核情報

2016. 3. 9

米元政府高官ら原子炉での軍事用余剰プルトニウム利用(MOX)計画中止要請第2弾
オバマ大統領予算案での中止決定受けて──焦点は六ヶ所再処理工場

2月25日、対日政策に大きな影響力を持ち、駐日大使候補にもなったジョセフ・ナイ元国防次官補を含む13人の元エネルギー・国家安全保障関係米政府高官・専門家らが、米エネルギー省長官に対し、軍事用余剰プルトニウムをMOX燃料として処分する計画を中止するよう要請する書簡を送りました。彼らは昨年9月にも同様の書簡を出していました。今回の書簡は、オバマ大統領が2017年予算案でMOX燃料製造工場建設計画中止を発表した後、議会の計画擁護派が予算復活を目指して圧力を掛けているのを受けてのことです。六ヶ所再処理工場の運転開始計画や中国・韓国の再処理計画を止めるためには米国のMOX計画も止めるべきと主張です。

参考

エネルギー省モニーツ長官宛て書簡 第2弾

(原文)

2016年2月25日

エネルギー省長官 モニーツ様

この書簡は、サバンナ・リバーにおける「混合酸化物(MOX)」プルトニウム燃料製造プロジェクトに関して9月8日に差し上げた私たちの書簡のフォローアップとなるものです。オバマ大統領が原則に則った決定をこのプロジェクトに関して下し、継続ための予算をゼロにするとしたのを受けて、議会内外のプロジェクト擁護派は軍備管理の観点からの議論によって建設予算を復活させようと試みています。彼らは兵器用余剰プルトニウムの処分に関する2000年の米ロの合意が工場の完成を義務付けていると主張しています。これは正しくはありません。

実際は、協定は、両者がプルトニウムの処分方法を変更することを明確に認めており、すでに2010年に変更がなされています。これは、ロシアにそのMOXプログラムに代わる処分方法を追求することを認めるためのものでした。ロシアのプログラムは、今日の米国のものと同じく、完成させるのは高くつきすぎると判断されたのです。我が国の政府が余剰プルトニウムの処分について合理的な代案を追求する限り、両国の協定はそれに対する障害とはなりません。

さらに重要なのは、軍備管理・核不拡散・核セキュリティーなどの面から考えてこのプロジェクトを中止すべき重要な理由があるということです。前回の書簡で述べたとおり、経済的に不利であるにも拘わらず、日本及び中国ではプルトニウムの分離を続けることを、また、韓国では再処理について米国の同意を得ることを求める政治的圧力が強くなっています。これらの計画では発電用原子炉のためにプルトニウムを生産することになっていますが、同じプルトニウムは何千発もの核弾頭を製造するのにも使えます。

日本及び韓国において再処理の問題が核兵器オプションの文脈で取り上げられることが多くなっているのはとりわけ憂慮すべきことです。例えば、北朝鮮の最近の核実験から間もない頃、韓国与党の院内代表と政策責任者は、韓国は軍事的ヘッジとして再処理を追求すべきだと述べています。

一方、日本政府は大型の再処理工場の運転開始を望んでいますが、その結果生じる日本のプルトニウム量の大幅な増大に対する米国の反応について心配しています。日本政府関係者等は、米日原子力協力協定を米国が2018年に自動延長させることを望んでいます。日本のプルトニウム政策の核拡散面での意味合いについて米国政府と話し合う必要を避けるためです。日本は今日、非核兵器国で再処理をしている唯一の国です。

中国もまたプルトニウムのリサイクルに関心を持っています。中国は六ヶ所規模の再処理工場の購入についてフランスと交渉しています。中国はもちろん、核兵器国です。しかし、将来の増殖炉用として蓄積されるプルトニウムも、短期間で核兵器保有量の桁を上げることを可能にします。

これら三カ国の政府関係者の中には、高くつく上、危険であるプルトニウム・リサイクルに反対している人々もいます。しかし、もし私たちが自国のMOX計画を中止することに失敗すれば、東アジアにおけるこのような活動を抑制する取り組みに彼らを巻き込む上での私たちの信用が大きく損なわれることになります。

要するに、MOXプログラムの擁護派の主張とは逆に、軍備管理・核セキュリティーに関する議論は、計画の続行ではなく、計画の中止を決定すべき重要な要因になります。

敬具

ピーター・ブラッドフォード バーモント法科大学 元米原子力規制委員会委員

ジョセフ・シリンシオーネ プラウシェア財団会長 元下院軍事委員会専門スタッフ

ロバート・アインホーン ブルッキングズ研究所 元国務次官補(核不拡散担当)

デイビッド・フリーマン 元テネシー川流域開発公社(TVA)理事会議長

ロバート・ガルーチ ジョージタウン大学 元国務次官補(政治・軍事問題担当)

リチャード・ガーウィン IBMトーマス・J・ワトソン研究センター名誉フェロー

ビクター・ギリンスキー エネルギー・コンサルタント 元原子力規制委員会委員

ジェシカ・マシューズ カーネギー国際平和財団名誉フェロー 元国家安全保障会議国際問題局長

ジョセフ・ナイ ハーバード大学ジョン・F・ケネディー行政大学院 元国家情報会議議長

トーマス・ピッカリング ブルッキングズ研究所名誉フェロー 元米国連大使

ゲイリー・セイモア ハーバード大学ベルファー・センター研究所長 元ホワイトハウス軍備管理・大量破壊兵器調整官

ヘンリー・ソコルスキー 不拡散政策・教育センター所長 元国防長官府不拡散政策担当次長

フランク・フォンヒッペル プリンストン大学公共政策・国際問題名誉教授、上級研究物理学者 元ホワイトハウス科学技術政策局国家安全保障担当次官

(以下、ccされた国家安全保障問題担当大統領補佐官、国務大臣、国防大臣と上下両院の関連委員会・小委員会の与野党主要議員リスト)

CC: National Security Advisor Ambassador Susan Rice
Secretary of State John Kerry
Secretary of Defense Ashton Carter
Senator Lamar Alexander, Chairman of the Senate Appropriations Subcommittee on Energy and Water
Senator Diane Feinstein, Ranking Member of the Senate Appropriations Subcommittee on Energy and Water
Congressman Mike Simpson, Chairman of the House Appropriations Subcommittee on Energy and Water Development and Related Agencies
Congresswoman Marcy Kaptur, Ranking Member of the House Appropriations Subcommittee on Energy and Water Development and Related Agencies
Senator Jeff Sessions, Chairman of the Senate Armed Services Subcommittee on Strategic Forces
Senator Joe Donnelly, Ranking Member of the Senate Armed Services Subcommittee on Strategic Forces
Congressman Mike Rogers, Chairman of the House Armed Services Subcommittee on Strategic Forces
Congressman Jim Cooper, Ranking Member of the House Armed Services Subcommittee on Strategic Forces



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