核情報

2017. 2. 3

高速炉希望の星、仏高速炉ASTRID──ハッブルの法則で遠ざかる?
運転開始予定:2006年には2020年のはずが、昨年段階では2030年代に

政府は、昨年12月21日の原子力閣僚会議において高速増殖原型炉もんじゅの廃炉を決定した際、高速炉開発の意義は「何ら変わるものではない」と述べ、開発のための「戦略ロードマップ」の検討を2017年初頭から開始し、2018年を目途に策定するとしています。頼みの綱は、フランスで計画中のASTRID(アストリッド)という高速炉。同炉を含む海外炉のデータ等により「もんじゅを再開した場合と同様の知見の獲得を図る」と言います。日仏両政府によるとASTRIDはフランスが2010年ごろから開発を始めた新たな「実証炉」(商用炉の前段階)だということですが、2006年の仏側文書では「原型」(プロトタイプ)施設とされています。運転開始予定は同年に2020年とされていたのがすでに2030年代となっています。10年で10年以上の後退です。また、原子力委員会の岡芳明委員長が昨年12月22日の会合で「コストが高い高速炉は、競争環境下にある電力会社は使えず、商業化できない」と述べたと毎日新聞が報じています。(原子力委員長 「高速炉の商業化はできない」政府に注文


  1. 法律で2020年完成と決めたら完成する?
  2. ASTRIDはどのような炉か簡単に見ると:
  3. 10年で10年以上遅れる計画 ── 実証用と呼べば商用が近い?
  4. スケジュールの変遷 ── 一歩進んで2歩下がる?
  5. 増やす夢はどこへ?
  6. 減らす夢は実現が近い?
  7. 燃料製造施設と再処理施設はこれから設計・建設
  8. 「誇大広告」と原子力規制委員会更田委員
  9. 高速炉開発の姿勢を批判する原子力委員会
  10. もんじゅ夢物語を捨てるために必要なASTRID夢物語

  11. 資料編
  12. 日本の推進派による仏計画説明資料
  13. 表「原型(プロトタイプ)ASTRID建設計画スケジュールの変遷」の文献
  14. 参考

法律で2020年完成と決めたら完成する?

ASTRIDの発端は、1991年「放射性廃棄物管理の研究に関する法律」(バタイユ法 LOI n° 91-1381 du 30 décembre 1991 relative aux recherches sur la gestion des déchets radioactifs)の中で、地層処分及び長期地上貯蔵と並んで長寿命放射性核種の「分離・核変換」について研究することが定められていたことにあります。プルトニウムとウランを取り出す現在の再処理では、地層処分場に送られるガラス固化体の中にプルトニウム以外の超ウラン元素(TRU)が含まれています。「マイナー・アクチニド(MA)」と呼ばれるこれらの発熱量の大きな長寿命元素(アメリシウム、ネプツニウム、キュリウム)は処分場の容積や廃棄物の毒性を左右するとの主張が背景にあります。それで、これらも取り出して燃やし(中性子を当てて)寿命の短いものに「核変換」するための研究をせよ、遅くとも2006年までに報告せよと同法は定めています。

これを受けた2006年の「放射性廃棄物等管理計画法」(英文)の中の「分離・核変換」に関する部分では次の2点が定められました。

  1. 新世代の原子炉と廃棄物核変換専用「加速器駆動炉」の工業的展望について2012年に評価すること、
  2. 2020年12月31日までにプロトタイプ(原型)施設の運転を開始できるようにすることです。

第3条

・・・

1)長寿命の放射性物質の分離・変換

これに対応する調査・研究を、エネルギー政策のガイドラインを定めた2005年7月13日の計画法no. 2005‐781第5条で言及されている新世代の原子炉に関して実施されるもの、そして、廃棄物核変換専用の加速器駆動炉に関して実施されるものとの関係で行う。2012年にこれらの原子炉の工業的展望について評価を行い、2020年12月31日までに原型(プロトタイプ)施設の運転を開始できるようにするためである

