば、年間約8トンのプルトニウムを分離します。原爆1000発分に十分な量です。

フクシマ以前、日本は、この蓄積されたプルトニウムのほとんどを、その軽水炉で混合酸化物(MOX:プルサーマル)燃料として燃やすことによって処分することを計画していました。日本は、このような計画の存在だけで、日本のプルトニウムは「余剰」ではないことを示すのに十分だと主張しました。しかし、フクシマ以前でも、日本がその膨大な量のプルトニウムを処分するには、何十年もかかったでしょう。日本のMOX燃料計画は、技術的問題や国民の反対に直面し、相当の遅延が生じていました。フクシマの時点で、日本の軽水炉で照射されていたのは、わずか2.5トンのプルトニウムを含有する少量のMOX燃料だけでした。

現在日本で運転されている軽水炉は、2基だけです。そして、何基が再稼働され、それらがどのくらいの期間運転されるか定かではありません。六ヶ所再処理工場の運転は、フクシマが起きる前も意味をなしませんでした。今では、さらに意味をなさなくなっています。

最終的には、大量の余剰プルトニウムを抱えた状況での六ヶ所の運転は、東アジアで、そして、世界中で、日本の核不拡散及び核テロ防止へのコミットメントについて重大な疑念を起こします。日本は、核兵器国の「クラブ」に加わらないというすばらしい賢明さを示してきました。私たちは、日本に対し、分離済み民生用プルトニウムの余剰ストックをこれ以上増やさないとの決定を行うことにより、同様のリーダーシップを示すよう強く要請します。その考えに基づき、日本が、六ヶ所再処理工場の運転を無期限に延長するよう求めます。

ピーター・ブラッドフォード
元米国原子力委員会委員
スティーブ・フェター
メリーランド大学公共政策部教授
カート・ゴットフリード
コーネル大学名誉物理学教授
スコット・ケンプ
マサチューセッツ工科大学核化学・工学助教授
エドウィン・ライマン
「憂慮する科学者同盟(UCS)」世界安全保障プログラム・シニア・サイエンティスト
マービン・ミラー
マサチューセッツ工科大学科学・技術・社会プログラム リサーチ・アフィリエート
アンドリュー・M・セスラー
ローレンス・バークレー国立研究所名誉所長
フランク・フォンヒッペル
プリンストン大学公共・国際問題名誉教授、「核分裂性物質国際パネル(IPFM)」共同議長


  1. 国際原子力機関(IAEA),自国のプルトニウムの管理に関して幾つかの加盟国から受領したコミュニケーション,NFCIRC/549/Add. 1, 1998年3月31日 http://www.iaea.org/Publications/Documents/Infcircs/1998/infcirc549a1.pdf (2005年3月14日アクセス)
  2. 国際原子力機関(IAEA),自国のプルトニウムの管理に関して日本から受領したコミュニケーション,NFCIRC/549/Add. 1/15,2012年10月3日 (2013年のMOX輸送に関するものも含む数字

(2)ピース・アクション


7月25日

大使

米国の団体ピース・アクションの2万5000人のメンバーとサポーターを代表して、六ヶ所再処理工場で来年、プルトニウムを分離するための使用済み燃料を再処理を開始しようという日本政府の計画に対する反対を表明するために、この書簡をお送りします。

すでに核兵器5000発分以上のプルトニウムを持っていながら、さらに、年間核兵器1000発分のプルトニウムの分離をするというのは(これが目的でないことは理解していますが、やはり、驚くべき数字です)、憂慮すべきことです。これは、他の国にとって危険な先例を作ることになります。潜在的なセキュリティー・核拡散リスクは、容認できないものと見なさなければなりません。

個人的なことを言いますと、私は、被曝者の方々や平和団体、活動家らとともに世界的核兵器廃絶を訴えるために日本を3度訪問しています。そのたびに、貴国の美しさや人々の親切さに触れ、非常に楽しいひとときを過ごすことができました。六ヶ所での再処理によるプルトニウム分離は、核兵器のない未来を求める日本を初めとする世界中の人々の希望に直接反するものであります。

敬具

ケビン・マーティン

ピース・アクション事務局長

(3)「軍備管理協会(ACA)」


8月6日

大使

広島・長崎の悲惨な原爆投下から68年、いまだに、核兵器の脅威は残っており、世界の大国、そして、世界の市民は、これらの兵器--世界で最も危険な兵器--の拡散と使用を防止する責任を負っています。

「軍備管理協会(ACA)」は、1971年以来、核兵器が持つリスクを減らすための現実的な解決を提唱する仕事をしてきました。私たちは、貴国政府の方々や、日本の市民社会と、何年にもわたって、協力してきました。その目的は、例えば、核兵器実験の永久的な停止の効力を発生させること、核保有を宣言している国々による検証可能で逆転不能な形の核軍縮を達成すること、核分裂性物質の生産中止条約実現に向けて進むこと、民生用の原子力協力と核物質のセキュリティーの基準を高くすること、そして、朝鮮半島の非核化を達成するための「行動に対応する行動」の各種措置を実現すること、などです。

このような取り組みの中で、私たちは、広島・長崎の原爆投下で殺された無辜の民、そして、過去数十年の間に、世界中の核兵器製造の過程や核実験の結果生まれた何十万もの犠牲者、生き延びた方々について考えます。

米国は、核兵器を使った最初の国として、事態の前進に拍車をかける手助けをする特別の責任を負っています。しかし、米国は、核兵器のない世界を単独で達成することはできません。日本をはじめとする、全ての国々が核不拡散条約の下で、核不拡散と核軍縮に貢献し、自らの行動を通してリーダーシップを発揮する重大な責任を負っています。

