核情報

2020. 1.17

核の「先制不使用宣言」を支持する日本の声をバイデン政権に

国会議員署名? アンケート調査?


UCSのレポートNuclear No First Use Spotlight
より

昨年12月18日の記事バイデン新政権と核兵器禁止条約発効 日本の反核運動の課題──キーワードは「先制不使用」で紹介したように、米国では、政府による「先制不使用宣言」を目指す運動が続いています。核超大国の米国が「核を先には使わない」と宣言することによって核兵器の使用の可能性を減らそうという試みです。トランプ政権下での宣言を望むのは無理だと見られていたのですが、先の大統領選では、予備選挙の段階から候補者に宣言についての立場を問う活動が展開されました。バイデン候補の答えは先制不使用を支持するというものでした。

このような動きを作り出した団体の一つ(「憂慮する科学者同盟(UCS)」)から、日本に対する要請[1]が届いています。バイデン政権が実際にこの宣言ができるように、「日本の国民が、そして、政治的指導者の多くが先制不使用政策を支持しているのだということを明確に」して欲しい、なぜなら、これまで宣言を阻んできたのが同盟国の「懸念」だからだ、ということです[2]。「米国が先制不使用宣言をすると、不安に感じた同盟国の中に核武装をする国が出てくる」というのが宣言放棄の主要な理由とされてきたのです[3]。日本は核武装に走る可能性が最も高い国とされています[4]

以下、オバマ政権が検討した「唯一の目的」宣言と先制不使用宣言について概観した後、米国の軍縮運動からの要請に応える方法について、いくつかの例を挙げて考えてみましょう。


  1. 唯一の目的宣言と先制不使用宣言
  2. 米国の軍縮運動からの要請に応える方法の例
  3. すでに動いている政府――どうする反核運動?
  4. 追補 公明党はバイデン政権による先制不使用宣言を支持できるか? おそらく
  5. 公明党への質問

唯一の目的宣言と先制不使用宣言

オバマ政権は2009年誕生後すぐ米国の核兵器の唯一の目的(役割)は核攻撃の抑止だと宣言することを検討しました。翌年4月に発表された「核態勢の見直し」では、「唯一の目的」を目標とするとの表現になりました。そして、「唯一の目的」宣言をしても、同盟国が安心できるよう地域的安全保障構造を強化すると「約束」されました[5]。このような歴史を背景に、オバマ政権は、末期の2016年に先制不使用宣言を検討しましたが、この時も断念します。

しかし、オバマ大統領とバイデン副大統領の信念は変わっていなかったようです。バイデン副大統領は、オバマ政権退陣の直前の2017年1月11日、「『核態勢の見直し』において指針を示してから7年、大統領と私は、これまでに目標達成に向けて十分な進歩を遂げており、核攻撃を抑止すること――そして、必要とあれば報復すること――を米国の核兵器の唯一の目的(役割)とすべきであると確信している」と述べています。今回の選挙戦中、バイデン候補は、この発言に積極的に言及しており、一つの「公約」となっています[6]

米国では旧ソ連が先制不使用宣言をプロパガンダ的に行っていた歴史があること、それに、先には絶対使わないと言ってしまうことへの反感が強いことなどから、あいまいさを残した別の表現を使った「唯一の目的」宣言の方が抵抗が少なくてすむと見られています。オバマ政権が誕生時に「唯一の目的」宣言を検討したのはそのためです。ウイリアム・ペリー元国防長官などは、どちらの宣言も実質的には意味は同じだ言います。しかし、唯一の目的宣言では、敵の核攻撃が目前に迫っているとの判断あるいは口実の下での核使用を認める可能性も残り、先制不使用宣言の方が「先には絶対使わない」ということが明確になるとする専門家がいます。ただし、「使用の可能性は核攻撃に対する報復に限る」と強調すれば、「先には絶対使わない」とする先制不使用と同じ意味になると理解されています。

前述のように、今回の選挙戦中、バイデン候補は、先制不使用宣言についての態度を問われ、これを支持すると答えています。UCSの要請は、同盟国の日本から支持表明の声を上げることによってバイデン政権が先制不使用宣言をする可能性を高めて欲しいというものです。

米国の軍縮運動からの要請に応える方法の例

以下、いくつかの例を検討してみましょう。

1)国会議員などが自発的に「『米国の先制不使用宣言』を支持すると」宣言する[7]
党としての宣言、あるいは、超党派の議員の署名の形があり得る(知事、市町村長などが同様のことをするのもあり得るだろう)。 