これに従い、仏原子力庁(CEA)は「第4世代原子力システムに関する国際フォーラム」の「基準を達成できる可能性を持っている唯一のもの」としてナトリウム冷却高速炉を選びます。このプロトタイプの「プロジェクトがASTRID(Advanced Sodium Technological Reactor for Industrial Demonstration=(工業的実証用改良型ナトリウム技術炉)と呼ばれている」のです。(詳細は以下を参照:ADRIANA (ADvanced Reactor Initiative And Network Arrangement) 及びStudy and Evaluation of Innovative Fuel Handling Systems for Sodium-Cooled Fast Reactors: Fuel Handling Route Optimization

ASTRIDはどのような炉か簡単に見ると:

出力は、熱出力が150万kW、電気出力が60万kW(もんじゅは電気出力28万kW)。

高速中性子で核分裂を起こす液体ナトリウム冷却炉。

フェニックスやスーパーフェニックスと同じく、液体ナトリウムを入れたタンク内に原子炉、一次主冷却系循環ポンプ、中間熱交換器を収めるタンク型(もんじゅはこれらを別々にして配管でつなぎ、その中を液体ナトリウムが流れるループ型。日本では耐震性などからループ型を選択。)

初期装荷燃料は、もんじゅと同じく、ウランとプルトニウムを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料。後にMAの入った燃料も入れる予定。

10年で10年以上遅れる計画 ── 実証用と呼べば商用が近い?

法律の規定に合わせて、無理矢理実現計画を立てただけであることは、10年経ったら10年以上の遅れという現実が示している通りです。原子炉の開発は、普通、実験炉、原型炉、実証炉、商用炉の順で行われます。実証炉は経済的に成り立つことも示し、そのまま規模を大きくして商用炉に進むという前提です。原型(プロトタイプ)とされていたものを実証用と呼んだからといって、商業用段階に近いことにはなりません。『ベストセラー』というタイトルの本や「ベスト・セラー」というペン・ネームで出した本が自動的にベストセラーにならないのと同じです。何を実証しようとしているのでしょうか──発電炉として軽水炉や他の発電方法と経済性・安全性面で競争力を持てるということか、それとも、単に大きな工業規模の炉が動かせるということか。

スケジュールの変遷 ── 一歩進んで2歩下がる?

下の表「原型炉ASTRID建設計画スケジュールの変遷」は、予定がどのように変わってきたかをまとめたものです。前述のとおり、まず2006年に2020年までのプロトタイプ施設の運転開始が定められます。2012年3月の計画では、詳細設計の後、2019年に建設についての決定を行うとすぐに建設開始となっています。同10月の計画では、基本設計の後、2017年に建設の決定、そして、詳細設計を2019年まで行い、建設開始、2025年送電線接続となります。表全体を見渡すと混乱することでしょう。予備的設計、予備的概念設計、概念設計、概念設計(1、2)、基本設計、基本設計(1、2)、詳細設計、評価設計、などの用語が、入れ代わり立ち代わり無秩序に使われ、計画が進んでいるのか後退しているのか全く分からなという状態が続いています。

最新の予定は、日本の高速炉開発会議「第2回」(2016年10月27日)で仏側が発表したものです。この会議は、昨年9月にもんじゅの廃炉を含む抜本的見直しを行うとの決定を受けて設けられたものです。ここでこれまでになかった調整期間と開発期間がいきなり登場します。この計画だと、基本設計を2019年に終えた後、調整期間が2023年まで続き、ゴーサインが出れば、開発(及び許認可取得)期間を経て、建設期間となり、運転開始は2030年代とのことです。仏政府の予算がついているのは、2019年の基本設計終了までです。在日フランス大使館のスニル・フェリックス原子力担当参事官は毎日新聞(2016年10月27日)に対し、運転開始は「2033年以降」と答えています。つまり、10年で13年以上の遅れです。

