核拡散を防止するために「原子力供給国グループ(NSG)」が定めているガイドラインでインドを例外扱いすることを米国が求めている件に関し、ライス米国国務長官は、2月13日の下院外交委員会公聴会において、2006年に議会が定めた法律の条件と制限に「完全に合致した」かたちでのガイドライン変更を支持すると証言しました。同法は、インドが核実験を再開した場合には協力を停止することなどを定めています。
2008年1月29日付けの東奥日報記事「再処理工場 2月本格操業は厳しく」は、日本原燃の兒島伊佐美社長が28日、2月中を予定している六ヶ所再処理工場の本格操業開始(竣工)が3月以降にずれ込む可能性が高いことを示唆したと報じました。近く計画変更が発表されるようですが、昨年日本原燃が発表した計画を、まとめました。
2007年9月19日付けの東奥日報及び日本経済新聞は、それぞれ「06年末プルトニウム保有量、日本は約30トン」、「プルトニウム保有量、06年末で30トン・文科省など報告」と報じました。ところが、2005年末の保有量については、例えば、電気新聞(2006年9月6日付け)は、「05年末のプルトニウム保管量、国内外あわせ約44トン」と報じています。1年で14トン減ったわけではなく、この見かけの減少の原因は、政府が種類の違う数字を使ったことにあります。
詳しくは…J・マイケル・マコネル米国家情報長官は、2月5日、上院情報特別委員会に提出した年次脅威評価報告書のなかで、北朝鮮は、「その能力を、戦闘のためというよりは、抑止と強制的外交のためのものとみなしており、特定の限られた状況でのみ核兵器の使用を考えるだろう」と述べました。以下、『上院情報特別委員会のための国家情報長官年次脅威評価』 (pdf)の北朝鮮関連部分および、公聴会での実際の発言を訳出して載せました(粗訳)。
北朝鮮の核兵器及びミサイル・プログラムは、多くの強大国の紛争を経験し、世界最大の経済の幾つかを有する地域を不安定化する恐れがある。北朝鮮は、すでに、弾道ミサイルを中東の数カ国、そしてイランに売り渡している。われわれは、北朝鮮が核兵器を拡散させる可能性があることを今も懸念している。
北朝鮮の軍隊は、韓国に勝つことは出来ないが、韓国に何十万もの死傷者と深刻な被害をもたらすことは出来る。数百のスカッド・ミサイル及びノドンミサイル——2006年7月に飛翔実験されたもの——を始めとするミサイル運搬システムは、韓国への脅威を追加するものであり、その脅威は日本にも及ぶ——これは両国の米軍基地をも含む。北朝鮮の2006年10月の核実験は、同国が核兵器を製造したとの我々の以前の評価を裏付けるものである。この実験は、1キロトン以下の威力しか生み出さなかった。これはほとんどの国の最初の核実験の威力よりずっと小さなものである。実験の前、北朝鮮は、少なくも半ダースの核兵器分に相当するプルトニウムを作っていた。IC(インテリジェンス・コミュニティー)は、北朝鮮は少なくとも過去にはウラン濃縮能力を追求したことがあるとの評価を変えておらず、この努力は継続されていると、少なくとも中程度の確信をもって、判断している。
ピョンヤンは、恐らく、その能力を、戦闘のためというよりは、抑止と強制的外交のためのものとみなしており、特定の限られた状況でのみ核兵器の使用を考えるだろう。我々はまた、ピョンヤンは、その体制が軍事的敗北の危機に瀕しており、回復不能な統制の喪失の恐れがあるとみなさない限り、米軍や米国領土に対して核兵器を使おうとはしないだろうと評価する。
我々は、2006年7月に飛翔実験に失敗した北朝鮮のテポドン2は、米国本土まで核兵器規模の搭載物を運搬する潜在的能力を持っているだろうと評価する。しかし、実験が成功していない状態では、運搬に成功する可能性は低いと我々は評価する。
北朝鮮と六ヶ国協議
北朝鮮は、ミサイル実験を行い、そして2006年にその最初の核爆発実験を行った。昨年交渉の席に戻って以来、ピョンヤンは、完全な非核化についての2005年9月の約束を原則的に再確認し、ヨンビョンの核施設の運転を停止し、これらの施設の無能力化のプロセスを開始している。しかし、北朝鮮は、昨年10月に合意されたその核計画の完全な申告の12月31日の締め切りを逃した。体制は安定しているようであるが、経済的窮乏や自然災害——例えば昨年8月の深刻な洪水——それに後継者に関する仕組みの不確実性などが、予測不能の結果を伴う国内不安の可能性を生み出す。
ミサイル実験と2006年の核爆発実験の後、北朝鮮は、昨年、交渉の席に戻りました。
ピョンヤンは、完全な非核化についての[2005年]9月の約束を再確認しました。彼らは、ヨンビョンの核施設の運転を停止し、現在これらの施設を無能力化する過程にあります。ピョンヤンは、ウラン濃縮のプログラムを否定し、また、拡散活動を否定しいますが、我々は、北朝鮮は、これら両方の活動を行い続けていると考えます。我々は、金正日が、六ヶ国協議で約束した通り、完全な非核化にコミットしているかどうか確信が持てないままでいます。
南米のコロンビアが1月19日、「包括的核実験禁止条約(CTBT)」を批准しました(署名国178:批准国144)。条約の発効には高度な原子力技術を持つ44ヶ国の署名・批准が必要ですが、コロンビアはこのなかに入っています(35番目の批准国)。残りの発効要件国9ヶ国のうち、未署名は、北朝鮮、インド、パキスタンの3ヶ国。「核拡散防止条約(NPT)」に署名せず核兵器開発を進めてきたインドとの原子力協力を推進する米印協定を認める最低限の条件の一つとして、CTBTの批准が重要な意味を持ってきます。
発効要件国のうち、署名はしていながら未批准となっているのは、中国、エジプト、インドネシア、イラン、イスラエル、米国の6ヶ国です。インドだけでなく米国の批准も重要なことは言うまでもありません。
外務省のある高官は、以前、未批准の発効要件国が一桁になるよう頑張ると語っていました。そうすれば他の国に対する圧力が高まり、発効に向けて弾みがつくというわけです。いよいよ、残り9ヶ国となりました。米印を含むこれらの国々への働きかけがますます重要になってきました。