2007年06月20日

甲府市議会、米印原子力協力問題意見書採択

甲府市議会が、6月18日、米印原子力協力問題について日本政府の明確な対応を求める意見書を採択しました。

「核拡散と核軍拡の危機にあたって− 原子力供給国グループ(NSG)での日本政府の明確な対応を求める意見書」と題されたこの意見書は、インドの核実験後に採択された1998年の国連安保理決議がインドへの核兵器計画へのいかなる形での協力をもしないよう呼びかけていることに触れ、

重要な局面を迎えている今日、非核三原則と核廃絶を国是とする被爆国日本が、NSGにおいて誠実に国連決議を履行し、核の拡散と核軍拡につながるいかなる目論見にも反対し、明確にその意思を示すよう、強く要望する。

と結んでいます。

参考:



-核拡散と核軍拡の危機にあたって-
原子力供給国グループ(NSG)での日本政府の明確な対応を求める意見書

昨今、私たちが最も懸念する世界的関心事に“核拡散”“核軍拡”の問題がある。とりわけ昨年、米国がNPT(核拡散防止条約)未加盟のインドに対し、従来禁じていた技術協力・関連物資提供を可とする「米印平和原子力協力法」を成立させたことは、永きにわたって核拡散防止と核廃絶の努力を積み重ねてきた国際社会の歩みに全く逆行するものであり大きな問題である。NPTを無視し続けるインドがこのような形で容認されるならば、核不拡散体制は完全に骨抜きとなり、パキスタンとの核軍拡競争の再燃など、世界は再び核の脅威にさらされることになりかねない。

 もとより核保有国5カ国の特権的立場を前提としてきたNPTですが、私たちは、保有国にも真摯な核軍縮を求めるものであり、新たな核保有国のなし崩し的増大や核開発の解禁を認めることは出来ない。

 この事態にあたって注目すべきことは、今回の米印協力が実施されるためには、日本も加盟している45カ国からなる原子力供給国グループ(NSG)の承認(規則の変更)が必要とされていることである。ここでは「全会一致」による決議が原則とされ、それ以外では規則の変更は出来ない。被爆体験国日本は、これまで、国連において一貫して核軍縮・核廃絶を訴え、多くの国々の賛同と支持を集めてきた。

また、国連安全保障理事会は1998年、インド・パキスタンの核実験に際し、決議1172号を全会一致で採択し、両国に対し直ちに核兵器開発計画を中止するよう要求すると同時に、核兵器につながる全ての生産を中止するよう求めている。さらに決議は全ての国に対し、「インド及びパキスタンの核兵器計画に何らかの形で資する可能性のある設備、物質、関連技術の輸出を防止するよう」奨励している。米国とインドの原子力協力は明らかにこの決議に反している。

 重要な局面を迎えている今日、非核三原則と核廃絶を国是とする被爆国日本が、NSGにおいて誠実に国連決議を履行し、核の拡散と核軍拡につながるいかなる目論見にも反対し、明確にその意思を示すよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

  平成19年6月18日

甲 府 市 議 会  

提出先
   内閣総理大臣、外務大臣、衆議院議長、参議院議長

投稿者 kano : 2007年06月20日 17:51