共同通信が、日本時間の27日、「米野党民主党のマーキー下院議員ら六議員は二十六日、日本原燃が使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)で計画する使用済み核燃料を使う試運転(アクティブ試験)をめぐり、核拡散上の「懸念」があるとして中止を求める書簡を日本政府に送った」と報じました。(プレスリリース)
日本政府は27日、異例の早さで、この書簡についての見解を発表しました。
1月23日、電気新聞が「国際核管理構想に対応、国内に海外向けウラン濃縮プラント-経産省、総合エネ調に諮問へ」と報じました。核拡散防止のために自前のウラン濃縮を放棄した国に濃縮ウランを提供するという構想においてその能力を持つ核保有国の仲間入りをしたいが、六ヶ所濃縮工場では供給力がとても足りないから、別に工場を作ろうというものです。経済性・耐久性の面で完全に失敗している六ヶ所工場の実体を見れば、これは、能力もないのに「核クラブ」に入れて欲しいとの希望を表明するだけのものといえます。
詳しくは...
日本は、昨年、核拡散防止のために自前のウラン濃縮を放棄した国に対して六ヶ所ウラン濃縮工場の供給力を提供するとの構想を発表しました。非核保有国独自のものとしては、唯一のこの濃縮工場。
国内需要の10%程度の供給能力で核拡散防止の切り札?
余剰プルトニウムを増やす六ヶ所再処理工場の運転を強行することへの国際的批判を逃れるための切り札?核開発疑惑問題が国連安保理に付託されれば工業規模でのウラン濃縮計画を再開するとしているイランはこの構想を見て計画をあきらめるのでしょうか。
六ヶ所再処理工場で2005−06年度に分離予定のプルトニウムについて、1月6日に電気事業連合会が各社の「利用計画」を発表した際、各社とも、利用開始時期を2012年以降としていました。これは、再処理工場に隣接して建設する計画のMOX燃料製造工場の操業開始予定が2012年になっているからです。分離が核拡散につながらないことを示すための利用計画のはずですが、実体は、MOX燃料が作れるようになったらいつか原発で使いたいとの願望を示しものにすぎません。来年4月着工予定というこの工場の概要を簡単にまとめました。
イランが1月10日、国際原子力機関(IAEA)がそのウラン濃縮関連施設に取り付けた52の封印の撤去を開始して国際社会に不安を巻き起こしています。米国のNGO「科学・国際安全保障研究所(ISIS)」が、そのウェブサイトで、ナタンツのウラン濃縮施設の衛星写真を掲載するとともに核兵器開発能力についての分析を行っています。ISISによると、最悪の場合、2009年にイランは核兵器を一つ持つことになる恐れがあるとのことです。
原子力発電所の使用済燃料を再処理して取り出したプルトニウムを普通の原発で使うというプルサーマルが推進されようとしています。原子力委員会が1956年以来発表してきた原子力長期計画を見ると、再処理は、夢の「高速増殖炉」で使うプルトニウムを作るためのものだったことが分かります。発電しながら使った以上のプルトニウムを作り、無尽蔵のエネルギー源になるという高速増殖炉の夢がだんだん遠ざかるなか、再処理と、そこででてきたプルトニウムを何とか消費するためにでてきたプルサーマルだけが惰性で推進され続けているのです。
1月6日、電気事業連合会が、今年2月にも試運転が開始される六ヶ所再処理工場で分離予定のプルトニウムについて、2005−6年度の各社の「利用計画」を発表しました。「利用計画」があるから核拡散につながる余剰プルトニウムはでないと主張するためです。しかし、このような計画では、六ヶ所再処理工場の運転開始を正当化することはできません。日本は既に、国内外に43トン以上のプルトニウムを保有しており、今回の「計画」は、それをどうするかについてまったく言及しないものだからです。
更新情報・追記
参考
今回の「使用計画」が発表されたのは、2003年8月の原子力委員会決定が、核拡散防止面での懸念に応えるためとして、
「電気事業者はプルトニウム利用計画を毎年度プルトニウムの分離前に公表」し「原子力委員会は、その利用目的の妥当性について確認」し「電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的(利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめど)を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表する」
と定めているからです。
原子力委員会は、1991年原子力委員会核燃料専門部会報告書「我が国における核燃料リサイクルについて」において「必要な量以上のプルトニウムを持たないようにすることを原則とする」と発表し、1997年には、「余剰プルトニウムを持たないとの原則を堅持している」ことをIAEAに通知する形で国際的に宣言しています。ところが、1990年代初頭に約2トンだった日本のプルトニウム在庫量は、1997年の国際宣言時には24.1トン、2004年末現在では43.1トンに達しています(海外37.4トン、国内5.7トン)。
2000年原子力長期計画でも「プルサーマルの実施規模の拡大に合わせて、当初は海外再処理により回収されるプルトニウムが利用されるが、その後は国内再処理工場で回収されるプルトニウムが利用される予定」(資料53ページ(pdf)) と述べています。
ところが、昨年10月に閣議決定された新しい長期計画「原子力政策大綱」では、