要旨

「私たちは、米国が先制不使用宣言をすることを支持する。 また、米国が先制不使用宣言あるいは「唯一の目的」宣言をしたからと言って、核不拡散条約(NPT)加盟国である日本が核武装するようなことはないと確信している。」

2)NGOあるいはマスコミが国会議員らを対象にアンケート調査をする。
(1) 直接、政策の宣言について聞く。
「バイデン政権による先制不使用宣言を支持するか?」
(2) 米国の世論調査の例にあるように、核兵器の使用についての態度を聞く形とする。
米国の世論調査の例[8]

紛争において米国が先に核兵器を使うことが容認される状況があると考えるか。それとも、米国あるいは我が国の同盟国に対して核攻撃があった後にのみ使用が許されるべきか。
A.先制使用を容認する状況が存在する
B.他国による核攻撃があった場合にのみ
C.決して使ってはならない
D.分からない

*ニューハンプシャー州では、AとBを合わせると73%となった他、他の5州でも先制不使用支持が過半数を占めた。

3)上記の国会議員を対象とした調査と同様の世論調査を行う。

すでに動いている政府――どうする反核運動?

産経新聞は、1月3日の記事《独自》「核の傘」日米共同声明に明記へ 首脳会談に向け、政府調整で次のように述べ、日本政府が先制不使用宣言阻止のために動いていることを示唆しています。

日本政府内には平成29年の共同声明発表後、当面は拡大核抑止の確認は必要ないとの見方もあった。しかし、バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権には核兵器の先制不使用を検討する動きがあった。米国が核兵器を先制使用しないのであれば、中国や北朝鮮は米国の核攻撃を警戒せず、通常兵器で周辺国を攻撃できる。


  1. 米国からの要請 ↩︎
    憂慮する科学者同盟(UCS)」のスティーブン・ヤング上級ワシントン代表

    核戦争の可能性を減らすには、バイデン大統領が『先制不使用』を宣言することにより、米国は核戦争を始めることはないと明確にすることが重要だ。米国がまだそうしていない主たる理由の一つは、このような宣言は同盟国に対する米国のコミットメントの弱体化を意味すると恐れている一部の同盟国が──もっと正確に言うなら、一部の同盟国の安全保障政策の指導者たちが──懸念を表明していることにある。だから、実は日本の国民が、そして、政治的指導者の多くが先制不使用政策を支持しているのだということを明確にすることが、バイデン大統領がこれを米国の政策とするための地ならしをする上で非常に重要なのだ。

    出典:日本の反核運動は米国の運動に呼応できるか 核情報 2020年12月18日

    なお、オバマ政権が2016年に先制不使用宣言を検討していた際、日本が反対しているとの報道を受け、米国元政府高官・科学者らが日本に対し先制不使用支持を要請する書簡を発表した。
    日本に対する米国先制不使用(No-First-Use)政策支持の要請 2016年7月27日

    ・・・米国は、核兵器の使用を自国が開始する可能性を残したままにしておくのではなく、核兵器の使用の敷居を高めるための措置を講じるべきである。米国の通常戦力の強さからすれば、核兵器を先に使うオプションの維持は、他の核兵器国もこのオプションを維持すべきだとのメッセージになってしまい、また、核兵器を持っていない国に核武装を奨励することになり得る。より安全な世界への道は、米国がこの政策変更をすることを拒否する限り、閉ざされたままとなる。
    核を巡る現状の変更が懸念をもたらすというのは驚くべきことではない。しかし、オバマ大統領が今年広島を訪れた際に述べた通り、「私自身の国と同様、核を保有する国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」。日本がその追求の障害になるとすればそれは悲劇的である。私たちには日本国民がそのような結果を支持するとは思われない。

  2. 日本の懸念が先制不使用宣言放棄の理由 ↩︎
    例えば、ニューヨーク・タイムズ紙「オバマ、核兵器の先制不使用の宣言しない見込み」(2016年9月5日)が、同年4月に広島を訪れたばかりのジョン・ケリー国務長官が「米国の核の傘のいかなる縮小も日本を不安にさせ、独自核武装に向かわせるかもしれないと主張した」ことが一つの理由だと報じている。
  3. 先制不使用に反対する日本? ↩︎
    日本の懸念を平たく表現したものに外務省森野泰成軍備管理・軍縮課首席事務官の発言がある(1998年8月5日 広島で開かれたパネル・ディスカッションで)。