向こう数ヶ月の間に、日本は、六ヶ所再処理工場の商業運転を開始するとの現在の計画を変更することによって核軍縮の大儀に貢献する機会を持っています。この工場は、運転されれば、非核保有国における唯一の工業規模の再処理施設となり、年間8トンの割合で使用済み燃料からプルトニウムを分離する能力を持つことになります。日本はすでに分離済みプルトニウム約34トンをヨーロッパに(英仏で日本の使用済み燃料を再処理した結果生じたもの)、約10トンを日本に保有しています。

福島の事故の後、日本の発電用原子炉のほとんど全てが、プルトニウムを含むMOX燃料の使用を許された全ての原子炉を含め、運転停止となっている現状では、六ヶ所の運転を開始するとの日本の決定は、極めて大きな問題を持ちます。

さらに、日本は、福島第一原子力発電所3号機で使われたMOX燃料に関連した安全性問題のために、賢明にもMOX燃料の使用から後退しています。MOX燃料は、他の原子炉で使われる低濃縮ウランよりも放射能が強く、MOX燃料に関連した事故はより深刻になります。

高速増殖炉の商業化の短期的展望がなく、既存の原子炉でのMOX使用の明確な展望もないなか、使用済み燃料の再処理は正当化され得ません。再処理開始は、単に分離済みプルトニウムの蓄積量を増やすだけで、これは、余剰プルトニウムを持たないという日本が宣言した政策と明確に矛盾し、民生用及び軍事用の核分裂性物質の蓄積を最小限にしようという国際的努力を台無しにするものです。

バラク・オバマ大統領が、韓国の外国語大学で2012年3月26日に述べたとおり、「我々に原子力を与えるまさにそのプロセスが、各国やテロリストに核兵器取得の可能性を与えます。私たちは、分離済みプルトニウムのような我々がテロリストの手に渡らぬようにしようと試みているまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはなりません」。

私たちは、日本の六ヶ所再処理工場の運転開始計画が現在の米日原子力協力協定の基礎を脅かすだろうという米国政府高官の多くが持っている懸念を共有します。なぜなら、これは、日本がプルトニウムを消費しないままさらに分離済みプルトニウムを蓄積することになるからです。

大使、そして日本における大使の同僚の方々に対し、向こう数ヶ月の間に、使用済み燃料の再処理・プルトニウム分離計画を再検討し、分離済みプルトニウムをはじめとする核分裂性物質の生産を、それが如何なる目的のものであれ、終わらせようとしている世界の他の大多数の国々に加わるよう要請します。

米国とともに、韓国を始めとする他の国々に再処理をしないよう働きかけ、すでにある分離済みのプルトニウムについては安全な地層処分を奨励することにより、日本は、核拡散防止の努力におけるリーダーになることができます。

このような決定をすれば、「軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)」に関連した日本の重要な努力に貢献することができるでしょう。これにより、日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国に対し、そのプルトニウム分離活動を中止するよう圧力をかける上で影響力を大きくすることになるでしょう。また、中国、インド、パキスタンに対し、核分裂性物質生産禁止体制に関与させようとの取り組みにも寄与するでしょう。

ご配慮よろしくお願い申し上げます。

ダリル・キンボール

軍備管理協会(ACA)事務局長

(4)ニュークリア・エイジ・ピース・ファウンデーション

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7月30日

大使

米国による広島・長崎の原爆投下の68周年が近づくなか、日本が、今も、核軍縮運動において重要な発言力を持っていることははっきりしています。被爆者の声は、毎日、核兵器が次に使われる前に廃絶しなければならないことを思い起させます。

この切迫感を持って、私は、日本に対し、六ヶ所使用済み燃料再処理工場の運転開始計画をただちに放棄するよう要請する次第です。これら運転計画のキャンセルは、世界に対し、核兵器利用可能物質の生産は危険すぎるとのメッセージを送ることになります。

六ヶ所再処理工場の運転は、約8トンの核兵器利用可能なプルトニウムをもたらします。毎年約1000発の核弾頭を製造できる量です。日本は、核不拡散条約(NPT)の下での義務を順守していますが、大量のプルトニウムの生産は、盗取のリスクを高めます。

この再処理工場の運転開始から必然的に生じる大量のプルトニウムの蓄積は、核兵器開発の疑念をもたらします。このような疑念は、核軍縮・核不拡散を目指す世界的な努力に悪影響を及ぼします。他の国々が日本の能力に対抗する必要を感じるからです。

日本は、韓国や中国などの国々が再処理工場の開発にさらに関心を示すようになる前に、核兵器利用可能物質の生産に反対する立場をとらねばなりません。いくつもの新しい再処理工場が運転されることになれば、それは、核拡散の悪循環に至らざるを得ません。

ニュークリア・エイジ・ピース・ファウンデーションは、日本政府に対し、直ちに六ヶ所再処理工場の運転開始計画をキャンセルするよう要請します。私たちは、日本がその計画を再検討し、NPTにおいて示されたゴールを完全に実現するというその約束を再確認するよう強く求めます。

敬具

ニュークリア・エイジ・ピース・ファウンデーション会長

デイビッド・クリーガー

(5) ヘルフスタイン・スープ・カウンシル

日本関係者各位

原子力のゴミの再処理の危険性は明らかです。私たち非営利団体は、六ヶ所再処理工場運転開始計画を中止するよう要請します。本件に関する日本の計画について最新情報をお知らせ下さい。

敬具

グレッグ・バンクス

ヘルフスタイン・スープ・カウンシル

3.ドイツ

(1)ドイツ・グリーン議員グループ共同代表及び副代表


総理大臣安倍晋三様

拝啓

六ヶ所村の再処理施設の運転開始計画についての憂慮に基づき、この書簡をお送りする次第です。

再処理は、人間と自然にとって深刻なリスクをもたらします。放射能の放出とプルトニウム生産のためです。そして新しい再処理施設は、将来、他国が引き合いに出しうる前例となります。それらの国々の中には、この危険な技術を軍事目的のために乱用しようと望む暴漢国家も含まれます。