原型(プロトタイプ)ASTRID建設計画スケジュールの変遷
20102011201220132014201520162017201820192020202120222023202420252026202720282029 2030-
文献仏側発表時期日本での発表時期
・引用者
2010-20122012-20152016-20192020- 
12006年6月放射性廃棄物「計画法」 1991年放射性廃棄物法に基づき、群分離・核変換について2012年までに研究開発計画提出、2020年末までに新型原型炉運転開始とのスケジュール決定。(CEAが2012年の報告でナトリウム冷却高速炉(=ASTRID)が最適と評価) 
22012年3月 予備的設計1予備的設計2詳細設計
(建設決定19年)
建設(完成年非表示) 
32012年10月 予備的概念設計概念設計基本設計~17年。建設決定。詳細設計建設(送電線接続2025年末別表) 
42013年3月2014年3月・佐賀山自民党会合で予備的概念設計概念設計基本設計
(建設決定2019年)
建設(25年頃運転と説明) 
52013年4月4月25日JAEA国際ワークショップで仏側発表・2014年2月文科省文書に基本設計1基本設計2評価設計
(建設決定2019年)
建設(完成年非表示) 
62013年11月仏原子力学会 詳細設計2019年終了建設(送電線接続2026年末) 
72014年10月9日JAEA国際シンポジウムで仏側発表概念設計1概念設計2基本設計
(建設決定2019年)
詳細設計及び建設(運転開始2025年) 
82015年5月IAEA技術作業グループ 予備的概念設計概念設計基本設計
(建設決定2019年)
詳細設計及び建設(送電接続2026年末) 
92016年2月2月17月仏側がJAEAシンポで2010-2015
概念設計
2016 -2019
基本設計
2020-2022
詳細設計
2023-2029
建設段階
2030
試験
102016年10月10月27日仏側が高速炉開発会議で2010-2015
概念設計
2016 -2019
基本設計
2020-23?
調整期間(建設ゴーサイン2023年)
??
開発期間・許認可取得
??
建設期間
??
運転開始2030年代
112016年12月12日(仏原子力庁ホームページ改定)ASTRIDは現在、概念設計の段階にある

(文献は、資料編を参照)

そして、2016年12月12日に改定されたCEAのホームページの記述では、なんと「ASTRIDは現在、概念設計の段階にある」とのことです。

遠い宇宙ほど高速で遠ざかるハッブルの法則に似た法則に支配されているのは日本の高速増殖炉計画だけではないようです。「365歩のマーチ」では、「一日一歩 三日で三歩 三歩進んで 二歩さがる」ですが、「一歩進んで2歩さがる」という感じでしょうか。

増やす夢はどこへ?

元々、もんじゅは、プルトニウムを燃やしながら使った以上のプルトニウムを生み出す夢の原子炉として喧伝された「高速増殖炉」の原型炉のはずでした。急速な原子力利用でウランが枯渇するとの想定に基づいた夢でした。ところが、枯渇が起きず、技術的にも難しくて経済性のない高速増殖炉計画の継続を正当化できなくなったため、今度は廃棄物の減容・無毒化のためにもんじゅが使えるような話が出てきました。2014年のエネルギー基本計画では、増殖の文字が消えてしまっています。増やす夢がいつの間にか減らす夢に姿を変えたかのようです。

ASTRIDの宣伝をする際に、フランスではラプソディー(実験炉、熱出力4万kW:1967~1983年)、フェニックス(原型炉、電気出力25万kW:1973~2009年)、スーパーフェニックス(実証炉、電気出力124万kW、1985~1998年)の経験があると言われますが、これらは常陽やもんじゅと同じく、「高速増殖炉」です。ナトリウム漏れや発電機の故障などを起こし、ウランの枯渇の予測が外れたことが明らかになる中、経済性もないということで「増殖炉」計画は放棄されてしまいました。安全かつ経済的であることを実証するはずの高速増殖「実証炉」の運転がうまくいったのなら、すぐに商用炉に進まなかった理由は何でしょうか。

減らす夢は実現が近い?

一方、増殖炉開発ではなく、上述のような廃棄物処分の文脈で登場したASTRIDで「実証」を目指す「高速炉」研究開発の段階はというと次のようなレベルです。

マイナー・アクチニドの分離の実現可能性は、今日検討されているすべてのオプションについて研究所で実証されている。とりわけ、最適化の進んだアメリシウムの分離方式が2015年末にアタラント(ATALANTE)研究所で試験されている。・・・

アメリシウムの核変換の実現可能性は、高速中性子炉の炉心で均一モードにおいて数個のペレットの規模で実証されている。

出典:Nuclear Energy Agency, Country profile: France (最終改定2016年12月21日)