「プルサーマルの実施規模の拡大に合わせて、六ヶ所MOX燃料加工工場の操業開始までは海外再処理により回収されるプルトニウムが利用されるが、その後は国内再処理工場で回収されるプルトニウムも利用される予定。 4) 六ヶ所MOX燃料加工工場で使用されるプルトニウムは、MOX燃料加工されるまでの間、六ヶ所再処理工場内で保管される予定。」
と言い換えていました。
今回の発表では、各社、利用開始時期を2012年以降としています。要するに、この「利用計画」は、六ヶ所MOX工場が2012年に完成してMOX燃料の製造が始まるとの前提で、同工場の運転開始後、いつか分からないがいずれ、各社の原発でそのMOX燃料を使うとの「計画」を示したものです。つまり、「今はっきり言えるのは、六ヶ所のプルトニウムは、2012年までは使えないということだけだ」と認めているにすぎません。
日本が既に保有している43トン以上のプルトニウムにまったく言及しないこのような発表で、六ヶ所再処理工場を動かしても、計画遂行に「必要な量以上のプルトニウムを持たない」とする1991年以来の公約が守られると日本は主張することはできません。
プルサーマル計画は、元々、プルトニウム利用の本命である高速増殖炉の開発がうまくいかないまま、無計画な再処理で取り出してしまったプルトニウムの「消費」方法として推進されているものです。プルサーマルの「利用計画」があろうがなかろうが、高速増殖炉の実用化の見通しもないのに、核拡散面で問題になるプルトニウムをこの上さらに作るという発想自体が矛盾しています。しかも、1997年に初めて発表された具体的な計画だと、現在までに10基ほどで実施されていなければならないが、実際には、一基も実現していません。
1991年には、余剰プルトニウムを持たないとの方針を発表すると同時に、2010年までの需給見通しを出し、それぞれ85トン程度で釣り合いがとれると主張していました。ところが、この見通しは、とりわけ需要の方で大幅にはずれ、現在の予定通り行けば、2010年末までに六ヶ所での再処理分も入れ、日本の保有量は、約70トンの規模に達してしまいます。
六ヶ所を動かせば、福島県の下の図が示すとおり、2010年から16−18基でプルサーマルが実施されるとしても、40トン程度のプルトニウムが余る状況が何年も続くことになります。
佐藤栄佐久知事は利用計画の公表を受けて「県民の総意としてプルサーマルを実施しないことを決めている。プルトニウム利用計画がどのようなものであれ、県内の原発でプルサーマル計画を実施することはあり得ない」との見解を示したと毎日新聞が報じています
2003年の原子力委員会決定は、「原子力委員会は、その利用目的の妥当性について確認」すると述べていますが、現存する43トンのプルトニウムの存在を考えれば、現時点で妥当性を持った利用計画などは、そもそも出せないことは明らかです。
原子力委員会や日本政府に、必要量以上のプルトニウムを持たないとの1991年以来の方針を守ろうとうする意志があるなら、43トンのプルトニウムの存在を無視したままの「利用計画」の発表をそのまま認め、六ヶ所村再処理工場におけるさらなるプルトニウムの生産を正当化するようなことをしてはなりません。
(2002年に発表されたこの図は、日本政府および電事連が1997年に発表した計画──1999年にプルサーマルが始まり、2010年までに大間を含め16−18基で実施されるとするもの──が3年遅れで動いた場合を想定。もんじゅ、大間のフルMOX炉も2005年、2009年にそれぞれ稼働し始めると想定している。また、日本政府の以前の発表通り、海外保管プルトニウムから先に使用し始めることを前提としている。数値は核分裂性プルトニウムの量。現時点では、プルサーマルは一基も実施されていないし、もんじゅも動き出していないなど、消費側はさらに遅れているが、六ヶ所を動かせば、消費計画が予定通り進んでも余剰が続くことは避けられないことを示したものとして参考になる。)
福島県エネルギー政策検討会「中間とりまとめ」(2002年)(pdf, 330kB)で示された前提条件
前提条件
- 国内プルトニウム在庫量
核燃料サイクル開発機構東海再処理施設の稼働を考慮(今後0.2tPuf/年で試算)
また、日本原燃の六ヶ所施設の2005年以降の運転計画を考慮(4.8tPuf/年で試算)- 海外プルトニウム在庫量
2010年までに約30トン回収- プルサーマルによる利用量(0.3t×15基で利用の場合)
電事連計画ベース(1999年から開始し、2010年までに15〜17基でプルサーマルを実施する)を遅らせて2002年からスタートさせた場合。(2013〜2014年で全体で約4.5tPuf利用するとして試算)- 大間・もんじゅ等による利用量
もんじゅ、大間フルMOX炉がそれぞれ2005年、2009年頃から稼働を想定。(「もんじゅ」等研究用に0.3tPuf/年、「大間フルMOX炉」1.1tPuf/年消費するとして試算)
2005年10月、「原子力政策大綱」が閣議決定され、原子力発電所からでてきた使用済燃料を再処理してプルトニウムおよびウランと放射性廃棄物を分離するという方針の続行が確認されました。再処理の費用は、11兆円? 19兆円? 42兆円以上? でてくるゴミは? 使用済み燃料をそのまま捨てた方が安い? 費用を払うのは誰? これらの問題について考えるために「バックエンド・再処理コストの基礎知識」をまとめました。
「中間貯蔵の基礎知識」や「MOX・プルサーマルの基礎知識」と合わせてご活用いただければ幸いです。