これらの理由のため、ドイツは、国内での再処理を1990年に放棄し、2005年からは、再処理目的でドイツから使用済み燃料を搬出するのを違法としました。

日本とドイツは、指導的地位に立つすばらしい機会を前にしています。原子力や再処理を必要としない再生可能エネルギー源に基づく持続可能なエネルギー・システムを作るのです。

ですから、私たちは、六ヶ所再処理工場の運転を開始しないよう要請します。

核時代を終わらせるために協力しましょう。原子力から再生可能エネルギーへのエネルギー・シフトが提供する機会を捉えましょう。そして、お互い、それぞれが学んだ教訓や達成した進歩から恩恵を受けるようにしましょう。

敬具

同盟90/緑の党 議員グループ

共同議長

レナーテ・キューナスト

ユルゲン・トリッティン

副議長

べーベル・ヘーン

(2)ドイツIPPNW

8月2日

大使

ドイツの「国際核戦争防止医師会(IPPNW)」の6500人のメンバーを代表して、六ヶ所再処理工場で来年、使用済み燃料からプルトニウムを分離するため再処理を開始するという日本政府の計画に対する反対の意志を表明いたします。

日本に対し、六ヶ所再処理工場の運転再開を許可しないようお願い申し上げます。

私たちは、潜在的な核拡散リスク、そして、この決定に関する日本の人々の認識の欠如からいって、この決定は受け入れられないと考えます。プルトニウムは、人類が知っている最も毒性の高い物質です。非常に少量でも、吸入すると肺がんを起こします。

プルトニウム分離の再処理は、日本、そして、世界の公益に反するものです。

さらに、プルトニウムを実際に使用する明確な計画がないと理解しています。これは、大きな懸念を持たせる事実です。なぜなら、長期に亘っての保管を意味し、核拡散のリスクを高めるからです。

私たちは、核のない未来を望んでいます。

敬具

ザンシ・ホール

(3)アンチ・アトム・ベルリン ドイツ

皆様

私たちの団体「アンチ・アトム・ベルリン」は、日本の六ヶ所村に再処理工場の運転を始めるという日本政府の現在の計画について深い懸念を抱いています。

フランスやイギリスの同様の工場における経験は、環境に対する悪影響、そして、もっと大事なことには、これらの地域の何十万人もの人々の健康に対する悪影響を伴っています。

フクシマは、原子力の利用に関連した制御不能のリスクについて教えてくれました。核施設の運転を始めるというのは、無責任な行為です。なぜなら、それは、日本の人々を、原子力利用に関連した健康上のリスクにさらに曝すことになるからです。六ヶ所使用済み燃料再処理工場の計画を中止するようお願いします。

さよなら原発!

敬具

アンチ・アトム・ベルリン

http://www.antiatomberlin.de

Twitter: Anti Atom Berlin

Facebook: Anti Atom Berlin

(4) PRO CABLE

7月25日

日本関係各位

私たちPRO CABLEクラブの市民は、日本政府が再処理工場の運転を開始しようとしていることを知りました。

ヨーロッパ(英仏)におけるこのようなシステムの経験から、これらの地域に環境面及び住民の健康面で大きな問題が生じていることが知られています。また、時代遅れのものでもあります。ですから私たちは、このような工場の運転を開始しないよう要請します。リスクが大きすぎ、無責任です。

運転開始を止めて下さい。

ヴォクフガング・シュルツェ

4.フランス

(1)核兵器ストップ フランス


7月26日

件名:六ヶ所再処理工場中止及び面会要請

大使

2013年8月9日、米国のプルトニウム爆弾が長崎市を破壊してから68年目を向かえます。この爆弾は、9万人近くの人々を即死させ、今日まで何千人もの人々にガンや心臓疾患その他による死をもたらしています。

日本は、六ヶ所の使用済み燃料再処理工場の運転を開始しプルトニウムを分離する計画だとのことです。プルトニウムは、原子力発電所発電所で民生用に使うとの計画です。

日本は、すでに44トンの分離済みプルトニウムをヨーロッパ(34トン)と日本(10トン)に保有しています。長崎型原爆5000発分以上に相当する量です。2013年7月8日に日本の電力会社はフクシマ事故後停止していた10基の原子炉の運転再開の申請書を原子力規制委員会に提出したとのことです。また、日本政府が六ヶ所再処理工場の商業運転を開始する意向を表明していることを私たちは知っています。これにより重大な量の余剰プルトニウムを蓄積してしまう日本の意図に疑念を抱きます。

ご存知の通り、プルトニウムの生産は、核拡散のリスクをもたらします。これは、核不拡散条約で締約国がした約束の精神に反します。憲法9条は、日本を平和を推進する国の手本にしています。六ヶ所再処理工場を中止すれば、世界において紛争の平和的解決と全ての核兵器を廃絶を目指す上での日本の指導的役割を強化することになるでしょう。さらに、六ヶ所停止の決定は、私たちの団体がラアーグにおける再処理を止めるようフランス政府に要求する上で力になります。

8月6日から9日、100人の断食者らが広島・長崎の原爆投下を記念し、核兵器に反対するためにパリに集まります。この期間に大使にお目にかかれたらと思います。

敬具

核兵器STOPを代表して
ドミニク・ラランヌ共同代表

5.インド

(1)アナンド・パトワルダン ドキュメンタリー・フィルムメーカー

8月2日

大使

インドの平和運動活動家らは、六ヶ所工場でプルトニウムの分離のために使用済み燃料の再処理を来年始めるという日本政府の計画にショックを受けています。これは、年間核兵器1000発分のプルトニウムを生み出すと理解しています。これは、日本の直接の目的ではないかもしれませんが、5000発分以上に相当する日本の既存の分離済みプルトニウムの量を大幅に増やすことになります。これは、世界の平和と健康にとって直接的脅威となり、また、同様の野心と同じようなシニカルな世界観を持つ他の国にとって憂慮すべき先例となってしまいます。