フランスでは、使用済み燃料を溶かした水溶液と溶媒を接触させることで、プルトニウムとマイナアクチニドを溶媒中に抽出させる技術開発を継続してきており、2012年には99%のマイナアクチニドの分離に成功し、続いて2013年にはアメリシウムとキュリウムを99.9%分離できたことが報告されている。分離した重量は数Kgの実験室規模であるが、この成功により次の段階に進む準備が整ったとされている。

出典:高レベル放射性廃棄物の分離・変換に関する世界の動向調査と国内の廃棄物有害度低減に向けた提言一般財団法人 キヤノングロ-バル戦略研究所 エネルギー2050研究会 2014年10月

日仏共同研究で、もんじゅ(及び常陽)を使ってやろうとしていたのは、この種の実験なのです。使用済み燃料からプルトニウムだけでなくマイナー・アクチニド(MA)も取り出す再処理や、MAを燃やすための燃料を作る工場建設もすべてうまくいったとしても、1基ずつで終わるという話ではありません。TRU(プルトニウム及びMA)をMOXの形で燃やす際に生じる使用済み燃料からまたTRUを取り出すために特殊な再処理工場を作り、そのTRUを高速炉で燃やすというのを何世代にもわたって繰り返すことになります。

燃料製造施設と再処理施設はこれから設計・建設

2010年ごろの計画は次のとおりです。

ASTRIDの初装荷MOX燃料は、ラ・アーグにAFC[炉心製造施設](10 t/y)を建設して製造予定

MA含有MOX燃料製造施設[ALFA;5kgMA/y(数ピン/年)]をATLANTEを拡張して建設し運転開始予定

出典:第2回FaCT評価委員会(2010年12月16日)
資料3日本原子力研究開発機構次世代原子力システム研究開発部門 高速炉サイクル技術の国際動向 

  • *ALFA(Atelier de fabrication d'assemblages chargés en actinides mineurs)=マイナーアクチニド含有燃料製造施設
  • *ATLANTE(Atelier Alpha et Laboratoires pour Anayses, Transuraniens et Etudes de Retraitement)=核種分離研究施設

CEA 2012年10月の資料(文献3)の図から読み取れるのは次のような計画です。

炉心製造施設(AFC)建設は、2017年ごろ

MA含有燃料製造施設は、炉心燃料装荷後。2025年頃?

2013年の資料(文献4)だと、MA含有燃料製造施設は消え、ASTRIDの使用済み燃料再処理施設(ATC)がそのころ?

「誇大広告」と原子力規制委員会更田委員

この状態を要約して、原子力規制委員会の更田豊志委員長代理は言います。

もんじゅの利用のアイデアとして、廃棄物の減容であるというような、無毒化というか、核変換のようなことを、これも理屈としてはあり得る話ですけれども、前提として分離をするところもないし、燃料を作るところもないし、ペレット1個作るだけでも大騒ぎの技術ですよね。これをできるかのように、これは10年先、20年先に原理として高速炉で可能なものかもしれないけれども、現状、ペレットを作るようなところも、ペレット1個ですら作るようなところがないわけです。それを、もんじゅが動けばこういった廃棄物問題の解決に貢献するかのように言うのは、少しこれ、民間の感覚でいえば誇大広告と呼ぶべきものではないでしょうか。

原子力規制委員会臨時会議議事録 2015年11月2日(pdf)

高速炉開発の姿勢を批判する原子力委員会

原子力委員会は、1月13日に発表したその見解で高速炉の夢の追及について次のように批判しています。

我が国は、原子力開発の黎明期から高速炉の実現を目指してきたが、その開発にあたっては、研究開発の視点が強調され、商業化というパラメータが重要視されていたとは言い難い面がある。これまでの開発モデルは、必ずしも実用化の”死の谷“を考慮していない。

出典:原子力委員会「高速炉開発について(見解):2017年1月13日(pdf)

この見解を発表した1月13日の臨時会合で岡芳明委員長と阿部信康委員長代理は次のような趣旨のことを述べ、高速炉開発批判を展開しました。(議事録が載るまでは音声が聞ける)

岡委員長:

高速炉開発は急ぐ必要はない。

ウラン鉱床の濃度はいろんなものがある。

濃度の薄いものを利用するにはコストがかかるが、ウランは経済的には枯渇しないと考えるのが適切だ。

阿部委員長代理:

米英独は、高速増殖炉開発を基本的に放棄した。

市場経済の国はあきらめたということ。

開発を続けているロシア、中国、インドは、市場経済原理の国ではない。

増殖の夢は昔は正しかったかもしれないが今は間違い。

一方、高レベル放射性廃棄物の減容・毒性低減に高速炉を使うと言っても、

再処理工場で再処理して、取り出したプルトニウム・MAに中性子を当て、また再処理をしてまた当てて・・・経済性がないのは素人でもわかる」

減容化といってもどれだけ減るか。いずれにしても廃棄物を捨てるところは必要。

廃棄物を受け入れようと決めてくれたところはかなり土地があるところ。後楽園球場3つ分でも1つ分でもあまり変わりはない。

必要な面積が3分の1になってもコストにそれほど差はでない。

それでも、そんなことのために何度も再処理、するんですかね。

この議論をもう少し進めれば、六ケ所再処理工場の運転も急いですべきでないとなりそうなものですが、そこまでは踏み込めないようです。

もんじゅ夢物語を捨てるために必要なASTRID夢物語

原子力委員会でさえ、批判せざるを得ない高速炉推進計画。

要するに、もんじゅを主人公とした旧夢物語を捨てるために、主人公を変えた新夢物語が必要ということのようです。この物語があれば核燃料サイクル政策自体は正しいと主張することができると政府関係者は考えているのでしょう。新しい物語がなければ、もんじゅの夢はいつから間違っていたのか。再処理政策は壮大な無駄だったのではないか。それを今も続ける理由は?これらの問いに答えないで何事もなかったかのようにこれまでの道を無意味に進むために作り出した物語がASTRIDに頼ってもんじゅの後継炉建設を目指すという夢物語ということでしょう。

 ここで以前に紹介した「プー王国」のお話しを一つ。

臣下:A国を侵略する計画ですが、なかなか手ごわいので、放棄したほうがよろしいかと。つきましては、これを放棄するために、B国を侵略する計画が必要になります。国民に侵略政策自体は悪くなかったと説明するためです。

王様:本当にB国を侵略する計画を実行しようというのか?

臣下:それはまた後で考えましょう。いずれにしても、我々年老いた臣下は計画の準備をあれこれして、いざ実行が必要というころにはみんなあの世に行っていますから。



資料編

日本の推進派による仏計画説明資料

JAEAによるフランスの計画の説明 2010年

JAEA 2016年12月9日(pdf)













JAEA 佐賀山 豊 平成28年4月21日(pdf)


表「原型(プロトタイプ)ASTRID建設計画スケジュールの変遷」の文献

  1. 「放射性廃棄物等管理計画法」
    以下は自動ダウンロード用英文(pdf)

    1) Separation and transmutation of longlived radioactive elements. The corresponding studies and research are conducted in relation with those performed on the new generations of nuclear reactors mentioned in Article 5 of the Programme Act no. 2005‐781 of 13 July 2005 fixing the guidelines of the energy policy and those performed on accelerator‐driven reactors devoted to waste transmutation, so that an assessment can be made in 2012 of the industrial prospects of these reactor types and a prototype installation set in operation before 31 December 2020

  2. 2012年3月仏資料
    MARCH 4th, 2012 FR13 Conference Christophe Béhar | PAGE 1 French R&D program on SFR and the ASTRID prototype CEA | March 4th, 2012(pdf)


  3. 2012年10月IAEA会議
    ASTRID ADVANCED SODIUM TECHNOLOGICAL REACTOR FOR INDUSTRIAL DEMONSTRATION, IAEA Seminar on Fast Reactors, Bariloche, Argentina, 1 – 5 October 2012, Alfredo Vasile




  4. 2013年3月仏資料
    日本原子力研究開発機構 佐賀山 豊 フランスにおける高速炉(ASTRID)について(pdf) 2014年3月12日自由民主党 資源・エネルギー戦略調査会放射性廃棄物処分に関する小委員会