    先制不使用を約束してしまった場合、核の抑止力の効果がかなり薄れてしまう。日本の安全を守れるのだろうかという懸念を強く持っている。

    出典:核廃絶推進とは程遠い日本の政策 核情報 2009.2.4

    背景にあるのは、米国の核で抑止する対象には日本に対する核以外の攻撃も含まれるという考え、つまり、核以外の攻撃が日本にあった場合にも、米国は核で報復するオプションを有していると日本に約束しているとの解釈。

    日本政府は、1982年の国会での質疑で、米国の核抑止力は、日本に対する核以外の攻撃も抑止するものとの解釈を示している。1975年8月6日の三木・フォード会談の日米共同新聞発表第四項で、「大統領は、総理大臣に対し、核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合、米国は日本を防衛するという相互協力及び安全保障条約に基づく誓約を引続き守る旨確言した」という部分が、「核の抑止力または核の報復力がわが国に対する核攻撃に局限されるものではない」と理解されるとしている。

    出典:先制不使用問題に関する政府答弁例

    *この答弁例リストには、1982年の三木・フォード会談の解釈問題答弁(政府委員、宮澤喜一官房長官(元外務大臣)他)と1999年08月06日の先制不使用と日本の安全保障問題答弁(高村外務大臣)を載せてある。なお、後者が使っている「当事国の意図に関して何ら検証の方途のない先制不使用の考え方に依存して、我が国の安全保障に十全を期することは困難である」という表現は、この後も繰り返し使われることになる。これは、「先制不使用条約」についての反論のようだが、米国で議論されているのは、米国による一方的宣言であり、敵国の核先制使用は、米国側の核報復の威嚇で抑止する考えだ。核攻撃に対する核報復は否定されていない。

    参考:先制不使用問題 資料編 核情報 2010. 9.28
    *歴代首相の広島・長崎での挨拶(2006-2010年)及び歴代政権の答弁比較

  4. 日本の懸念と核武装の可能性 ↩︎
    オバマ政権の登場に先立って、米国政府に「核態勢の見直し」を義務づけた2008年度国防歳出権限法は、同時に超党派の「米国戦略態勢議会委員会」の設置を定めた。委員会の報告書は、「核態勢の見直し」に向けての提言となっている。この委員会の最終報告書に関する下院での公聴会(2009年5月6日)で、ジェイムズ・シュレシンジャー(元国防長官)副委員長は、「日本は、米国の核の傘の下にある30ほどの国の中で、自らの核戦力を生み出す可能性の最も高い国であり、現在、日本との緊密な協議が絶対欠かせない」とし、ウイリアム・ペリー(元国防長官)委員長は、ヨーロッパやアジアにおける「我々の拡大抑止の信頼性についての懸念」を無視すると「シュレシンジャー博士が言ったように、これらの国々が、自前の抑止力を持たなければならないと感じてしまう」と述べている。
    出典:先制不使用問題早わかり
    つまり、結果的に、日本は、核武装の可能性の脅しで、米国の「唯一の目的」宣言や先制不使用宣言を阻止してきたことになる。
  5. 「唯一の目的」を目標とした2010年4月「核態勢の見直し」 ↩︎

    米国は、通常兵器の能力を強化し、非核攻撃の抑止における核兵器の役割を低減し続ける──米国あるいはその同盟国・パートナーに対する核攻撃の抑止を米国の核兵器の唯一の目的とすることを目標として。・・・
    いずれ、核兵器を持っているすべての国が核攻撃の抑止を核兵器の唯一の目的としても安心できるように、地域的安全保障構造を強化し、化学・生物兵器をなくするための努力を続ける・・・
    NATOを含めた各種安全保障体制は、米国及びその同盟国・パートナーに対する核の脅威が存在する限り、核の側面を持ち続けるが、我々は、将来核兵器の役割と数を減らすことを追求し続ける。今後、米国及び同盟国の非核能力及び対WMD能力が向上を続け、地域安全保障構造が強化され、そして、とりわけ生物化学兵器を含む他の脅威を抑制する上での進展を評価する中で、米国は、核攻撃の抑止を核兵器の唯一の目的とする政策に移行するのが賢明と言える状況に関して、同盟国・パートナーと協議する。