インドとパキスタンが1998年に核実験を行った際、私は、被曝者の招待で広島と長崎を訪れた多くの平和運動活動家の一人でした。私たちは、他の平和運動グループや提唱者等とともに、世界の核兵器廃絶を訴えました。私たちは、日本が核のない世界に向けた動きの先頭に立つことを期待しました。

福島における惨事の後、日本の人々の認識は、大きく高まりました。日本の人々は日本政府の考えを支持していません。世界の平和活動家は日本政府の考えを支持していません。ですから、私たちは、六ヶ所での再処理によるプルトニウム分離についての決定を再考するよう要請します。なぜなら、それは、核のない世界を目指す日本や世界の人々の希望に逆行するものだからです。

敬具

アナンド・パトワルダン

ドキュメンタリー・フィルムメーカー

(2)核軍縮・平和コーリション(CNDP) インド


8月6日

大使

来年に予定されている六ヶ所再処理工場運転開始に対して日本で続いている抗議活動に連帯して申し上げます。

日本は福島原子力事故によってもたらされた経済的・人的危機事態に悩まされており、事故の影響はまだ何年も続くだろうという状況下において、六ヶ所再処理工場の運転再開は全く時代錯誤的で、受け入れられない行為と私たちは考えます。

六ヶ所は、非核兵器国において唯一の工業規模の再処理工場です。使用済み燃料からプルトニウムを年間8トンの割合で分離します。原爆1発当たり8kgという国際原子力機関の計算を使えば原爆1000発分に相当します。六ヶ所の運転再開は、広島・長崎の原爆投下で生き残り、68年経った現在も核のない世界のために闘い続けている被曝者を侮辱するものとなるでしょう。

私たちは、インド、ベトナム、ヨルダン、UEA等の国々に対する原子力輸出を開始することによって原子力不当利益者を再生させようとする動きに強く抗議します。フクシマの教訓に学び、日本は、再生可能で持続可能な分散型エネルギー源に基礎を置くエネルギー・トランスフォーメイションにおいてリーダーシップを発揮するべきです。日本がそれとは逆に、原子炉や再処理工場の運転を再開しようとしていることに私たちは驚いています。

抗議している人々の声に耳を傾け、六ヶ所再処理工場や原子力発電所の運転再開を中止し、原子力輸出計画を放棄するようにとの私たちの要請を日本政府に伝えるようお願い申し上げます。

敬具

核軍縮・平和コーリション(CNDP)

Achin Vanaik
Praful Bidwai
Anil Chaudhary
Kumar Sundaram
Lalita Ramdas
L. Ramdas
Sukla Sen
EAS Sarma
Vaishali Patil
Krishna Kant
Anitha.S
Dr.S.Santhi
Ashok.S
Sonia George
Seeta Dasan
Baburaj,P
Civic Chandran
Girija Adam
Dr.Susha Janardhanan
Sukla Sen
Meher Engineer
Rajashri Dasgupta
Mansi Sharma
Mahtab Alam
Jitendra Kumar
Rajeev Suman
Surendra Gadekar
Sanghamitra Gadekar
P K Mangalam
Manisha Sethi
Neeraj Jain
Anand Patwardhan

6.パキスタン

(1)パキスタン平和コーリション

六ヶ所再処理工場の運転を開始しないで下さい

8月3日

大使

パキスタン平和コーリションを代表して申し上げます。このコーリションは、1998年の核実験の後形成された全国的ネットワークです。私たちは、パキスタン、南アジア、そして世界中における完全な核軍備撤廃のために活動しています。

何年にも亘って、私たちは、非常に幸運なことに、核兵器がいかに酷いものであるかについてパキスタンの人々に知ってもらう上で、日本の平和団体(とりわけ、原水禁、原水協、ピースボート)の支援に助けられてきました。私たちは、日本の平和運動の仲間や、彼らが我が国の訪問を設定してくれた何人かの被曝者の方々の支援で、多くのパキスタン人に語りかけることができました。この支援について、日本の人々に感謝しています。

毎年、私たちは、1945年の日本の原爆投下を記念する行事を行ってきました。今年、私たちは、日本が六ヶ所プルトニウム分離工場の商業運転をしようとしていると知り驚いています。この工場は、年間約8トンのプルトニウムを生産できるとのことです。ご存知だと確信していますが、1945年8月9日、わずか6kgのプルトニウムの入った原爆が長崎を破壊しました。これは、六ヶ所が約1000発分のプルトニウムを毎年生産できることを意味します。

私たちは、また、日本はすでに約44トンのプルトニウムを保有していると聞いています。英仏に34トン、日本に10トンとのことです。これは、非核保有国で最大の保有量です。

プルトニウムの蓄積は、如何なるものであれ、国際社会が懸念すべき正当な理由のあるものです。プルトニウムは核兵器の材料になる物質だからです。私たちは、パキスタンにおけるプルトニウム生産に反対しています。そして、世界中の如何なる場所においても反対されるべきだと信じます。プルトニウムのもたらす核拡散のリスク、テロの脅威、そして、プルトニウムの生産の経済面及び環境面のコストの高さのためです。

日本のプルトニウムは、日本の原子力プログラムで使う目的のものだということは理解しています。しかし、ご存知の通り、2011年の福島における悲惨な事故のため、日本の発電用原子炉は、2基を除いて、全て運転停止となっています。

私たちは、六ヶ所の運転開始計画を止めるよう要求している日本の人々、日本の平和運動及び環境保護運動に支援の手を差し伸べたいと思います。これらの運動は、今では、朝日新聞(2013年4月22日)やジャパン・タイムズ紙(2013年7月26日)の編集者らの支持を得ています。両紙は、日本におけるプルトニウムの分離と使用を止めるように呼びかけています。