  5. 2013年4月25日文部科学省及び独立行政法人日本原子力研究開発機構主催「もんじゅ」を活用した国際共同研究に関する国際ワークショップで仏側発表英語資料(pdf)


  6. 仏原子力学会資料:SFEN/GR21 Novembre 2013 Le projet ASTRID1“Selon le calendrier actuel l’avant projet sommaire sera prêt fin 2015 et un avant projet détaillé est prévu fin 2019 pour un couplage fin 2026.”(pdf)
  7. JAEA国際シンポジウム「放射性廃棄物低減に向けた現状と将来の展望 ~ゼロリリースを目指して~」
    The French Program for a Sustainable Management of Nuclear Materials and Waste
    (フランスCEA)B Boullis [発表資料](pdf)


  8. Industrial Demonstration
    FORTY-EIGHTH MEETING OF THE TECHNICAL WORKING GROUP ON FAST REACTORS
    25 – 29 MAY 2015 INSTITUTE OF PHYSICS AND POWER ENGINEERING (IPPE)
    RUSSIAN FEDERATION MAY 2015 ASTRID | Alfredo Vasile (pdf)


  9. CEA 2016年2月17日原子力研究開発機構シンポジウム(pdf) 17 FEBRUARY 2016


  10. 2016年10月
    2016年10月27日 高速炉開発会議
    第2回会合(2016年10月27日)配布資料
    資料2-2 ASTRID:日本の参画への期待(フランス原子力・代替エネルギー庁)(PDF形式:1,450KB)




    議事録(pdf) 11ページ以降より

    ○ドゥヴィクトール部長

     経済産業大臣、文部科学大臣、三菱重工社長、JAEA理事長、電事連会長、本日はこのように各界の代表の方々にフランスの高速炉戦略、並びにASTRID計画の説明の機会をいただきましてありがとうございます。

     日本とフランスは持続可能な原子力エネルギーというビジョン、言いかえれば核燃料サイクルに関連する高速炉というビジョンを共有しておりますので、ASTRIDにより日仏間協力が一層強化されると思います。

     2015年のフランスの新エネルギー転換法の中で、原子力エネルギーは将来フランスの主要な電源の役割を担うことが確認されました。実際、原子力エネルギーの持続可能性はウラン資源の最適利用とプルトニウム保有量、廃棄物の量、並びに放射性毒性の最小化により保証されることになります。これは国民の需要に貢献するものであります。ASTRIDは、次世代である第4世代炉の実用化に向けて、原子炉と核燃料サイクル技術面での必要なブレークスルーを実証する予定であります。

     ASTRIDは、工業規模の技術実証炉であり、将来の商業炉の安全性、信頼性、運転性能、経済性を実証するのに十分な大きさであります。その開発はCEAの主導により現在、基本設計段階にあります。

     ナトリウム技術の性能を実証する「フェニックス」と「スーパーフェニックス」での経験を活かし、ASTRID計画は、2009年の「フェニックス」閉鎖前に着手されました。そして、経験や知見を活用するために、日本を含む16の協力企業を結集し、かつ日仏の様々な実験施設によって支援されています。

     ナトリウム冷却高速炉研究開発に関する日仏協力は、1996年にスタートいたしました。2014年にはMHI、JAEAなどとの間に実施取り決めが締結され、その協力が拡大いたしました。現在の協力には、設計と研究開発が含まれます。日本が有する技術、知見、実験施設は、ASTRID計画にとって極めて重要なものであります。

     2010年から2019年までの設計に係る期間は、CEAとフランス政府間の申し合わせの下、所要の資金を得て実施することになっています。このうち2010年から2015年までの概念設計においては、日本からの協力による成果も含めて、節目となる成果を全て成功裏に達成いたしました。

     これを受けてフランス政府は、2015年12月、基本設計の開始を決定いたしました。ASTRIDの運転開始は、2030年代に予定されています。基本設計後のステップについては、参加の諸条件について、今後、日本の機関と協議を行う予定です。

     最後になりますが、2015年にはロワイヤル・エネルギー大臣がプレス発表でASTRIDの名前を出して、フランス政府の高速炉技術開発への関与を表明していることを申し上げたいと思います。このことは、昨年10月に首相が日本を訪問した際にも確認されました。御清聴ありがとうございます。