    出典:米国「核態勢の見直し(NPR)」(2010年4月) 抜粋 核情報 2010. 4.14

    参考 岡田外務大臣談話 米国の「核態勢の見直し(NPR)」の公表について 2010年4月7日

  6. バイデン演説の表現が民主党選挙綱領に ↩︎
    バイデン演説 核情報 2020.12.18
    *ここには、2017年1月20日の演説、これに言及した2019年7月11日の演説、民主党綱領などを載せてある。
  7. 前例:2010年「唯一の目的」宣言支持書簡 ↩︎
    オバマ政権による「核態勢の見直し」作業時に、日本が「唯一の目的」宣言の障害になっているとの警告が米国の核問題専門家らから届いた。民主党政権の岡田克也外務大臣が先制不使用に理解を示すなか、大臣を孤立させないようにと民主党の議員らが中心となって大統領宛ての「唯一の目的」宣言支持書簡を用意し、204人の超党派国会議員の署名を得て、2010年2月19日にジョン・ルース駐日米国大使に手交した。書簡には次のようにある。
    ・私たちは、米国が、ICNND報告書の勧告に従って、「米国の核兵器の『唯一の役割』は、米国又はその同盟国に対して他国が核兵器を使用することを抑止することにある」と宣言する政策を直ちに採用することを強く求める。
    ・貴国が上記の「唯一の役割」政策を採ったとしても、日本は核武装の道を追求することはないと確信している・・・

    出典:「唯一の目的」宣言を支持するオバマ大統領宛て書簡(日本語版) 2010年2月9日
    署名者リスト付き英文
    *ICNND報告については以下を参照
    先制不使用問題3報告書比較:キャンベラ委員会・東京フォーラム・ICNND 核情報 2010. 2.1

    参考:オバマ政権核態勢の見直しと民主党政権(岡田克也外務大臣)

  8. 米国世論調査の例 ↩︎
    62%が米は先に核を使うべきでないと──米サウスカロライナ州世論調査 2020. 3.31
    *他州の結果は次の通り:ニューハンプシャー州(73%)、アイオワ州(57%)、ミシガン州(67%)、オハイオ州(65%)、ジョージア州(61%)

追補 公明党はバイデン政権による先制不使用宣言を支持できるか? おそらく

公明党は、ICNND日本NGO連絡会が2009年8月14日に発表したアンケート調査詳細別添資料(pdf)によると、先制不使用について、「条件つきで賛成する」 (条件:国際社会全般のコンセンサスが形成されることが先決だと考えます)と答えているが、これは、質問が混乱をもたらしたためである可能性がある。

質問は次の通り。

質問3:核軍縮を前進させるための第1歩として、核兵器保有国は「核先制不使用」 (核兵器を最初には使わないこと)を宣言するべきであるという議論が、ICNNDを含めた国際協議の場で高まっています。日本が米国に「核先制不使用」を宣言するよう働きかけることについてどう考えますか?

公明党担当者は、条約のようなものをイメージしてしまったのではないだろうか。当時、米国で議論されていたのは(現在も)、核超大国の米国が一方的に先制不使用宣言をすることである。すべての国が宣言しなければ意味がないという話ではない。米国が率先して宣言し、そのあと、それに倣う国が出てくればいいというものである(中国は既に先制不使用策を表明している)。

「米国による先制不使用宣言を支持するか」との単純な質問であれば、単に「支持する」と答えていたかもしれない。現在、「バイデン新政権による先制不使用宣言を支持するか」と聞けば、「支持する」と答えそうに思われる理由がいくつかある。

理由1.公明党は、「質問2:米国による<核の傘>が引き続き存続すると仮定して、その役割はどのよう な脅威に対処するべきものであると考えますか?」では、「核兵器による脅威、攻撃に限って対処する」を選んでいる。「脅威に対処」という言葉の意味が曖昧なのだが、「唯一の目的」宣言を支持するかとの問いを意図したものと思われる。答えは、イエスである。