日本を友人として、そして、核軍縮の大儀の支持者として見ているパキスタンの人々が日本政府に対し、六ヶ所再処理工場の運転を開始しないよう、そして、脱原子力を目指すという前政権の政策に戻るよう要請していると言うことを東京に知らせて頂くようお願い申し上げます。

敬具

A.H.ナイヤール
パキスタン平和コーリション

7.スリランカ

(1)スリランカ平和と発展を求める医師の会

7月23日

大使

六ヶ所再処理工場の商業運転

私たちは、日本政府に対し、原子力発電所の使用済み燃料からプルトニウムを分離するための六ヶ所再処理工場の運転を開始しないよう強く求めます。この工場は、非核兵器国で唯一の再処理工場です。年間8トンのプルトニウムを分離することができます。

日本政府が六ヶ所再処理工場の運転を開始を望めば、核兵器利用可能物質のさらなる蓄積は、国際社会や日本の近隣諸国にとって懸念材料となります。

六ヶ所再処理工場の商業運転を止めてください。

ノーモア-・ヒロシマ! ノーモア-・ナガサキ! ノーモア-・プルトニウム!

Dr Ranjith S Jayasekera
Dr.ランジス・S・ジャヤセケラ
スリランカ平和と発展を求める医師の会副会長
「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」コーディネーター

8.オーストラリア

(1)戦争防止医師会(MAPW)

8月1日

大使 

2014年に六ヶ所処理工場の運転を再開する計画について

六ヶ所再処理工場の商業運転を開始するとの日本の計画についてのオーストラリア「戦争防止医師会(MAPW)」の重大な懸念を表明させて頂きます。私たちは、核兵器を持たず、原子力の将来が定かでなく、原子力の安全でない実績を持ち、そして、すでに約44トンものプルトニウムを持つ国におけるこのような施設の必要性に疑問を持ちます。

再処理施設の20年の開発の間に、その目的が変わったように思われます。最初は、高速増殖炉用にプルトニウムを生産するのが目的だったと理解しております。高速増殖炉は、コストや維持管理の難しさを始めとする多くの問題に直面し、その開発が遅れてきました。プルトニウムの利用効率の悪い軽水炉でさえ、東北大地震と福島原発事故の後、その将来が定かではありません。実際、2011年の福島の非常事態のさなか、六ヶ所再処理工場は、商業運転はしていませんでしたが、非常用発電機を作動させることが必要となり、汚染水が施設から流出しました。

地域の人々の多くは、自分たちの地域の核施設について心配しているでしょう。とりわけ、このような汚染のリスク、漁業に与える脅威、そして、とりわけ、福島の事故で起きたことのためです。

しかし、私たちの最大の関心は、核拡散リスクです。プルトニウムは、核兵器の材料であり、日本は、何先発もの核兵器を作るのに十分なプルトニウムをすでに保有しています。世界のどこであれ、プルトニウムを完全に守ることはできません。日本も例外ではありません。明確で安全な発電用利用の道がないなかでさらにプルトニウムを生み出すことは、セキュリティー・リスクを高め、また、将来の日本政府が核兵器開発の決定をするリスクを高めます。それはまた、他の国々が核兵器オプションを保つよう促す要因となり得ます。この悪循環の中では、だれも、どの国も安全であり得ません。日本は、何と言っても、核兵器利用可能物質の入手可能性を減らし、そして、無くすためにできることをすべてしないと、この悪循環がもたらす惨事のすべてをもっとも知り尽くした国です。

MAPWは、日本政府に対して、六ヶ所再処理工場の商業運転に進まないよう要請します。この重要な問題に注意を払っていただくことに感謝申し上げます。

敬具

戦争防止医師会会長

Dr ジェニー・グラウンズ

(2)オーストラリア「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」

7月26日 

大使

日本が来年六ヶ所使用済み燃料再処理工場の商業運転を開始するとの日本の計画に関して、「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」オーストラリア支部の懸念を表明させて頂きます。

日本は、すでに、44トンのプルトニウム--核兵器5000発分以上--を保有しています。日本は、核兵器を持っていない国のなかで、使用済み核燃料からプルトニウムを分離する唯一の国となります。核計器利用可能物質のさらなる蓄積は、国際社会と日本の近隣諸国にとって懸念をもたらします。

このような懸念は、この蓄積され続けているプルトニウムが予見できる将来の使用目的の欠如によって強化されます。

実際、日本のさまざまな政治家が、これまで、このような保有プルトニウムが数ヶ月以内に現実のものとできる潜在的核兵器について言及しています。日本政府の現在の表明された意図については私たちはそれを疑うべき理由を持っていませんが、それがどうであれ、政治的意図は、プルトニウムの半減期と比べれば、非常に急速に変わり得ます。

使用済み核燃料からプルトニウムを分離する日本の政策は、同様の計画へと他国を向かわせる危険な先例となりえます。これが、抑制できないまま続くと、核兵器拡散の新たな時代をもたらしてしまう可能性があります。再処理工場に適切な保障措置を施すことに関する技術的難しさ、それに、分離済みプルトニウムの転用及び盗取のリスクがこれらのリスクに加わります。これは、核兵器の拡散がすでに深刻な現実の懸念となっている東アジア地域の文脈では、特に心配されます。

日本が良く理解している通り、核兵器が将来使われることになれば、それは、人道面及び環境面で壊滅的な結果をもたらします。このために、ICANは、核兵器禁止条約実現のための取組をしているのです。

クラスター爆弾や対人地雷と同じく、核兵器は、容認できない人道的被害をもたらします。クラスター爆弾及び対人地雷の禁止条約の締結国として、日本は、核兵器を禁止する取り組みも支持すべきです。

