2009年09月17日

岡田外相、先制不使用支持の考えを表明

岡田外相が17日未明、初閣議後の記者会見で、「私の持論は『先制使用すると明言する国に核軍縮や核の不拡散を言う資格があるのか』ということだ。先制不使用によって核の抑止力が弱まるとは考えていない。誰が考えてもそれ以外の結論はないのではないか」と述べたと、産経新聞(2009.9.17 01:03)が報じています。

鳩山内閣閣僚記者会見「岡田克也大臣」(動画)

(産経新聞記者)
 日米関係を深めるということですけれども、大臣は従前よりアメリカに対して、核の先制不使用を宣言するよう求めていくべきだというふうに発言されていたかと思うんですけれども、今後具体的にそういう点をどういうふうに提起していくかということと、仮にその先制不使用を宣言してしまった場合に、抑止力の信頼性が低下するんじゃないかというような懸念もあろうかと思うんですけれども、それについて大臣はどのようにお答えですか。

(岡田克也外相)
 私の持論は、核を先制使用するということを明言するような国に核軍縮やあるいは核の不拡散を、特に核軍縮を言う資格があるのかということであります。そういう視点で私は、従来から核の先制使用に対しては、これは認めるべきでないと、そういうふうに申し上げてきたところであります。外務省の中にいろいろ意見があることも承知しております。よく外務省の皆さんと議論したいというふうに考えておりますけれども、まあ私は、誰が考えてもそれ以外の結論というのはないんじゃないかというふうに思っております。それによって核の抑止力が弱まるというふうには私は考えておりません。

(テープ起こし:杉原浩司氏)

また、続いて外務省で開かれた記者会見では、次のようなやりとりをしています。

核の先制不使用

(問)核の先制不使用政策について聞きたいのですが、核兵器廃絶に向けた取り組みに関して、官邸での会見で300日プランによる少し長期の取り組みになるという話をされていたと思いますが、先程述べられたエバンス、川口両氏の核軍縮委員会が、核先制不使用への支持を米国にも求める内容を主とした報告書を年内にまとめ、米国が核廃絶の見直しをやはり年内に国防総省を中心となってまとめて議会に提出するようです。今まで日本政府は一貫して化学、生物兵器に対しても先制使用で守ってくれるよう求めてきたと思うのですが、この機会に年末にかけて日本を守ってもらうために核の先制使用は不要だというメッセージを何らかの形で発するお気持ちはございますでしょうか。

(外務大臣)私の持論はそういうことですが、今回大臣になりましたので、事務当局によく聞いてみたいと思います。エバンスさん、川口さんの報告書は政府のものではありません。有識者としての世界各国から集まった人たちの一つのレポートでありますので、私は日本政府がいかなる考え方を採ったとしても、それとは独立して自らの信ずるところに従ってレポートをおまとめになったらどうかと考えております。

(問)政府はとして採用しにくいレポートであっても、そういった何らかの目的意識がないと、結局は報告書も絵に描いた餅になりかねないと思うんですけれども。

(外務大臣)報告書が提出された上で政府としてもう一度きちんとした議論をすればいいのではないかと思っています。ただ、核の先制使用、例えばそれが大量破壊兵器に対する報復であったとしても、つまり生物兵器や科学兵器を違法に使われたことに対する報復であったとしても、核を先制使用するということは倫理的にも、そして核を将来なくしていこうという考え方からいっても、なかなか認めがたいことではないかという風に私は現時点では思っております。このことは核で攻撃を受けたときに核での報復を禁ずるものではありませんので、先制使用はアメリカだけではなく、核を保有している国々が先制使用しないということをお互い確認するというのは、どこまで実行を確保できるのかという問題もありますけれども、核廃絶に向けての一歩になるのではないかという風に現時点では思っています。
 併せて、核を持っていない国に対する核の使用は、他の大量破壊兵器それ自体が違法となっていますが、核はそういう扱いにはなっておりません。核を持っていない国に対して核保有国が核を使うというのは、私はそれ自身が違法だという議論が成り立つ可能性があると思っています。

参照→岡田外務大臣会見記録動画版、36分後頃

●参考

 

投稿者 kano : 2009年09月17日 17:18