核情報

2018. 7. 4

日本のプルトニウム政策は国際的懸念 ──元米国務次官補、国会議員に

6月27日、衆議院第2議員会館で開かれた国会議員との意見交換会「日米原子力協定と核燃サイクル、アジアの核不拡散政策に関する米著名識者との意見交換会」の米側発言者の一人、トーマス・カントリーマン元米国務次官補(国際安全保障・不拡散担当)の発言メモを当人の了解を得て訳出しました。



使用済み燃料を再処理してプルトニウムにするという「閉じられた燃料サイクル」に対する日本のコミットメントは、この地域にとって真の懸念材料だ。世界の安全保障・核不拡散という観点からもそうだ。こういったからと言って、日本が核兵器を追求するようになるだろうという懸念があることを意味しているわけではない。また、発電のために原子力に依存し続けるという日本の意向について反対することを意味するのでもない。

米国も世界も、韓国や中国が日本の真似をして、民生用再処理の分野に入るのを望まない。そうなると、核セキュリティーに対する脅威、つまり、犯罪者やテロリストによる盗取のリスクが高まる。そして、便益よりもずっと大きなリスクをもたらすテクノロジーの分野で地域競争が増大する。

47トンのプルトニウム――5000発以上の核兵器に十分な量――を持つことは、大量破壊兵器の拡散を防止するための世界的な外交努力の分野における日本の信頼性を損なわせている。今では、懸念すべき理由がもう一つある。米国が北朝鮮の完全な非核化を追求する中、米国にとって日本の再処理能力を容認することは以前よりさらに難しくなっている。

日本が閉じた燃料サイクルを採用した1970年代・80年代以来、その政策の基礎となった想定が相当に変わっている。

地域的緊張を高め、転用の脅威をもたらし、日本の信用性を損ない、そして、その価値以上に製造費用がかかる物質を生産する政策の継続を擁護するのは難しい。このことは、閉じたサイクルに経済的利点がないならとりわけそうだ。日本の国会として、閉じた燃料サイクル継続の真のコストと、「ワンススルー」サイクルと乾式貯蔵のコストとをゼロベースから比較検討することを命じるべき時だ。

六ヶ所にすでにつぎ込まれた数兆円を計算に入れなくても、「ワンススルー」に切り替える総コストは、現在の政策を続けるより安くつく。発電にとって最も高くつくオプションを追求し続けることは、政府の支出にとって、消費者にとって、そして、とりわけ、日本の製造業者の競争力にとって重要な影響をもたらす。

もちろん、このような変更は、相当の調整を必要とする。とりわけ、電力会社が保有するプルトニウムが資産だとする想定にとってはそうだ。いうまでもなく、米日両国は、もっと経済的で維持可能なアプローチを確立するために、これまで原子力時代を通じてやってきたように――密接に連携していくことになるだろう。

参考:


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