核兵器による極度の人道的脅威のない世界を実現するためには、核拡散及び核分裂性物質の問題に対処することが不可欠だと私たちは考えます。そのためには、核分裂性物質の最小化、そして、可能な場合においてはさらなる製造の中止、そして、可能な場合においては核分裂性物質の除去、さらに、残存する核分裂性物質の極めて高い水準のセキュリティーの確保が必要になります。

日本がすでに保有する大量の核兵器利用可能物質のことを考えれば、六ヶ所再処理工場の運転開始は、不必要かつ危険なものと思われます。私たちは、日本に対し、六ヶ所で商業運転を開始するとの決定を再考されることを願います。

私たちの懸念を貴政府で責任をもつ高官にお伝え頂くようお願い申し上げます。

私たちの最新の出版物「壊滅的な人道的被害ー今核兵器禁止を」を添付致します。

敬具

ティルマン・ラフ

「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」共同議長

(3)オーストラリア団体共同書簡 ボブ・カー外務大臣宛て

8月5日

大臣

日本の広島・長崎両市での原爆投下の68周年を迎えるに当たり、そして、継続するフクシマ原子力危機--オーストラリアのウランを燃料によってもたらされた--を背景に、六ヶ所再処理工場の商業運転開始に関する私たちの懸念と、これに対する反対を表明します。六ヶ所再処理工場は、非核兵器国における唯一の工業規模の再処理工場です。

この日本の動きは、核セキュリティーの改善と核拡散の推進と相反するものだと私たちは考えており、これに関し、オーストラリアが日本と結んで原子力協力協定(1982年)の文脈で注意を喚起させて頂きます。

豪日原子力協力協定第5条1(b)は、「この協定により規律される核物質は、両締約国政府の間において合意されたこの協定の附属書Bに定める条件に従つてのみ、再処理される」と定めています。附属書Bのパラグラフ5(a)は、「この附属書の規定の運用につき評価すること及びこれらの運用に関連する事項を検討」については、いずれか一方の締約国政府からの要請で協議ができるとしています。

六ヶ所再処理工場が、分離されたプルトニウムを使う直近の展望もないままその商業運転を開始しようとしていることに鑑み、私たちは、オーストラリア政府に対し、再処理計画を進めないよう日本政府に申し入れるよう要請します。

六ヶ所で分離されたプルトニウムは、すでに日本が保有する大量のプルトニウムに追加されることになります。北アジアにおける地政学的緊張を考えれば、核兵器利用可能物質のさらなる蓄積は、全て、重大で広範な懸念をもたらします。フクシマの影響下、再稼働される原子炉の数及びタイミングは極めて不確かで、日本国内の原子炉が既存のプルトニウムを、意味のある量で消費できる可能性はほとんどありません。従って、予見できる将来に六ヶ所でプルトニウムを分離することを正当化できる満足な根拠はありません。

2013年5月、六ヶ所再処理工場を運転する日本原燃は、アクティブ・テストの最終段階が成功裡に終了したと宣言しました。日本原燃は、10月に商業運転を開始することを望んでいましたが、新しい規制機関が、核燃料サイクル施設に関するフクシマ後の新基準の策定を終えるのは、2013年末のことです。日本原燃は、新基準が確定次第、安全審査の申請をすると見られます。政府は、原子力規制委員会が安全だと宣言すれば、六ヶ所再処理工場の運転を開始することを支持しています。

日本はすでに、44トンのプルトニウムを保有しています。原爆5000発分以上に相当する量です。英仏で日本の使用済み燃料を再処理した結果生じた34トンがヨーロッパに、10トンが日本にあります。フル稼働すると六ヶ所再処理工場は、さらに、年間8トンのプルトニウムを分離することになります。IAEAの一発当たり8kgという計算を使えば、1000発分に相当します。

1997年1月31日の決定により、原子力委員会は、余剰プルトニウを持たないと約束しました。さらに、2003年8月5日の決定により、原子力委員会は、電力会社に対し、さらなる分離を行う前に、プルトニウム利用計画を発表するよう義務付けました。基本的に意味のないプルトニウム利用計画が2006年から2010年まで毎年作成されました。六ヶ所再処理工場でのアクティブ・テストのためのアリバイです。しかし、2011年3月11日の福島第一の原発事故の後は、プルトニウム利用計画は出されていません。

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日本は、日本にあるプルトニウムを原子炉で使用可能な形にするMOX燃料製造工場を持っていません。現在建設中のMOX工場の完成は、2016年3月という目標より遅れると見られています。日本のプルトニウム利用の元々の目的は、高速増殖炉で使うと言うものでした。しかし、日本の原型高速増殖炉もんじゅは、1995年のナトリウム漏れ・火災事故以来、2ヶ月ほど準備段階の試運転がされただけです。そして、この試験は、もう一つの事故のために2010年8月以来、中止となっています。2013年5月30日、日本の新しい原子力規制委員会は、安全チェックの問題のため、もんじゅの運転再開作業の中止命令を出すという異例の措置を講じました。

このような状況の中で、米国政府は、プルトニウムを消費する計画がないまま六ヶ所の再処理が実施されれば、これによって分離されたプルトニウムは増え続けることになるとの懸念を表明しています。

以上を考慮して、オーストラリア政府は、日本政府に対して、六ヶ所再処理工場の商業運転を開始しないよう、また、日本プルトニウム保有量増大をもたらす如何なる行動もとらないよう申し入れをすべきです。日本へのウランの供給国として、オーストラリアは、このような措置を講じる能力と責任の両方を持っています。私たちは、大臣にこの行動をとるよう勧めます。

敬具

Dr. ジム・グリーン オーストラリア地球の友
Dr. ジェニー・グラウンズ 戦争防止医学協会(MAPW)
ティルマン・ラフ 准教授、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)
カズ・プレストン 平和を求める日本人(Japanese for Peace)
ナタリー・ワスリー ビヨンド・ニュークリア・イニシアティブ
ローレン・メロー 環境センター(ノーザン・テリトリー)
ミア・ペパー 西オーストラリア環境保護協議会
ドビー・ハッチオン クイーズランド環境保護協会
デイブ・スウィーニー オーストラリア環境保護財団

連絡先:

Jim Green / Friends of the Earth, Australia
PO Box 222, Fitzroy, Vic, 3065.