理由2.公明党の浜田昌良議員(現同党参議院政策審議会長)は、2009年10月30日付の「核の先制不使用論と消極的安全保障政策に関する質問主意書」で、当時の民主党政権に対し、「岡田外務大臣は、雑誌「世界」平成二十一年[2009年]七月号において、「核保有国、とりわけアメリカが先制不使用を宣言すること、そして核を持たない国に対しての核使用は違法であるという合意の形成を日本として主張していくべきだ」と述べていると指摘したあと、次のように問いかけている。
「鳩山内閣として、核の先制不使用論及び消極的安全保障政策を支持するのか。支持するというのであれば、日米安全保障との関係をどのように整理しているのか。通常兵器による我が国への攻撃は核兵器ではなく、通常兵器だけによる抑止力を期待するという関係で理解しているのか。」

このような問いをする党が米国の先制不使用宣言は、「国際社会全般のコンセンサスが形成されることが先決だと考えます」(つまりは、予見できる将来にはあり得ない?)と答えるのは不可解である。これでは、鳩山政権(つまりは、歴代政権のものを引き継いで作成された政府官僚による)の答弁書(2009年11月10日付)の答えとどう違うのかと問われざるを得ない。

核兵器のない世界に向けた大きな流れがある中で、核兵器の先制不使用宣言を追求していくことは道義的に正しい方向であると考えるが、核兵器の先制不使用宣言は、すべての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義ではなく、これを達成するには、まだ時間を要するものと考えている。また、消極的安全保証について、非核兵器国に対して核を使用しないという考え方は基本的に支持し得るものと考えている。その際、当然のことながら、長期的課題である核兵器のない世界の実現を目指すに当たり、我が国の安全保障及び国際的な安全保障を損なうことはあってはならないと考えている。
 国際社会には、核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、また、核兵器を始めとする大量破壊兵器等の拡散といった危険が増大するなど、引き続き不透明・不確実な要素が存在する中で、我が国としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)を堅持し、その抑止力の下で自国の安全を確保する必要があると考えており、米国が保有する核戦力と通常戦力の総和としての軍事力が、我が国に対する核兵器によるものを含む攻撃を抑止するものと考えている。

理由3.ヒバクシャ国際署名推進活動をしているグループ「議員ウォッチ」によると、斉藤鉄夫副代表は、2019年3月17日広島若者有権者の会との面会で次のように述べている。

…唯一の被爆国として、日本も核兵器禁止条約に参加してほしかった。核保有国の不参加に関しては、条文の表現を変えるなど、保有国が参加できるような努力をもっとすべきだった。核兵器禁止条約に日本は署名・批准するべきだと思う。唯一の被爆国として、核兵器禁止条約に参加すべき。一方で、核兵器禁止条約が日本の安保体制、核の傘と矛盾しないという論理構成がいる。日本の核兵器禁止条約への批准に向け努力したい。(2019年3月17日広島若者有権者の会との面会で)

米国による先制不使用宣言に「国際社会全般のコンセンサスが形成されること」を条件としながら、日本が禁止条約に参加すべきと主張するという「論理構成」はあり得ないだろう。

理由4.前述のオバマ大統領宛て「唯一の目的」宣言支持書簡(2010年2月19日付)に、浜田・斉藤両議員を含め、12人の公明党議員が署名している。

理由5.公明党は、2020年10月28日の【主張】核禁止条約 発効へ 日本は保有国との橋渡し役ににおいて、「核核兵器禁止条約が、来年1月22日に発効する。これで核兵器を初めて違法とする国際法規範が誕生し、核廃絶に向けた新たなステージが始まる」とし、「同条約について、『わが国のヒバクシャの皆様の声が、国際的な法規範として結実したもの』として、高く評価している」と述べたうえ、日本が「橋渡し役」を担うことや「合意形成をリードすること」を要望している。米国が「核を最初には使わない」と宣言することについて、しばらくは満足させられそうにない条件を付けながら、このような主張が成り立つだろうか。

公明党への質問

以上の理由から、公明党は、米国による先制不使用宣言を支持すると考えるのが自然である。だが、これは憶測にすぎない。これを確認するために、公明党の支持者や反核運動関係者、マスコミが公明党(及び個々の議員)に質問してみてはどうだろうか。


公明党様(〇〇議員様)

1.公明党(〇〇議員)はバイデン政権による先制不使用宣言を支持しますか。
(1)支持する
(2)支持しない
理由: 
2.バイデン政権が先制不使用宣言をすると、日本は核武装すると考えますか。
(1)考える
(2)考えない
3.(上記質問で(1)を選んだ場合)バイデン政権が先制不使用宣言するなら日本は核武装すべきと考えますか。
(1)考える
(2)考えないが、自民党政権は、核武装してしまうと考える


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