2005年03月11日

「引き返す勇気」をと呼びかける高成田亨氏(朝日新聞論説委員)

昨年末に劣化ウランを使った試験を始めた六ヶ所再処理工場では、いま来年の運転開始に向けた準備が進められている。核兵器の材料になるプルトニムを生産する再処理工場については、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイや国連の委員会など、核拡散を心配する人々がモラトリアムを呼びかけている。日本は、六ヶ所はいずれにしてもほぼ完成しており、モラトリアムの対象にはならぬとして、運転開始に向けて突っ走ろうとしている。プルトニウムの利用計画が頓挫し、再処理は経済的ではないと分かっていても、ここまで来て今更引き返すわけには行かないというのである。

高成田氏は、2004年11月15日のコラム において、「どうする?核燃サイクル」と題された参議院会館での「勉強会」で司会をした経験について語りながら、経済性のない再処理を進めるのは

「沈没するのはわかりながら沖縄戦に向けて出撃、撃沈された戦艦大和と同じようだ」

と述べた研究者の言葉を紹介している。

そして、

「勉強会に1度出席しただけで、結論を出すつもりはないが、コストに見合わない計画だと多くの人が気付きながら、もう間に合わないといった消極的な理由で、計画を進めるのは、将来にさらに大きな負担を残すだけだと思う。『引き返す勇気』が求められているのではないだろうか。」

と結んでいる。

投稿者 kano : 2005年03月11日 20:29