(4)スコット・ラドラム上院議員


7月22日

大使

書簡を差し上げるのはこれが初めてですから、オーストラリアに来られたことを心から歓迎したいと思います。

2011年3月11日以後日本の人々についての非常に心配しており、前大使に何度か書簡を差し上げております。この思いは、2012年7月に福島県を初めて訪れた際に強くなりました。

今回は、六ヶ所再処理工場の再稼働を日本政府が許可しないようにお願いするために書簡を差し上げる次第です。

設計能力通りフル稼働すれば、六ヶ所再処理工場は、原子力発電所の使用済み燃料から毎年8トンの割合でプルトニウムを分離することになります。原爆1発当たり8kgという国際原子力機関の計算を使えば、1000発分に相当します。

福島の原子力事故と、日本の原子力発電所のほとんどが運転ん停止となっている歓迎すべき現状とを考えれば、既存のプルトニウムを近いうちに意味のある量で消費できる見込みはほとんどありません。従って、六ヶ所の再開は、余剰プルトニウムを生み出すことにしかなりません。日本は、1997年12月に国際原子力機関に対し、余剰プルトニウムを避けると書簡によって明確に約束しています。

米国の高官は、プルトニウムの使用の明確な計画のないまま六ヶ所再処理工場の運転を開する計画についてやはり懸念を持っています(日本原子力委員会定例会議 2013年4月22日)。

私は、日本の人々、共同体・奉仕の考え、創造的・技術的才能について深い尊敬の念を抱いています。

ですから、私は、日本政府に対し、六ヶ所の再開をしないこと、そして、原子力のモラトリアムを宣言するよう多くの人々とともにお願いします。

敬具

スコット・ラドラム上院議員

9.ニュージーランド

(1)ニュージーランドAbolition 2000

ABOLITION 2000
(AOTEAROA-NEW ZEALAND)
Box 47-189, Auckland
Aotearoa-New Zealand 1011
Part of a global network of over 2000 organisations aiming to achieve an international agreement for the permanent abolition of nuclear weapons


8月6日

大使

今週、私たちは、ニュージーランドにおいて、世界中の人々と同様、ヒロシマ・デーの記念行事を行います。68年前、長崎も、1945年8月9日に6kgのプルトニウムの入った原爆によって破壊されました。大変な経験をされた日本に人々のことを思い、私たちは、将来のヒロシマを防ぎ、これらの非人道的な大量破壊兵器を廃絶することを決意します。

日本は、この問題について、毎年国連に提出される核軍縮決議や、もっと最近では、国連作業部会(OEWG)に対して提出した「核兵器のない世界のためのビルディング・ブロック」に関する作業文書などで、世界的なリーダーシップを示してきました。

ですから、日本が原子力発電所で使われた燃料からプルトニウムを分離する六ヶ所再処理工場の商業運転を開始するつもりだと知って、私たちは、ショックを受けています。年間8トンという割合です。原爆一発当たり8kgという国際原子力機関の計算を使えば、原爆1000発分に相当します。

六ヶ所再処理工場は、非核兵器国で唯一の工業規模の再処理工場です。

元々は、日本は、分離済みプルトニウムを高速増殖炉の燃料として使うつもりだったと理解しています。消費した以上のプルトニウムを生み出し、半永久的エネルギー源となるはずだった原子炉です。しかし、他の国々におけると同様、この計画は頓挫しました。それで、日本は、再処理で増え続けるプルトニウムを軽水炉で消費するという非経済的な計画を開始しました。ところが、この計画も進まず、その結果、日本の分離済みプルトニウムは、44トンにも達してしまいました。核爆弾5000発分以上です。

福島の事故の結果、日本では、原子力発電所は、50基のうち、2基しか稼働していません。再稼働となる原子炉の基数、タイミングは不確かで、既存のプルトニウムが近い将来に意味のある量で消費される可能性はほとんどありません。政府は、それでも、六ヶ所再処理工場の運転開始を望んでいます。核兵器利用可能物質のさらなる蓄積について、国際社会や日本の近隣諸国は懸念し、日本の意図について訝っています。

分離済みプルトニウムは、セキュリティー・リスクであり、それが核兵器用に使われる可能性を高めます。

これは、核兵器の拡散のリスクをもたらし、核不拡散条約の原則を台無しにします。核分裂性物質の管理は、日本が国連作業部会で提出した作業文書において、核兵器のない世界を達成するための主要なビルディング・ブロックとして上げられています。

再処理は、これに相反するものです。

ですから、私たちは、貴国政府が六ヶ所における核兵器利用可能物質の生産を止めることを要請します。さらに、日本が核兵器の人道的影響に関する共同声明に署名し、勇気を持って法的拘束力を持つ核兵器禁止条約を支持するようお願い申し上げます。

これは、人間に壊滅的な被害をもたらす核兵器使用の防止を確約するために核兵器を廃絶するための核兵器禁止条約に向けた最も生産的な道となるでしょう。

私たちは、日本に対する核の脅威の恐怖を減らし、地域的安全保障にとって最も良好な環境を確立するために、日本が北東アジア非核兵器地帯を追求するよう勧めます。

北東アジア非核地帯実現のためには、中国、ロシア、それに米国がこれらの国々対して核兵器を使わないこと、そして、これらの国々に核兵器を配備しないことに同意する必要があります。

日本政府がこれを追求する政策をとれば、「平和市長会議」や国連を通した国際社会の全面的支援を得られるでしょうし、非核地帯の中に入っている118ヶ国の仲間入りをすることになります。