    ○世耕経済産業大臣 

     ありがとうございました。それでは、皆様からドゥヴィクトール部長に御質問があればお願いします。松野大臣いかがですか。よろしいですか。

     では、私のほうから質問させていただきます。まず、このASTRID協力は、今御指摘のとおり、両首脳間で合意をした極めて重要な日仏のプロジェクトであると我々は考えておりますが、一方で日本国内の一部では、例えば重要な技術や知見を本当に得ることができるのだろうか、資金の協力だけになるのではないかといった声があります。また、プロジェクト自身の実現を不安視するような声もあるわけであります。

     こうした意見も踏まえた上で、日仏ASTRID協力における日本への期待、また日本が獲得できる知見、プロジェクト実現に向けたお考えなどについてお伺いをしたいと思います。

    ○ドゥヴィクトール部長 

     ありがとうございます。この二国間の協力というのは、2014年にJAEAと三菱重工が参加することにより一層強化されてきました。この協力により、相互の技術の交換が可能となりましたし、また日本の「常陽」、「もんじゅ」、そしてフランスの「フェニックス」、「スーパーフェニックス」といった高速炉の経験値の統合が可能になりました。

     フランスとしては、現在日本に実施していただいております製造技術検討等の技術分野での協力をさらに拡大させることを希望しております。これには日本の高い技術的貢献が求められてきます。

     加えて申し上げますと、ASTRIDはフランス政府により定められたロードマップに従って順調に進んでおります。各フェーズの開始についてはフランス政府がきちんと認可しております。CEAと、そしてEDFや、AREVAなどの全てのパートナーは、このロードマップの次のマイルストーンを達成すること、そして2023年末までの調整期間の間にASTRID建設にゴーサインを得ることができるように強く関与しているわけです。

     ロワイヤル・エネルギー大臣がプレス発表で2015年に確認いたしました。ASTRIDの名前を出して、そしてフランス政府の高速炉技術開発への関与を表明しているということを再度申し上げておきたいと思います。

    ○世耕経済産業大臣 

     ありがとうございます。もう1問、聞かせてください。フランスでは既に実証炉として「スーパーフェニックス」を運転された経験があります。この運転期間中は、我々「もんじゅ」が経験したナトリウム漏れ等のトラブルも相次いで、大変御苦労があったというふうに聞いております。

     こうした経験も踏まえた上で、なお高速炉開発を継続されるフランスであるわけですけれども、これまでに得られた、特に「スーパーフェニックス」でのトラブルなどで得られた教訓や、それを今後の高速炉開発の中でどう活かしていくのかということについてお伺いしたいと思います。

    ○ドゥヴィクトール部長 

     我々は、世界中の高速炉のトラブルからの教訓をASTRID計画に活かしております。その中には「フェニックス」、あるいは「スーパーフェニックス」からの教訓も含まれております。

     こうした中で、ASTRID概念検討のための革新的なノウハウを開発済みであります。国民受容の成形に大きく貢献しております。ナトリウム漏れ検知時間の短縮がその一例であります。原子力は、多くの恩恵をもたらすことからフランス国内でよく受け入れられております。ASTRID技術に基づく次世代の原子炉によって、さらに恩恵は強まり、国民の理解は増していきます。

    ○世耕経済産業大臣 

     ほか御質問ありませんでしょうか。よろしいですか。それでは、ドゥヴィクトール部長、本当にありがとうございました。御退席をいただければと思います。ありがとうございました。

     (ドゥヴィクトール部長退室)

  11. 仏原子力庁(CEA)ホームページ
    ASTRID: an option for the fourth generation of nuclear reactors
    c P.Stroppa/CEA
    How do we guarantee energy independence and secure supplies, while improving safety standards, optimising our management of materials, and minimising waste production? And all this without emitting greenhouse gases? These are the specifications for future nuclear systems defined by the Generation IV International Forum (GIF). Within the scope of the French Act dated 28 June 2006 on the sustainable management of radioactive materials and waste, the CEA has proposed a fourth-generation integrated technology demonstrator project called ASTRID, which is currently in its conceptual design phase.

参考

政府関連文書

核情報記事

新聞記事

報告書


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