六ヶ所再処理工場のプルトニウム製造能力の数字として、年間8トンと年間5トン弱とが使われていて、混乱を呼んでいます。5トン弱というのは、普通の原発でも燃えやすいプルトニウム239や241の量を示すもので、全プルトニウム量だと8トンが正解です。「燃えにくい」プルトニウムも高速増殖炉や核兵器では「燃え」ます。核拡散防止の観点から量を問題にするのは当然全プルトニウム量であり、そのため、国際原子力機関(IAEA)への報告では全プルトニウム量が使われています。少ない方の数字を使うのは、余剰プルトニウムを少なく見せようとする政府や原子力業界の目くらましといわれてもしょうがありません。
六ヶ所再処理工場では、年間800トンの使用済み燃料が処理され、約8トンのプルトニウムが生産される計画です。マサチューセッツ工科大学(MIT)のマービン・ミラー教授らが指摘している通り、このような大規模な工場では、約1%程度、つまり年間80kg(核兵器10個分)程度の計量管理の不確実性が避けられないとIAEAが述べています。さらに、統計学的に言うと、その3.3倍の量が無くならないと、確信を持って実際に無くなっていると主張できないとIAEAの保障措置用語集(1987年版)が説明しています。
3月9日、訪日中の韓国の核拡散問題の専門家姜政敏(カン・ジョンミン)博士が、米国人の専門家二人とともに、青森県三村知事に対し、六ヶ所再処理工場が核拡散を制限しようという国際的努力に与える脅威について日本に存在すると見受けられる「独りよがりの安心感」に関して懸念を表明する書簡を送付しました。カン博士は、10日、青森県庁を訪れ、不明点について政府の説明が得られるまで同工場のアクティブ試験の開始を認めないよう知事に求める要請書を手渡しました。また、13日には、経済産業省を訪れ、同様の趣旨の二階大臣宛て要請書を手渡しました。同行したピースボートの川崎哲共同代表らは、同団体を含む日本の5団体の名前で、カン博士らの主張を支持する 要請書を提出しました。
六ヶ所再処理工場のアクティブ試験が、いよいよ4月にも始まろうとしています。工場は、1年半ほどで核兵器500発分ものプルトニウムを取り出すこの試験という名の実質的操業を経たあと、年間1000発分のプルトニウムの製造能力達成に向けて本格操業を開始する予定です。試験・運転の延期を要求する運動の参考にしていただこうと、この六ヶ所再処理工場と核拡散の関係についてまとめたパンフ『六ヶ所再処理工場と核拡散』(2005年10月14日発行)を再録しました。
1月26日に六ヶ所再処理工場が核拡散に与える影響について懸念を表明する書簡を加藤良三大使に送った米国の6人の下院議員に対し、大使は、2月14日になってやっと返事を送りました。原子力資料情報室やピースボートなどの代表らが早急に議員らに回答することを求める要請書を外務省に送ったのが13日のことでした。大使の回答(英文)は、1月27日の日本政府見解の翻訳を基礎としたものですが、核情報による日本語訳を載せました。
「憂慮する科学者同盟(UCS)」のエドウィン・ライマン博士(世界的安全保障プログラム上級科学者)が2月18−27日、来日して東京、福島、佐賀、長崎、青森を回り、核拡散問題に悪影響を与える六ヶ所再処理工場の今春のアクティブ試験計画を中止するよう訴えました。ツアーに関連したライマン博士の次の三つの文章を載せました。『青森県知事への要請』(2006年2月24日)、『六ヶ所再処理工場における保障措置:機能するのだろうか』、『米国の核燃料再処理イニシアチブ』。
なお、博士が1999年に行ったMOX利用の危険性に関する研究が再注目を浴びま した。当時、博士が核管理研究所(NCI)の科学部長として来日した際に訳出した論文と、講演用の要約版もMOXのコーナーに載せておきました。