日本は、他のどの国よりも核兵器の恐ろしさを知っています。そして、経験から生まれたこの知識のから、核兵器とその生産手段の廃絶のための戦いの勇敢なリーダーとならなければなりません。

敬具

ローリー・ロス

アオテアロア・アボリション2000代表

10.カナダ

(1) ルーズ・ロジャーズ(Mrs) 世界の生き残りのための医師会関係者

大使

日本は、44トンのプルトニウムを蓄積しています。原子爆弾5000発分です!この上、核兵器利用物質を増やすなどもってのほかです。六ヶ所再処理工場の運転を許可しないよう要請します。

ルイーズ・ロジャーズ(Mrs)

カナダ オンタリオ州ダンダス市

11. 韓国

(1) 参与連帯

公開書簡(参与連帯)

六ヶ所再処理工場稼働計画の撤回を要求します

 日本政府は、今年末に青森県六ケ所村の再処理工場を本格稼働するという計画を再び発表しました。これまで六ヶ所再処理工場は、過重な運営費用など経済性が低いのに反し、核兵器の原料であるプルトニウムを大量に生産し、蓄積されたプルトニウムを使うところがなく、さらに事故発生の危険性が高いという理由で、稼働が持続的に延期されてきました。このような状況はまったく変わっておらず、むしろ福島原発の事故以降核の危険性に対する憂慮が高まっているにも関わらず、六ヶ所再処理工場を稼働させようという日本政府の決定を、とても遺憾に思います。

 日本の再処理は、核の不拡散に対する国際社会の努力に逆行するだけでなく、日本政府のように核の平和的あるいは商業的利用という名分を掲げて再処理を行おうとする国家に口実を与えかねません。即座に北朝鮮の核開発問題の解決や韓米原子力協定改定阻止にとっての障害物となる可能性があります。いま韓国政府は、日本との公平性を提げて再処理に関する権限を得るべく韓米原子力協定を改定しようという意図を明らかにしています。また日本が既にプルトニウム44トンを国内外に保有している状況において、六ヶ所再処理工場において年間8トンのプルトニウムを生産することは、日本の平和憲法を改定しようとする試みや軍事的処置などとかみ合わさって東北アジアに新たな緊張を生みだす要因となるでしょう。

 使用済み核燃料を再処理する過程において発生する放射能は、空気と海を汚染し日本のみならず全世界の環境に深刻な脅威となり得ます。1995年もんじゅ高速増殖炉のナトリウム漏えい事故と1999年東海村核燃料加工工場の放射線被曝事故など、原子力発電の過程において日本は既に何回も事故を経験しています。特に2011年に発生した福島原発事故を通じて、原子力発電が核兵器に並ぶほど人類にとって深刻な脅威となりうるものであることが明確になりました。いまだに福島の事故はきちんと収集されておらず、正確な情報すらも制限されている状況において再処理施設を稼働させようとする日本の計画は、国際社会の環境面での懸念をさらに高めることになるでしょう。

参与連帯は、六ヶ所再処理工場稼働計画を撤回することを要求します。またわたしたちは、日本のヒロシマ・ナガサキの被曝と原発事故によって苦痛を受けてきた過去の歴史を振り返りし、核のない平和な世界を望む自国の国民と国際社会が訴える憂慮の声に耳を傾け、さらには国際社会の一員として核のない世界を実現させるための努力に積極的に参加されることを期待します。

2013.8.20

(2) 慶州環境運動連合

プルトニウムの追加生産ではなく、処分が必要

慶州環境運動連合は、原水爆禁止日本国民会議を通じ、日本政府の六ヶ所再処理工場の商業運転計画について知りました。また、日本政府は、すでにイギリスとフランスなどで再処理したプルトニウムを44トン以上保有しています。これは非常に驚くべきことです。日本は68年前に広島と長崎で原爆投下を体験した非常に不幸な歴史を持っています。特に、長崎に投下された核爆弾はプルトニウム原爆で、訳6kgのプルトニウムが使用されました。

日本政府が現在保有している44トンのプルトニウムは、長崎に投下された原爆5500個を製造することができる、人類を壊滅させることができる量です。これは日本が行くべき道はありません。世界で唯一の被爆国として日本が目指すべき価値はひたすら脱核兵器、脱原発、平和です。

日本政府は、プルトニウムの保有は高速増殖炉の運転のためだと主張しています。しかし、高速増殖炉事業は、世界的に既に失敗したプロジェクトです。日本のもんじゅ高速増殖炉も多くの欠陥や事故で運転に失敗しました。このような時に再処理工場の商業運転でプルトニウムを追加で確保しようとする努力は、いかなる意味においても、正当性を認めることができません。今の日本に必要なのは、プルトニウムの追加生産ではなく、既に蓄積したプルトニウムの安全な処分計画を作成することです。

現在、韓国政府も日本の再処理事業に感化され、再処理を追求しています。米国政府との韓米原子力協定の改正によりパイロプロセッシング方式の再処理を追求しようとしており、慶州環境運動連合が所在している慶州市が有力な再処理立地地域候補の一つに挙げられています。日本の再処理の中止は、韓国政府の再処理中止に向けた原動力となり得ます。使用済み核燃料の再処理事業は、経済・環境の面で何のメリットもないことが、複数の経験で既に確認されています。唯一利点があるとすれば、それは核武装による軍事的利点であり、軍事的利点を取得するために、経済・環境面の利点が謳われていることを、世界の良心は知っています。

韓国と日本は、東アジアの脱核を越えて、世界の脱核のために連帯する必要があります。 68年前の被爆の大きな傷と2011年福島原発事故の教訓を見て、日本政府が一日も早くドイツのように脱原子力の道を行けることを願って、現在進められている六ヶ所再処理工場の商業運転方針を直ちに撤回することを求めます。

2013年8月20
慶州環境運動連合


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